ナマステ!
きょう9月26日(日)、 「ナマステ・インディア2010」(代々木公園)にいってきた。
代々木公園で開催される恒例のお祭り。「タイ・フェスティバル」はこのところ毎年いっているが、「インド・フェスティバル」は今回が初めて。
「ナマステ!」(Namaste !)とは、インドだけでなく、ネパールでも使われる合掌スタイルをしながらする挨拶のコトバのことだ。
中央ステージでは、大音響のインド音楽にあわせて、インド舞踊のパフォーマンス。
見て、聞いて、そして・・・
■「ナマステ・インディア2010」会場をぶらつく
会場は、物販や飲食が中心で、日本にいながらにしてインド気分を味わえる。
来ているのは日本人が圧倒的に多いが、インド人の姿もかなり見られる。インド人は男どうし、カップルや家族などで来ている。
もちろん、白人の姿もちらほら見られる。このエリア一帯は、東京でも有数の国際的観光スポットんあおで、在住者以外に観光客らしい姿も見られる。
まあ、なんといっても楽しみはインド料理だろう。
まず、マサラ・チャイ(masala chai)をホットで一杯 200円。紅茶にミルクと砂糖をたっぷり入れたインドティー。ここで売っているのはインスタント粉末のもの。
チャイはホットに限る。インド北部のラダックで飲んだ一杯の甘いチャイを思い出す。小さなグラスで飲むチャイは、寒いときに飲は、ほんとうにカラダとココロが暖まる。きょうは晴天でそれほど寒くはなかったが。
昼は軽く食べてから出かけたのだが、せっかくこれだけ本格インド料理店が出店しているのに、まったくカレーを食べずに帰るのももったいない。
というわけで、シディークという店で、サグ・チキン(Saag Chicken)カレーとナンのセット500円を買って食べる。これで500円なら安い、うまい、早い。
ほんとうは一緒にラッシー(=ヨーグルト飲料)でも買いたいところだが、すでに食べる場所は占拠されて見つけにくいので今回は断念。また、今度どこかインド料理店でもいった際に食べることとしよう。
KingFisher という銘柄のビールも売っているが、今回は飲まない。きょうは休肝日としているので。
このビールは、インドで飲んだことはあるが、わざわざ日本でも飲みたいとは思わない。味は悪くないが、プレミアム・プライス払ってまで飲むことはあるまい。ちなみに、KingFisher 社は、同名の格安航空会社の一事業である。
また、インドのワイン(!)を扱っている出店も複数あった。ワインも前回2~3年前に仕事でインドにいった際に飲んだが味は悪くない。とはいえ、あえて日本国内でインド・ワインを飲みたいとは思わないのは、とくに不思議ではないだろう。安くてうまいワインは南半球からいくらでも入ってくる。
しかし、私がはじめてインドにいったのは、いまから15年前だが、敬虔なインド人は酒を飲まないという好印象を抱いた。ところが、前回仕事で行ったときはまったく様変わりしていた。
「酒を飲むインド人」というのは、どうもしっくりこないのである。
■セレンディピティ(偶察力)を大いに発揮!
今回はほとんど何も期待せずに出かけたのだが、本屋が何店か出店しているので覗いてみる。
そのうちの一つで、インドで出版されている Lord Buddha という、子供向けの絵入りの英語版仏陀伝を 380円にて購入。インド人がインド人のために書いた仏陀伝は、インド色が色濃く出ているので興味深い。
インドでは仏教は完全にマイノリティだが、ブッダはヒンドゥー教の聖者の一人になっているので、インド人にとっても違和感のない存在のようである。
もう一軒で、「スリランカの王子様セレンディップ」ではないが、これこそセレンディピティ、なんと『星の王子様』のヒンディー語版を発見、600円にて購入。とくに探していたわけではないが、向こうから飛び込んできた表紙絵は、まさに「星の王子様」。偶然がもたらした、うれしい発見。
なぜこれがセレンディピティかというと、実は私は各国語版の『星の王子様』(サン・テグジュペリ)を収集しているのだ。
これまで集めたのは、フランス語オリジナル(Le Petit Prince)は本と朗読CD、翻訳版は日本語(・・もちろん内藤櫂の古典的名訳+池澤夏樹訳など)、英語版、ドイツ語版、スペイン語版、イタリア語版、ラテン語版、ポルトガル語版、ロシア語版、チェコ語版、韓国語版、タイ語版、である。
もちろん、ヒンディー語版を買ったところで読めるわけではないのだが、読まなくても中身はわかっている(!)。まあ、威張ってみたところで意味ないな(笑)。さすがに、この本の内容を知らない日本人は少ないだろう。あくまでもコレクションに加わった一冊です。
このほか、アパレル関係やインドグッズ関係、それから少なくないのがヨーガ関連。ヒンドゥー教の聖者ラーマ・クリシュナ関連グッズのお店なども出店していた。
■天気がいいので明治神宮へ。本日もパワースポット「清正井」は満員御礼
天気がいいので明治神宮へ。明治神宮はいついっても杉木立の参道が歩いて心地よい。
相変わらず「清正井」は入場者の列ができているが、本日は整理券終わり。いつ来てもこうだなあ、というよりもこれを見る目的で明治神宮に来るわけではないので、当然といえば当然だが。
自分の目で見たことがないので何ともいえないが、湧き水がでているこの井戸は、東京都内では有名なパワースポットらしい。しかしまあ、猫も杓子もパワスポ流行りですな。それもたいへんお手軽な。
参道を歩いていると、シャッターを押して下さいというジェスチャーをされたので快くOKする。写真を撮ったあと、「どこから?」と聞いてみたら「インドネシアから」という。逆に「どこから?」と聞かれたので、「日本だ」と答えると、思わず二人でニコっとしあう。無意識にでる笑顔はアジア人ならではのもの。
