太陽暦の「春分」と太陰暦の「ラマダン明け」が偶然一致した。2026年3月20日のことだ。仕事の関連でつきあいのあるバングラデシュ人と話していて偶然知った。バングラデシュはイスラームを国教としている南アジアの親日国である。
そのバングラデシュ人は、かなり熱心なムスリムなので、朝晩やお昼のお祈りを欠かさないだけでなく、金曜日の昼休みには自転車で直近のモスクまでいって集団礼拝に参加していた。
ラマダン月の最中は、日の出から日没まで食事ができないだけでなく、水も飲まないといって頑張っている。まあ、日本人からすればカラダに悪いのではないかと思うが、それはそういうものなのだろう。
バングラデシュでは、日常生活においては西暦すなわち太陽暦が使用されているのは日本とおなじだが、イスラーム関連の催事暦は「ヒジュラ暦」すなわち「太陰暦」が使用されている。ことし2026年のラマダンは春だから
ことし2026年のラマダンは3月だからいいものの、太陰暦なので毎年ずれていく。ラマダン月が8月にぶつかると、さすがにバングラデシュ人でも日本の猛暑には耐えられないのではなかろうか。熱中症は避けられまい。
さて、西アジアのイランはイスラームの国であるが、基本的に「太陽暦」が使用されている。つまり、イランでは太陽暦と太陰暦が併用されているわけだ。
だがイランの太陽暦(・・「イラン暦」ないしは「ペルシア暦」という通称がある)は、西暦にもとづくものはない。日本のように近代になってから西欧化によって導入されたわけではないのだ。
さすが栄光のペルシア文明である。ペルシアと名乗っていた古代から、イランでは太陽暦が使用されてきたのだ。古代帝国としての文明国の歴史は5000年に及ぶだけに、さすがというべきであろうか。中国3000年よりはるかに古いのである。イスラーム化されたのは7世紀のことである。
イラン暦では、一年は春分の日(3月20日か21日)から始まる。「イラン暦」においては、1年は365日または366日であることは西暦とおなじだが、1年の前半6ヶ月が31日、後半5ヶ月が30日となり、最後の1ヶ月が29〜30日で構成されている。合理的というべきかもしれない。
「イラン暦」にかんするWikipediaの記述を引用しておこう。
イラン暦(イランれき、ペルシア語: سالنمای هجری شمسی؛ گاهشماری هجری خورشیدی)は、イランを中心にペルシャ語圏で使われている暦法。ヒジュラ紀元の太陽暦で[1]春分を新年とする。 ペルシア暦、ペルシャ暦、イラン太陽暦とも呼ばれる。欧米では“anno Persico/anno Persarum”(英訳「Persian year」)を略してA.P.や、Solar Hijri calendarやShamsi Hijri calendarを略してSHと表記する。 紀元を預言者ムハンマドのヒジュラの年(西暦622年)に置くため、ヒジュラ太陽暦(Solar Hijri calendar)とも呼ばれる[注釈 1]。また、アフガニスタンで公式に採用されたものはアフガン暦とも呼ばれる。ウマル・ハイヤームの『ジャラーリー暦』では閏年を33年に8回置き、後のグレゴリオ暦(400年に97回閏年を置く)よりも正確な暦を実現した。現在は、天文学的計算によって閏年を求めていて、近年は33年周期で安定している。一方、閏年の設定に複雑な計算を要するため、簡便に求める方法として、Birashkによる2820年周期などが提案されている。
イランの新年は「ノウルーズ」というらしい。「ノウルーズ」について wikipedia の記事を見ておこう。
ノウルーズ(nowruz)太陽が春分点を通過する春分の日、あるいはその翌日(春分点が12時以降の場合)に当たり、農事暦上重要であることから、イランを中心に、中央アジア、アゼルバイジャンからアフリカまでに及ぶ広い地域で祝われる祭日である。国際連合総会は、2010年2月23日にこの日を「ノウルーズ国際デー」として正式に承認した。ノウルーズはゾロアスター教暦の新年の始まりでもある。ノウルーズの起源は古代イランにあるが、現在はアジアを始め世界中で祝われている。
(ノウルーズで祝われるハフト・スィーン(Haft Sīn、هفت سین) の品々(テヘラン) Wikipediaより)
なるほど、「ノウルーズ」として新年が祝われるのはイランだけではないのか。「ノウルーズ国際デー」という日が設定されているとは知らなかった。
2009年9月30日、ユネスコはノウルーズを、「国際ノウルーズの日」という正式な名称で認定し、2016年に無形文化遺産に登録した(2024年に13カ国に拡大登録)。その後国連総会は、そのカレンダーにイランにルーツを持つノウルーズを記載した。2010年2月23日に国連総会で承認された文書には、3月21日のノウルーズは、3000年以上前のイランに由来し、今日3億人以上の人々に祝されているとの説明がある。国連加盟国は、1391年(西暦2012年)のノウルーズを、イランが主催する国連とユネスコの公の場ではじめて祝い、潘基文国連事務総長もこの祝典にメッセージを送っている。
イランが起源の「ノウルーズ」。これについては、『イラン(暮らしがわかるアジア読本)』( 上岡弘二編、河出書房新社、1999)に詳しい。「イラン・イスラーム革命」(1979年)からちょうど20年後に出版された本であり、イスラーム体制が確立し落ち着いていた時代のものである。その後、現在にいたるまで第二版が出てないのが残念である。
ザクロやミトラ神などイラン起源の事物は多々あるが、春分の日を新年として祝う「ノウルーズ」もまた、近隣の中央アジアやアゼルバイジャンのみならず、アフリカまで拡がっているとは!
知られざる「世界の見方」もあるわけなのだな、と。
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