2022年5月31日火曜日

「世界世界禁煙の日」(World No Tobacco Day)のポスターに思うこと(2022年5月31日)-WHO作成のポスターと日本の厚生労働省のポスターがあまりにも違いすぎる




かし、それにしても違うのは、WHOによるポスターと、厚生労働省のポスターから受ける印象です。


 (「タバコはわたしたちの惑星(=地球)を害している」)

見るからに毒々しく、ディストピアかハルマゲドンかといった、終末論的で不快感をもよおす強烈なインパクトのあるWHOのポスター。

それに対して、喫煙家にマイルドに禁煙を促す癒やし系な日本のポスター。優しいというべきか、微温的というべきか。

両者の違いは、北風と太陽というコントラストというべきでしょうか。


個人的には、モデルをつとめている波瑠(はる)さんは好みの女優なのですが、「禁煙の日」という趣旨からいえば、どうかなあという気がしないでもありません。 

タバコは喫煙者や受動喫煙者の健康を害していて、わたしたちを殺しているだけでなく、「地球に有害」であり、「タバコは環境破壊だ」というメッセージのほうが、地球環境問題に敏感な若者へのアピールが大きいのではないのでしょうか? WHOのサイトにリンクされている動画を、ぜひご覧いただきたいと思います。


いずれにせよ、わたしは「世界禁煙デー」(World No Tobacco Day)の趣旨には全面的に賛成です。

いや、「世界禁煙デー」ではなく、「1年365日が毎日世界禁煙デー」としてほしい。それがWHOの趣旨なのです。”Make Every Day World No Tobacco Day” (2018年のスローガン)であるべきなのです。 


一日もはやく、この地球上からタバコが消えてなくなりますように! 






PS 英国のジェームズ1世は「禁煙論者」だった

そういえば、英国のジェームズ1世は「禁煙論者」だったことを思い出した。
『超訳ベーコン』の作業をしていた際、政治家としてのフランシス・ベーコンが仕えていたジェームズ1世について調べていた際に、こんな論文を発見した。


ベーコンを含めた16世紀から17世紀のイングランド政治史の研究者だった故塚田富治教授の論考だ。

ジェームズ1世の「禁煙論」は、しかしながら北米植民地で栽培され投資家にとって大きな収益源となっていたタバコの利害関係者からの猛反対で実現しなかったが、17世紀初頭にはすでに禁煙論者はいたのである。ジェームズ1世は、魔女狩りだけではない。

そんな歴史の一コマを想起すべきである。塚田富治氏とは、その昔、飲み会の席で1回だけ会って会話したことがあるが、こんな論考を残してくれたことに感謝すべきである。本人がタバコ嫌いだったことはあとから知った。そうだったのか、と。


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・・10年前の2012年に書いた記事。おお、もう10年もたっていたのか!



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2022年5月26日木曜日

書評『ゲコノミクス ー 巨大市場を開拓せよ!』(藤野英人、日本経済新聞出版社、2020)ー 個人レベルの「選択の自由」が保証された社会では酒を飲まない人がマジョリティになる!

 

酒をやめて「500日」になったこともあり、積ん読となっていた本をささっと読んでみた。  著名な投資家は、「酒を飲まない人」を大ぐくりで「ゲコノミスト」と命名している。

「下戸(げこ)」とは厳密にいえば「酒を飲めない人」のことだが、「酒を飲めないから、飲まない人」だけでなく、「酒は飲めるが、飲まない人」までカバーしている。 わたしも自分自身が「酒を飲まない人」にならなかったら、こんな本はまず読むことはなかっただろう。

わたしは「酒は飲めるし、強いし、好きだ(った)が、飲まないことにした人」なので、厳密にいえば狭い意味の「下戸」ではない。だが、広い意味で「ゲコノミスト」に分類委されるということになるのだろう。そんな人は少なくないようだ。 「ゲコノミスト」の個別性、多様性が重要なのである。

(2022年5月16日に500日達成していた)

2020年5月に初版がでた本だが、読んでいると2019年には「飲み会スルー」が流行語になったとあった。 ああ、そういえばそんなこともあったなと思い出しながら読んだが、2020年1月から始まった「新型コロナウイルス感染症」(COVID-19)がパンデミックとなって、この2年間で組織が主催する「飲み会」がほぼ絶滅危惧種となった。 大きな環境変化である。

