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2018年3月21日水曜日

書評 『日本問答』(田中優子/松岡正剛、岩波新書、2017)-「日本の来し方・行く末」について考えるための読み応えのある濃厚な対話


 『日本問答』(田中優子/松岡正剛、岩波新書、2017)を読んだ。

この二人の名前はいわずもがなと思うが、田中優子氏は現在は法政大学総長、専門は近世日本つまり江戸時代の文化史で、日本をグローバル世界のなかに位置づけて考察している。わたしも『江戸の想像力』『近世アジア漂流』その他の著作には大いに感心してきた。

松岡正剛氏は、いわば「知の巨人」。古今東西の書籍の膨大な読書を続けている編集工学の主唱者ウェブで連載が継続中の「千夜千冊」などのほか、『空海の夢』『知の編集工学』などの著作には大いに啓発されてきた。 こんな二人の問答が面白くないはずがない。

とはいえ、日本にかんして、ある一定程度の知識をベースにした「教養」がないと、その面白さを十二分に堪能できないかもしれない。まさに日本の古今東西だけでなく、日本を越えて世界に及ぶ、縦横無尽といった内容の対話録だからだ。

出版社の岩波書店による内容紹介は以下のとおり。

「日本はどんな価値観で組み立てられてきたのか.なぜそれが忘れられてきたのか.「内なる日本」と「外なる日本」,「善」と「悪」,「表」と「裏」――デュアル思考で見えてくる多様性の魅力とは.常に新境地を切り開く江戸文化研究者と古今東西の書物を読破し続ける編集工学者が,日本の来し方・行く末をめぐって侃侃諤諤の知の冒険!」

いまの日本人に決定的にかけているのは、江戸時代の日本型儒教にかんする知識だという「第5章 日本儒学と日本の身体」での松岡正剛氏の指摘は重要だ。

儒教という思考方法を身につけたことによってカタチの明確でなかった神道が確立し、国学へとつながっていくからだ。こういう思想の発展経路は、小林秀雄晩年の大著『本居宣長』に詳しく書かれているのだが、日本人全般の「教養」にはなっていないのだろうか?

この対話録も終わりに近づくにつれて、とくに田中優子氏のリベラル派というか左派的な地金が浮上してくるのが、わたしにとってはややうっとおしいが(笑)、江戸時代を中心にした日本文化の考察にかんしては、大いに傾聴すべき指摘も多いことは否定しようがない。

第8章のタイトルではないが「日本の来し方・行く末」について考えるためには、読み応えのある濃厚な対話であるといえよう。









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