2022年5月11日水曜日

映画『AK-47 最強の銃 誕生の秘密』(2020年、ロシア)-カラシニコフという根っからの技術屋の半生

 
ことし2月のことになるが、映画『AK-47 最強の銃 誕生の秘密』(2020年、ロシア)を amazon prime video で視聴。原題は「カラシニコフ」(ロシア語)。 

旧ソ連で開発され、現在でもテロリスト御用達の自動小銃が AK-47。その開発ストーリーと根っからの技術屋だったミハイール・カラシニコフの半生を描いた映画だ。 

中央アジアのアルタイ出身のロシア人生まれ故郷はカザフスタンのアルマトイ近郊の農村。つまり、エスニシティはスラブ系のロシア人で当時はソ連国民であったが、現在ではロシアとは別の国となったカザフスタンの人ということになる。

「大祖国戦争」とスターリンが命名して「愛国心」をかき立てた「独ソ戦」。その最前線で負傷し、いやというほどドイツ製兵器の優秀さを痛感させられたカラシニコフ軍曹。愛国心がつよく、専門教育は受けてないが根っからのメカ屋であった彼は、連発式の自動小銃の製作に執念を燃やし、完成するまでは故郷に帰ることもしない。




「故郷に錦を飾るまでは帰郷しない」という、明治時代の日本人のようなメンタリティの持ち主であったのだ。この映画が昭和30年代に製作されて日本で公開されていたなら、間違いなくヒットしたのではないかな?

戦場という実践(いや実戦)の場で扱いやすく、耐久性のある自動小銃を開発することが祖国ソ連のためになるという信念を貫き、失敗を重ねながらもついに AK-47 を完成させたのは1947年のこと。すでに戦争は終わっていた。 総計2,600万人(!)も戦死したとされる「独ソ戦」には間に合わなかったのだ。

ソ連崩壊後も使用され続けているので、「AK-47 といえばテロリスト」という連想が働くが、この映画ではそんなことは一言も触れられない。あくまでもロシアの「愛国映画」なのだ。 

とはいっても、よくできたエンタメとして楽しめる戦闘シーンはほとんどなく、設計と試作品つくりの繰り返しが映画の内容だからだ。エンジニアの開発ストーリーに恋愛をからめたヒューマンドラマでもあった。 





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以上、視聴後に記した感想に加筆修正したのだが、映画を視聴したのが2022年の「2月24日」以前のことであり、アップするタイミングを失してしまっていた。

隣国ウクライナに軍事侵攻したロシアは、いま国内で「愛国心」を喚起すべくさまざな政策を行っているが、「独ソ戦」とは違って「ウクライナ侵略」は、祖国防衛戦争でも正義の戦いでもない。むしろ、攻め込まれた側のウクライナでこそ、侵略者ロシアに対する「愛国心」がかき立てられている。あるいはナショナリズムといっていいかもしれない。
 
「禍福は糾える縄の如し」というわけではないが、ロシアの行為はまさに「天につばする」ものにほかならない。愛国心をかきたてただけに、そのしっぺ返しは取り返しのつかないものになるのではないか?
 
ただし、この映画『AK-47 最強の銃 誕生の秘密』という映画は、開発者のヒューマンドラマとして視聴したらいい。とくにイデオロギー色はないエンテメ作品である。


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