この流れは、もはや不可逆の流れといっていいだろう。お酒を飲まない人がマジョリティになる! 飲む飲まないは、あくまでも「個人の自由意志」にもとづく「選択の自由」の問題だという認識が定着してきたのである。

酒を飲みたい人は飲めばいいし、飲みたくない人は飲まなければいい。そんな社会が到来しつつあり、定着しつつあるのだから、たいへん結構なことではないか! ようやく日本も、先進国になりつつあるわけだ。

すでに「お酒を飲まない人」の巨大な市場が存在するのに、業界はまだ、まだ対応しきれていないというのが本書の趣旨。その通りだろう。 

ちなみに、わたしは酒を飲まなくなってからも「ノンアルビール」は飲まない。むかしから嫌いだからだ。ビールからアルコールを抜けばいいというのは陳腐な発想だ。 

個人的な話だが、なんといっても「水」がいちばんうまい。それも「炭酸の入っていない純水」。料理の味はアルコールで舌をごまかすのではなく、水ならきちんと味わうことができる。我慢して酒を飲まないのではない。飲みたいという気持ちじたいが失せてしまった。 

巻末の「ゲコゲコ 特別対談 糸井重里×藤野英人」は面白かった。 著者の藤野英人氏だけでなく、糸井重里氏も「下戸」だったのか。


目 次
序章 ゲコノミクスについて、大マジメに語ろう
第1章 見落とされてきた巨大な「ゲコ市場」
第2章 投資家が考える「企業経営とアルコール」
第3章 多様性と「飲む・飲まない」の選択との関係
第4章 ゲコ市場開拓のヒント
ゲコ×ゲコ特別対談 糸井重里×藤野英人

著者プロフィール
藤野英人(ふじの・ひでと)
レオス・キャピタルワークス株式会社代表取締役社長・最高投資責任者。1966年富山県生まれ。1990年早稲田大学法学部卒業。国内・外資大手投資運用会社でファンドマネージャーを歴任後、2003年レオス・キャピタルワークス創業。主に日本の成長企業に投資する株式投資信託「ひふみ投信」シリーズを運用。JPXアカデミーフェロー、明治大学商学部兼任講師、東京理科大学上席特任教授。一般社団法人投資信託協会理事。著書多数。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)


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(2023年12月17日 項目新設) 


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・・組織が主催する「飲み会」を支配しているのは日本人を見えないところで縛り付けてきた「世間」である


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2022年5月24日火曜日

『超訳自省録エッセンシャル版』kindle版が「ベストセラー1位」に!(2022年5月24日)-しかも「哲学・思想」と「思想」の両カテゴリーで!

 
『超訳自省録エッセンシャル版』kindle版が「ベストセラー1位」に!(2022年5月24日現在)。これは驚きだ。もちろん、ありがたいことだ。



しかも分野は「哲学・思想」。 



「思想」でも「ベストセラー1位!」




ドラマ『ミステリと言う勿れ』のおかげで、印刷版が「ベストセラー1位!」となりましたが(ここ最近は第2位以上にには上がれていない)、kindle版での「ベストセラー1位」でしかも、本来あるべきカテゴリーの「哲学・思想」と「思想」で「ベストセラー1位」というのはありがたく、うれしい。

すでに印刷版は第5刷で2万部を越えている。

kindle版での「ベストセラー1位」が、しばらく続いてくれるといいのだが・・・



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2022年5月20日金曜日

「シイタケ・スナック」(Siitake Mushroom Crisps)-最近はまっているもの(2022年5月20日)

 

ためしに買ってみた "Siitake Mushroom Crisps"(シイタケ・マッシュルーム・クリスプ)。

英語圏ではシイタケのことを siitake mushroom ということは昔から知っていたので、この製品を偶然知ったときから、なんとなく気にかかっていた。  

そしてついに、じっさいに買って食べてみたわけだが、塩味のついたスナック菓子のようなもので、口に入れて噛んでいるとパリパリ、サクサク系で小気味良いのだが、中身の白い部分は食べているとネットリ系という、なんだか不思議な食感。 

