秋になると茶色いつぶつぶの実がなっているので目に入ってくる植物がある。
葉っぱの形や、つるになっていること、実のつぶつぶ具合から、もしかしてヤマノイモかなという一瞬思って見たりもするが、ヤマノイモの場合はタネが入っている実ではなく、子芋がなるので違うのである。
そう、これはヤマノイモではない。ヘクソカズラである。
ヘクソカズラは漢字で書くと屁糞葛。屁に糞でヘクソ。スゴイ名前である。葉や茎に悪臭があることから、そう名付けられたという。アカネ科ヘクソカズラ属の蔓性多年草である。
ヘクソというと、ヘクサゴンというコトバを想起する。ヘクサゴン(hexagon)は六角形のことだ。音の響きが悪いねえ。ギリシア語なんだが。
このほか「クソ」を含むコトバにはタクソノミー(taxonomy)というものもある。これは分類(学)という意味だ。これもギリシア語が起源。タックス(tax)を含んでいるが、税金学ではないので念のため。
どうもギリシア語には X(クス)音を含んだ単語が少なくないようだ。日本語は、この X(クス)音に母音がつけてさまざまなコトバを作り出しているが(・・正確には ks ではなく kus)、クサ(草)、クシ(串、櫛)、クス(楠)、クセ(癖)、クソ(糞)と並べてみると、それぞれ関係がありそうな気もしてくる。クスを濁音化するとクズ(葛)、グズ(愚図)となる。
コトバの響きというものは、ポジティブなものばかりではない。だが、ネガティブな響きをもった名前こそ生命力が強いといえるかもしれない。いわゆる悪名というやつだ。憎まれっ子世にはばかる、というコトワザもある。
ヘクソカズラもまた、日本中どこにでもある、じつに生命力の強い植物である。
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