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2015年4月18日土曜日

「鈴木未知子リサイタル2015@船橋きららホール~未知なる道の途中で~」(2015年4月19日)で、中東世界の楽器カーヌーンとアフリカ起源のマリンバを聴く



本日(2015年4月18日)は、船橋生まれの音楽家・鈴木美知子さんのリサイタルに行ってきました。

鈴木未知子リサイタル2015@船橋きららホール~未知なる道の途中で~。リサイタル会場は、もちろん地元船橋で。船橋市民文化創造館きららホールにて。
  
「コンサートがお客様を楽しませるものだとすれば、リサイタルは音楽家が表現したいものを表現するものだ」というのが恩師のコトバのそうですが、今回のリサイタルのプログラムは、第1部がアラブの撥弦楽器カーヌーン、第2部がマリンバの演奏。わたしだけでなく、ほとんどの人が聴いたことのない曲のようでした。

プログラムの詳細は以下のとおりです。

第1部 「中東の香り」
1. Refik Talat Alpman / Mafur saz semaisi (トルコの古典曲)
2.  Traditional / Hicaz Mandra  (トルコの古典曲)
3.  Maya Youssef / Syrian Dreams (シリアの現代曲)
4.  Mohamed abdel wahhab / Enta omri (エジプトの歌曲)

 休憩
 プレ演奏 R. pawassar / Sculpture in wood

第2部 「マリンバで奏でる日本の詩」
5. 山澤洋之/彩~SAIから
 第1楽章 夜桜
 第2楽章 紫陽花
 第3楽章 楓
6. 日本古謡/さくらさくら(カーヌーン演奏) 
7. 鈴木美知子/「F」より 1. The dawn colors
8. 安倍圭子/わらべうたリクレクションズ 
 
アンコール: カヴァレリア・ルスティカーナより間奏曲(イタリアオペラの名曲) 他

出演: 鈴木未知子(マリンバ・カーヌーン) ,千田岩城(マリンバ) 山澤 洋之(打楽器) 壷井 彰久(ヴァイオリン) 山宮 英仁(レク) ほか

カーヌーン奏者は日本にはほとんどいないそうで、鈴木美知子さんは、先駆者として「未知なる道」を開拓している音楽家といっていいのでしょう。カーヌーンのLIVE演奏を聴くのは今回が初めての経験です。音量が小さいので座席数100席くらいの小ホールがよいとのこと。

『第三の男』で有名なアルプス地方のツィターとカーヌーンは似ていますが、撥弦楽器という点においては日本のお琴にも似ています。

鈴木美知子さんが使用しているのは、エジプト製のカーヌーン。このカーヌーンで演奏された曲は、トルコ、シリア、エジプトのもの。日本のように流行り廃れが激しく、音楽シーンがめまぐるしく変わるのではなく、千年前の曲も現代曲も同時に演奏され続けているとのことです。
  
トルコの曲にはハンガリーの旋律を感じたのは、ともに中央アジアにルーツをもつ民族のDNAが反映しているのでしょうか。トルコ音楽は、中央アジアと中東のハイブリッドという印象です。エジプトの曲は、日本の演歌を想起させるものがあったのは不思議な感覚でした。

(トルコの79弦カーヌーン wikipediaより)

リサイタルでの説明はありませんでしたが、カーヌーンについてちょっと調べてみると面白いことがわかります。

カーヌーンはギリシア語のカノンに由来するとのこと。カノン(canon)とは、もともとは棒のことで、転じて基準や規範を意味するようになったとのこと。法学用語としては「教会法」(Canon Law)のことを意味しています。イスラーム法学においては、神の法である「シャリーア」(sharia)に対して、「カーヌーン」(qanun)は世俗法を意味しています。

もちろん楽器としてのカーヌーンは音楽用語であるので、カノンもまた輪唱もそのひとつであるポリフォニーのことを意味しているでしょう。70もの弦をもつカーヌーンは調律に時間がかるようですが、倍音を多用するカーヌーンの音色を聴いていると、なぜか西欧の中世音楽の響きを想起するものがあったのは不思議ではないのかもしれません。

楽器のカーヌーンの語源がギリシア語のカノンであることは、古代ギリシア世界の遺産が、イスラーム世界に継承されていったことの一つの事例といってもいいでしょう。

マリンバは比較的日本でも知られている存在ですが、そもそもマリンバはアフリカ起源の木琴が中南米を経て北米へで普及し、そして日本に入ってきた楽器です。マリンバもカーヌーンも、ヨーロッパ経由ではないところが興味深い。
 
日本の音楽教育は、明治時代にはじまった「西欧近代化」の先兵的役割を果たしたこともあり、西洋音楽を基本としています。このため、どうしても西欧近代の価値観が刷り込まれやすい分野であるといえます。

鈴木美知子さんも、音楽大学でクラシックを中心とする日本の正統な音楽教育を受けてきた人ですが、問題意識のきわめて強い人で、西欧的価値観の相対化に音楽で取り組んでいるわけです。演奏家としての民族音楽への取り組みは、現代日本では大いに意味のあることといえるでしょう。

鈴木美知子さんの、今後のさらなる活躍を期待し応援しています。





演奏者プロフィール

鈴木美知子(すずき・みちこ)
千葉県船橋市出身。洗足学園高等学校音楽科及び同音楽大学打楽器コース卒業。 国立音楽大学大学院修士課程修了。 大学在学中、前田音楽記念奨学金を授与。洗足学園音楽大学特別選抜演奏者に認定され、特別選抜者ジョイントリサイタルに出演。特別選抜ブラスのメンバーに選出され、レコーディングなどに参加。 第15回日本クラシック音楽コンクール全国大会、大学の部入選。第12回JIRA音楽コンクール本選第2位(1位無し)第25回打楽器新人演奏会出演。 これまで様々なマリンバセミナーにおいて、世界的に活躍するマリンビストの指導を積極的に受ける。 また、クラシック以外のジャンルでも活動し、特に日本で数少ないアラブの琴、カヌーン奏者としてジプシー&オリエンタル音楽アンサンブル「アラディーン」に参加し、打楽器にとらわれず様々な分野で活動している。 これまでに、打楽器、マリンバを岡田知之、石井喜久子、植松透、神谷百子、白石元一郎、竹島悟史、福田隆、藤井むつ子の各氏にダラブッカ、アラブ音楽全般を松尾賢氏に師事。 現在、フリーの音楽家として意欲的に活動をするほかチケット制音楽教室Gratia Music School、芽ばえ音楽教室各マリンバ講師。その他吹奏楽指導やピアノ指導も行っている(ブログ情報に補足)


<関連サイト>

music*life (鈴木美知子公式ブログ)

彩龍の川まつり 鈴木未知子カーヌーン地下神殿コンサート (YouTube)

タクシーム アラブの良心 カーヌーン演奏と歌 ヤスミン植月千春 (YouTube)

Qanun (instrument) wikipedia






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(2012年7月3日発売の拙著です)










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