最初はなんとなく変な感じがして、買って損したかな(^^; と思ったが、そのうち病みつきになってしまったのだ。 

袋の裏を見ると、なんとオーストラリア産のようだ。 

日本人が、オーストラリアで生産されて加工され、輸入されたシイタケ・スナックを日本で食べる。考えてみると変な感じだが、まあいいか(笑) 

大きさはバラバラで、大きなものから小さなものまで無差別に入っている。つまり、選別費用もかかっていない、ということだ。生シイタケ840gからスナック菓子300gが製造されているとのこと。

植物油で揚げて塩味をつけているだけの製品。これなら製造工程も簡単だろうな。

こういうスナック菓子が日本で生まれなかったのは残念というべきだが、シイタケなど当たり前過ぎて、まったく思いつきもしなかったというのが正直なところだろう。発想の盲点というわけだ。BBQでは焼いて食べるのに・・。




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(2022年5月24日 情報追加)


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2022年5月18日水曜日

『Defending Japan』(日本防衛)というシリーズものドキュメンタリー3本をつづけて視聴(2022年5月15日)-米国視線で「日本防衛」を考える

 
『Defending Japan』(日本防衛)というシリーズものドキュメンタリー3本をつづけて視聴。米国の History Channel 製作。これまた amazon prime video が推奨してくるので視聴した次第。

1. 迫り来る脅威(Behind the Strategy) 
2. ミサイル防衛(Launch Codes) 
3. 静かなるブルー(Deep Blue) 


1は総論。2は北朝鮮のミサイル発射実験、3は海上進出を図る中国の脅威にかんするもの。内容的には3がいちばん面白い。各エピソードは約40分。音声は英語、日本語字幕つき。 

いずれも製作が2018年なので、やや情報が古くなっているのは仕方ない。たとえば、北朝鮮から発射されるミサイル防衛のイージス・アショアなどだ。このビデオの時点では、陸上設置型が検討されていたが、その後中止になったことは周知のとおり。

とはいえ、米国人が米国人視聴者向けに製作したドキュメンタリーを視聴すると、日本に駐留する米軍が、「日米軍事同盟」のもと、「日本防衛」をきわめて重視していることがよく理解できる。日本自身が日本を防衛するのは当然だが、米国にとっても日本を防衛する意味と価値があることを、いかに米国人に理解させるか、そういうテーマの内容だ。

当然のことながら、米国の軍人は命を張っているのである。安全保障の専門家や高級将校だけでなく、現場の兵士たちも自分たちの使命と責任について語る。

2022年時点でも見る価値ありといっておこう。


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書評 『仮面の日米同盟-米外交機密文書が明らかにする真実-』(春名幹男、文春新書、2015)-地政学にもとづいた米国の外交軍事戦略はペリー提督の黒船以来一貫している
・・日本防衛のための駐留が第一目的ではないとしても、米軍にとって日本列島がロジスティクス上の重要な位置づけである点は否定しようがない事実だ。大平洋からインド洋に欠けて展開する米軍にとって、日本に基地がなければ支障を来す

書評 『日米同盟 v.s. 中国・北朝鮮-アーミテージ・ナイ緊急提言-』(リチャード・アーミテージ / ジョゼフ・ナイ / 春原 剛、文春新書、2010)


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2022年5月17日火曜日

書評『小隊』(砂川文次、文春文庫、2022)リアル戦争シミュレーション小説-ロシア軍が侵攻してくる可能性は小さいとしても読む価値あり

 
今月(2022年5月)に文庫化された『小隊』(砂川文次、文春文庫、2022)を読んだ。1990年生まれの、元自衛官の芥川賞作家による作品。  

ロシア軍が北海道の北岸に上陸し侵攻、進撃してくる敵軍を迎え撃つ陸上自衛隊の歩兵部隊の新任将校を、主人公かつ語り手にしたリアル戦争シミュレーション小説。 

ロシア軍が侵攻してくるという想定は、「第1次冷戦時代」にはかなりのリアリティがあったが、現状では可能性としては小さいだろう。

2022年2月24日から始まった「ウクライナ戦争」によって、かえってその可能性はしばらくは低くなったというべきだろう。 そうでなくてもソ連崩壊後は手薄になっている極東ロシア軍の兵力が、ウクライナ方面への移動でさらに手薄になっているからだ。

