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2014年11月23日日曜日

解体工事現場は面白い!-人間が操縦する重機に「人機一体」(=マン・マシン一体)を見る


解体工事現場は面白い。小学生でなくても、解体現場というのは、なぜだが興味津々でついつい見入ってしまうものだ。とくに男子ならその気持ちはわかると思う。

この現場で解体しているのはRC造(=鉄筋コンクリート)の建造物。コンクリートを破砕して、コンクリートと鉄筋を分別する作業を行っていた。これは、なかなか大変な作業だ。鉄筋コンクリート造の建造物が頑丈なのは当然だ。

(重機の先端部分のアタッチメントは着脱自由)

油圧ショベル(重機)の先端に装着されたアタッチメントのグラップルの形が面白い。グラップルというのはハサミのことだが、この現場で使用されているグラップルは鳥のアタマのようだ。

クレーンは鳥のツルという意味だが、パワーショベルは怪鳥のようである。怪鳥がクチバシでガリガリとコンクリートの塊をかみ砕いていくさまは見応えがある。破砕音や振動、ガソリンの匂いなど五感を再現できれば臨場感が増すのだが、やはり観察はリアルな現場に限るのである。


建築と解体は対(つい)で考えることが必要

鉄筋コンクリート(RC:Reinforced Concrete)は、コンクリートの補強として鉄筋を入れたものだが、鉄筋とコンクリートが融合しているので、鉄筋に錆がでて劣化しない限り、きわめて堅固なものである。

建築の際には、いかに堅固な建築物を構築するかばかりを考えるものだが、解体の際には、コンクリートの瓦礫から鉄筋を分別するのがいかに大変であるかがわかる。それほど、鉄筋コンクリートは基本的に頑丈なのである。

解体した建築廃材(=ガラ)は分別したうえで、産業廃棄物として処分される。解体業は産廃事業であり、いわゆる静脈(じょうみゃく)産業である。これは、人体をめぐる血管のアナロジーとして命名された産業分類だ。動脈と静脈は対(つい)の関係にある。

同様に、建築と解体は対(つい)にして考えるべきなのだと、あらためて納得する。スクラップ・アンド・ビルドという表現があるが、建築が解体され更地となるだけでなく、解体のあとには建築が行われることも多々あるのだ。




人機一体(=マン・マシン一体)

パワーショベル(重機)で作業している現場を見ていると、人間が操縦する巨大なロボットを連想させるものがある。重機という機械と、操縦する人間が一体化しているのだ。

小学生が引き込まれるのもそのためだろう。かつて小学生だった大人だってワクワクするのも当然だ。重機の操縦はバランスをとるのが、なかなかむずかしそうだ。

「人馬一体」という表現がある。乗り物としての馬と、それに乗る人の息がピッタリとあって一体化しているさまを表現したものだ。自動車が馬車の延長線上にあることは、技術史の常識である。

この表現になぞらえれば、重機の場合は「人機一体」だ。「マン・マシン一体」である。マン・マシン・システムというと、一般には人とコンピュータの一体化のことをいうが、重機もコンピュータ(・・そもそもの意味は計算機)も機械であることは共通している。

かつて「コンピューター付きブルドーザー」と呼ばれた田中角栄という首相がいたことを思い出した。1970年前後の話であるが、現在の重機は電子制御化が進んでいるので、文字通り「コンピューター付きブルドーザー」となっている。

とはいえ建設機械の大半は無人化された自動操縦ではない。アームの操作によって作業を行う点は産業用ロボットに似ているが、自動運転ではなく人間が操縦するのでロボットではない。人工知能ではなく、人間の頭脳が状況を判断し、手でスティックを握って操作するのである。重機という道具(ツール)もまた、手の延長線上にあるわけだ。

原子炉の内部などは無人化したロボットの導入が行われているが、市街地の解体現場に無人化した重機が登場することはあるのだろうか?

技術の進歩は経済性との関数でもあるので、将来の解体現場がどのようなものになるのか判断がつきかねるものがある。だが、当分のあいだは、「人機一体」の解体シーンを観察することができそうだ。






<関連記事>

「日本一難しい解体工事」に深夜潜入  鉄道3路線を止めずに渋谷駅直上で東急百貨店を壊す(日経ビジネスオンライン、2015年6月2日)

(2015年6月2日 情報追加)


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マンガ 『いちえふ-福島第一原子力発電所労働記 ①』(竜田一人、講談社、2014)-廃炉作業の現場を作業員として体験したマンガ家による仕事マンガ
・・廃炉作業もまた解体作業の一種

書評 『馬の世界史』(本村凌二、中公文庫、2013、講談社現代新書 2001)-ユーラシア大陸を馬で東西に駆け巡る壮大な人類史
・・「人馬一体」から「人機一体」へ

書評 『思想としての動物と植物』(山下正男、八坂書房、1994 原著 1974・1976)-具体的な動植物イメージに即して「西欧文明」と「西欧文化」の違いに注目する「教養」読み物
・・「Ⅳ章 馬から機械へ」では、動力源の変化が、馬から機械への転換を促し、その移行期においては馬のメタファーが使用されていたことが指摘されている。馬力(horse power)という英単語が端的にその事情を表現している」


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