まあ、明治神宮においては、私が日本人であるという保証はまたくないわけだ。国際的観光スポットなので、中国人も台湾人も韓国人もタイ人も、その他西洋人も実に外国人が多いから。「ナマステ・インディア2010」が代々木公園で開催されていたからだろう、参拝客にはインド人も多かった。
■東京ジャーミイ(="代々木上原のモスク")を見学
今回は、代々木には何度もきているのに、いまのいままで行ったことがなかった「代々木上原のモスク」にいくのも目的の一つとしていた。
地下鉄千代田線の明治神宮前駅から二駅目、終点の代々木上原駅で下車、西に歩いて数分の坂の上にある。
戦前から親しまれてきたという「代々木上原のモスク」は老朽化のため取り壊され、現在のものは、建て直されて、2000年に完成したもの。
正式名称を「東京ジャーミイ & トルコ文化センター」という。トルコ共和国政府が多額の資金提供をして再建された、それはもうたいへん立派な、まさに壮麗なモスクである。
ミナレット(尖塔)のあまりの高さに、近くからでは全体像が写真に納まらない。道路の反対側にいって、離れた位置からだと、ようやくレンズに納まった。
内部は自由に見学できるということなので、入ってみる。イスラーム関連の各種のパンフレット類、「アッラーの使徒ムハンマドの40のハディース」をいただいて帰る。
お祈り前にカラダを洗う洗浄ルームがあり、水道の蛇口やシャワーが完備している。禊ぎではないが、イスラームは神道とよく似て、何よりも清浄であることを重んじる宗教である。
礼拝場は階段を上がって二階。これはもう壮麗の一言に尽きる。すばらしい。イスタンブルのブルー・モスクよりは規模は小さいが、内装はよく似ている。新しいので、ブルーの色彩がとくに美しい。
さすが、トルコ政府がカネ使っただけのことはあるが、果たして建設費はいったいどれくらいかかったのだろうかと、ついついそういうことを考えてしまう。
地下鉄千代田線の終点である代々木上原駅で下車したのは今回が初めてだが、駅前には「古賀政男音楽博物館」という建物があった。音楽著作権管理の JASRAC の施設らしい。
入場料が 525円と半端であったが、無料ではないので入るのはやめた。もちろん、古賀政男の名前と音楽は知らないわけではないが、とくだんファンというわけではないので。
もし古賀政男の名前を若い世代にも伝えたいのであれば、入場無料にしたらいいのに。
想定外の明治神宮参拝を加えたために、本日は万歩を越えて 15,000歩 になった。
■インドの多様性について一言。まさに Incredible India !
ところで、インドはヒンドゥー教と思い込んでいる人も多いだろうが、実はインドの総人口の1割以上がムスリムである。
パキスタンとバングラデシュ(・・かつては東パキスタン)が分類した際に、ムスリムは大多数が移住したが、いまでもインド国内にはムスリムはキリスト教徒や、仏教徒よりも多く居住しているのである。
英国の植民地になる前のムガール王朝がムスリム王権であったことを考えれば、不思議でもなんでもない話なのである。
これは、「ナマステ・インディア2010」の会場に出店しているインドグッズ販売店で売っていた、ムスリム男子がかぶる帽子である。
多様性の国インド。インド政府観光局のキャッチフレーズではないが、まさに Incredible India ! である。
<関連サイト>
●インド関連
「ナマステ・インディア2010」(代々木公園)公式サイト
Incredible India(インド政府観光局 音声に注意!)
KingFisher Airline
・・インドの新興格安航空会社
KingFisher Beer
・・こちらはビール
●イスラームとムスリム関連
「東京ジャーミイ & トルコ文化センター」 (音声に注意!)
日本最大のモスク「東京ジャーミイ」イスラムの扉を開ける社会暮らし文化(nippon.com シリーズ 日本で見つけたイスラムの世界 2013年5月8日)
・・この記事によれば、ロシア革命(1917年)で難民となったタタール人が創建にかかわっているらしい。「日本の歴史で、残念ながら長い間、イスラム世界との直接の接触はありませんでした。イスラム教徒がある一定の集団で日本に入って来るのは、20世紀に入ってからです。東京にモスクができたのも、ロシア革命(1917年)で難民となったタタール人の手によるものでした。彼らは中央アジアのトルコ系の民族で、シベリア、中国を経由し、日本にやって来ました。イスラム教徒である彼らが日本で行ったことは、子供たちの学校やモスクを建てることでした。1928年に日本政府から学校設立の許可を得て建設に取り掛かり、1935年に開校しました。礼拝堂(東京回教礼拝堂)の完成は、学校開校から3年後の1938年でした」と話すのは、東京ジャーミイのイマーム(礼拝を先導する導師)である、ヌルラフ・アヤズ(Nurullah Ayaz)さん」
(2018年7月15日 情報追加)
<ブログ内関連記事>
●インド関連
書評 『インドの科学者-頭脳大国への道-(岩波科学ライブラリー)』(三上喜貴、岩波書店、2009)
アッシジのフランチェスコ (4) マザーテレサとインド
書評 『男一代菩薩道-インド仏教の頂点に立つ日本人、佐々井秀嶺-』(小林三旅、アスペクト、2008)
タイのあれこれ(17) ヒンドゥー教の神々とタイのインド系市民
●イスラームとムスリム関連
書評 『日本のムスリム社会』(桜井啓子、ちくま新書、2003)
書評 『帝国陸軍 見果てぬ「防共回廊」-機密公電が明かす、戦前日本のユーラシア戦略-』(関岡英之、祥伝社、2010)
本日よりイスラーム世界ではラマダーン(断食月)入り
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