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2010年8月14日土曜日

書評 『日本のムスリム社会』(桜井啓子、ちくま新書、2003)-共通のアイデンティティによって結ばれた「見えないネットワーク」に生きる人たち



日本で「ムスリム」として生きる人たちのこと

 本書は、現代イラン研究を専門とする著者が、日本在住のムスリムについて、綿密なフィールドワークに基づいてまとめあげた、たいへん読みでのある一冊である。

 「ムスリム」という共通のアイデンティティによって結ばれた、「見えないネットワーク」についての報告を読み進めていくうち、こういう世界がすでに日本のなかにあるのだと、なんだか眼を開かれていく思いがした。出版されすぐに入手していたので、もっと早く読んでおけばよかった。

 日本在住のムスリムは本書の推計によれば、2003年時点で7万人強だという。著者が予測したように、現在ではすでに10万人近いのかもしれない。
 日本では個人の属性として宗教が把握されるわけではない。

また、ムスリムは日本の「檀家制度」のような形でモスクに帰属するのではないので、日本在住外国人の宗教も特定できないのである。実数を把握するのは容易ではないようだ。

 その多くが仕事と職場の関係から関東に集中しているとのことだが、現在では日本で経済基盤を築き、定住する者も増えているという。こうした定住者と結婚しムスリムに改宗した日本人女性も少なからずいるようだ。もちろん、婚姻とは関係なく、個人の意思でムスリムに改宗する日本人もいる。

 実に50カ国以上から来たムスリムが在住する日本では、ムスリムという共通のアイデンティティがあっても、出身地の違いや、イスラーム法の解釈などによて、かなりの多様性があるようだ。もちろん、個人個人の考え方も育った環境によって大いに違いがあろう。言われてみればそのとおりなのだが、十把一絡げにムスリムと捉えてはいたのでは、見えてこないものも多いのだ。

 ムスリムの生活について書くことは、イスラームが生活全般を律する行動規範を定めた宗教体系である以上、誕生から結婚、そして死と埋葬に至るまでのすべての局面に触れざるをえないことになる。

 もちろん生きているあいだに重要なことは、礼拝の場であるモスクの確保と、イスラーム法に準拠したハラール食品の確保、そして断食についてである。そして定住第二世代の教育の問題も大きい。

 それにしても、出版時点の2003年でこれほど多くのモスクが日本にあるとはちょっとした驚きである(注:2010年時点で全国で59)。ムスリムたちによる寄付で不動産を取得し、モスクに改装して使用しているとのことで、著者はその多くを実地検分している。

 本書では、日本人女性がムスリム男性と結婚する際に必要となる改宗と、日本でムスリムとしての生活規範を遵守することの困難さについても触れられている。男女を区分する生活習慣のあるムスリム世界ならではのものであるが、こうした面への視点は著者が女性であることも預かって大きいだろう。

 日系ブラジル人をはじめとした在住日系人についてはいろいろレポートもあるが、ムスリムについては話題になることはそれほど多くはない。

 著者が指摘するように、日本社会は「同化を強いる傾向や異質なものを排除する傾向が強い反面、宗教的なものに対しては比較的寛容で無頓着」(序章 P.23)という不思議な特性がある。

 この日本社会の一員として生きるムスリムたちの「見えないネットワーク」を知ることは、日本について考えるうえで、すでに無視できない重要な要素になっている。

 ぜひ一読をすすめたい。


<初出情報>

■bk1書評「日本で「ムスリム」として生きる人たちのこと」投稿掲載(2010年8月14日)
■amazon書評「日本で「ムスリム」として生きる人たちのこと」投稿掲載(2010年8月14日)




著者プロフィール

桜井啓子(さくらい・けいこ)

学習院女子大学教授。1982年、上智大学文学部卒業。1991年、同大学外国語学研究科国際関係論専攻博士課程修了。博士(国際関係論)。明治学院大学国際平和研究所研究員、学習院女子大学助教授を経て、現在に至る。専攻は比較社会学、地域研究(イラン)。著書に『現代イラン-神の国の変貌-』(岩波新書、2001年、第13回アジア太平洋賞特別賞)などがある。



<関連サイト>

日本にあるモスクのリストについては下記サイトなど参照

 国内主要礼拝所(マスジド)と団体(イスラム便利帳)

 全国モスクリスト

イスラミク サークル オフ ジャパン
・・パキスタン人有志が1992年に結成した団体。日本語でイスラームの紹介(本書で取り上げられているもの)



<関連サイト>

増え続ける日本のムスリム-彼らは何を思い、何を大切にして暮らしているのか?(佐藤兼永)
・・「日経ビジネスオンライン」の連載(2011年8月9日~)(追補)


<ブログ内関連記事>

本日よりイスラーム世界ではラマダーン(断食月)入り
・・井筒俊彦訳の『コーラン』(クルアーン)についても言及。『ハディース』の詳細についても。

「マレーシア・ハラール・マーケット投資セミナー」(JETRO主催、農水省後援)に参加

書評 『ハビビな人々-アジア、イスラムの「お金がなくても人生を楽しむ」方法-』(中山茂大、文藝春秋社、2010)

「ナマステ・インディア2010」(代々木公園)にいってきた & 東京ジャーミイ(="代々木上原のモスク")見学記
・・東京ジャーミイの写真を掲載してある




(2012年7月3日発売の拙著です)







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