とはいえ、戦争シミュレーション小説の設定としてのリアル感がこの小説にはある。その観点から読む意味はある。 

主人公の行動と意識、周囲との関係性、戦闘が始まってからのリアルな展開など、さすがに元自衛官ならではのディテールの積み上げがある。だが、それゆえに読みにくいは欠点かもしれない。正直いって、この作家の粘着質な文体にはなじみにくいものを感じる。 

「ロシアによるウクライナ軍事侵攻」が開始されて以降、ほぼ毎日のようにリアルな戦闘シーンを映像で見ているが、実際の戦闘中の歩兵の視点による動画はほとんどない。ウクライナ政府が情報統制しているのもその理由の一つだ。 

戦場を一歩出たら、市民生活(あるいは、その残存)があるというのもまた、シュールでありながらも、確実なリアリティであろう。 あまりにも異なる世界が、時間的にも空間的にも並列的に存在している状況。おそらく、ウクライナの現状もそうなのだろうなと想像してみる。 

戦場のリアルにかんしては、日露戦争における激戦「203高地」の戦闘体験記である『肉弾』という作品が明治時代にある。スプラッター状況をこれでもか、これでもかと描いたベストセラーのノンフィクションだ。技術的には可能であっても、倫理的な関連から、映像では表現できないリアルなシーンがたくさんあるのだ。

この点は、この『小隊』という小説も共通している。小説という形態の意味は十分にある。映像化できないシーンは、イマジネーションをつうじて体感するしかない。だからこそ、この小説を読む意味はあるのだ。これは、じっさいに読んで確かめていただくしかない。 

文字作品ならではの体感を追体験できるのは、小説ならではといえるだろう。内的独白の多い、私小説のような戦争小説であった。 




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2022年5月16日月曜日

祝!沖縄復帰50年(2022年5月15日)ー 食卓から見た日本全土で進む「沖縄化」

 
沖縄復帰50年(2022年5月15日)である。早いものだ。

当時の記憶はいろいろあるが、沖縄産のパイナップルが大量に出回っていたことを覚えている。それまでは、甘いシロップ漬けの缶詰のパイナップルしか知らなかったので、ホンモノのパイナップルは強烈な印象を感じた。

50年前に沖縄が復帰した頃、沖縄料理は内地ではほとんど普及してなかった。「ゴーヤちゃんぷるー」をはじめて食べたのはいつのことだったろうか? 社会人になってからだろうな。ということは、つまり復帰から約15年後のことだ。

泡盛をはじめて飲んだのも、社会人になってからだろう。泡盛にかんしては、南九州の芋焼酎より、はるかに内地での普及は遅れている。 泡盛は当然のことながら沖縄料理とは合うが、それ以外の料理との相性がかならずしもよくないからだろうか。

いまでは沖縄料理をつくるするための食材は、沖縄以外でもほぼすべて入手可能だ。沖縄の食材店わしたショップなどで手に入る。だが、リアルの沖縄物産店が全国津々浦々にあるというわけではない。「沖縄そば」は、通販でも利用しない限り、沖縄以外では普通のスーパーマーケットでは売ってないだろう。


ゴーヤちゃんぷるーも、すっかり日本全土で食卓にのるようになったのではないかな。

ただし、この写真のゴーヤちゃんぷるーには、沖縄産の食材は1つもない。 「ゴーヤー」(・・むかしは「ニガウリ」といってたな)は鹿児島産、「沖縄豆腐」はうちの近所では入手できないので「もめん豆腐」で代用(・・ただし、水抜きはしっかりと!)、かろうじてランチョンミートは、なぜか沖縄ではポピュラーな Tulip(チューリップ)。ただし、生産国はデンマークなり。 


とはいえ、一般家庭でもゴーヤーちゃんぷるーを簡単につくれるようになったということは、日本全体の「沖縄化」が進展中ということだろうな、と。 いまでは「もずく酢」も、スーパーマーケットではいつでも手に入るアイテムとなった。これも沖縄産だ。

復帰後の50年の変化は、米国統治下の沖縄の歴史を踏まえたものであることは、しっかりとアタマのなかに入れておきたい。


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