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2016年1月4日月曜日

華人世界シンガポールの「ハウ・パー・ヴィラ」にも登場する孫悟空-2016年の干支はサル ③

(シンガポールのハウパーヴィラにおける孫悟空 筆者撮影)

中国文明でサルといえば、なんといても孫悟空であろう。孫悟空は、日本人にもおおいに愛されてきたサルのキャラクターで、マンガやアニメ、それから実写ものなど、さまざまな形で取り上げられてきた。

個人的には、小学生の頃に見ていた手塚治虫のアニメ 『悟空の大冒険』夏目雅子が三蔵法師を演じた実写版がなんといっても記憶に刻み込まれている。最近の子どものあいだでは『ドラゴンボール』がポピュラーなものであろう。マニアックなマンガでは諸星大二郎の『西遊妖猿伝』という作品もある。

『西遊記』のなかに登場する孫悟空は、仏教経典をもとめて天竺(=インド)に旅する三蔵法師のお供の一人(・・一匹というべきか?)。ブタ(?)の猪八戒(ちょはっかい)とカッパ(?)の沙悟浄(さごしょう)とトリオを形成している。日本の昔話でいえば、桃太郎のサル・キジ・イヌに該当する。

孫悟空といえば、「お釈迦様の手のひらの上をうろうろしているにすぎない」というフレーズでもよく登場して比喩的な使い方もされる。フィクションであるにもかかわらず、それだけ日常的な存在でもあるというわけだ。

こんなふうに日本では愛されてきた孫悟空だが、本家本元の中国ではどうなのだろうか? 

そもそも『西遊記』は中国の4大小説のひとつである。『西遊記』の根底にあるのは道教的な世界観であるといわれる。儒教が統治する側の論理であれば、道教は統治される側の民衆レベルに密着した教えである。妖怪などが登場する神仙思想もその流れにある。

それを知るにはシンガポールの「ハウ・パー・ヴィラ」(Haw Par Villa)にいってみるといいだろう。

「ハウ・パー・ヴィラ」は、中国共産党が大陸を制覇する前の、旧時代の中国人のアタマの中身を「見える化」したテーマパークである。妙にリアルで極彩色のキャラクターたちが所狭しと詰め込まれている不思議な空間だ。その大半は実在しない想像上の産物だ。


(妖怪どもと戦う孫悟空 筆者撮影)

「ハウ・パー・ヴィラ」は、万能塗り薬のタイガーバームの生みの親である胡文虎(ハウ)と胡文豹(パー)の兄弟の名前から一時づつをとった名称だ。いわゆる「タイガー・バーム・ガーデン」である。香港のタイガーバームガーデンは壊されてしまったので、シンガポールに残るものは、きわめて貴重な存在である。

シンガポールに限らず、タイやミャンマーなど華僑・華人として移住した先の東南アジアには、旧時代の中国がそのまま保存されているのである。胡文虎と胡文豹の兄弟は、大英帝国統治下のビルマの首都ラングーン(=ミャンマーの首都ヤンゴン)生まれの客家(はっか)出身者である。

そのシンガポールの「ハウ・パー・ヴィラ」には『西遊記』のコーナーがあって、孫悟空と妖怪たちとの戦いも、三次元の立体彫刻のジオラマとして展示されている。

ところで孫悟空はサルとしてきたが、中国文学者の中野美代子氏の『孫悟空の誕生-サルの民話学と「西遊記」-』(岩波現代文庫、2002)によれば、漢字の「猿」はじつはテナガザルのことであり、ニホンザルのような短腕で短尾のものは「猴」(こう)というのだそうだ。とすれば、孫悟空は「猿」ではなく「猴」(こう)となる。

(猪八戒が先導する三蔵法師一行 筆者撮影)

「ハウ・パー・ヴィラ」のキッチュでグロテスクな展示物は庶民的で面白い。『西遊記』というと、中国では古典演劇の京劇が引き合いに出されることが多いが、ハウ・パー・ヴィラの『西遊記』ジオラマもまた、片足を上げるポーズには京劇的な大げさな動作が反映している。日本人との感覚の違いを強く感じることだろう。

「旧時代の中国人のアタマ」の中身が、現在の中国人のアタマのなかにどれくらい残存しているのかはわからないが、そんなことを考えるためにも、旧時代の中国がそのまま保存された「ハウ・パー・ヴィラ」は、ほんとうに興味の尽きることのないテーマパークなのである。

シンガポール観光の際には、ぜったいにはずしたくないスポットである。





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映画 『猿の惑星』の原作は、波乱万丈の前半生を東南アジアで送ったフランスの作家が1963年に発表したSFである

(2016年1月7日、2月1日 情報追加)


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