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2010年6月27日日曜日

「ダライ・ラマ法王来日」(His Holiness the Dalai Lama's Public Teaching & Talk :パシフィコ横浜 2010年6月26日)にいってきた




 昨日(2010年6月26日)は丸一日、パシフィコ横浜にて、来日中の "仏教界のスーパースター"、ダライラマ14世のセミナー(法話&講演会)に参加してきた。

 ホンモノのもつすごさを体験する貴重な機会になるのではないかと、ワクワクしてこの日を待っていたのだ。いってみれば、「ダライラマ・スーパー LIVE 2010横浜」といったものか。


人生は「一期一会」

 実は、ダライラマ猊下(His Holiness the Dalai Lama)のご尊顔を直接拝したのは今回がはじめてである。今年75歳のダライラマは、精力的に全世界を飛び回っているが、この1週間は日本に滞在して、日本各地で法話と講演を行っている。


 毎年のように来日されているのであるが、すでに75歳という高齢であり、この機会を逃したら、もしかすると私にとっては(・・ダライラマ猊下にとってではない)最初で最後の機会になるかもしれないと思って、大枚はたいて参加することとした。人生は一期一会であるから。


 地下鉄大手町駅の構内にポスターが貼られていたのをたまたま見て、ダライラマ法王の来日を知った次第だが、そしてまた、たまたま6月26日の予定がキャンセルになったので、2週間前に急遽申し込むことにした。弁当付きA席である。センターステージからやや離れているが、肉眼で見れる距離であった。

 「仏教界のスーパースターとってよいダライラマ猊下」(His Holiness Dalai Lama)という表現は、私が勝手に映画タイトルの『ジーザス・クライスト・スーパースター』からもじったものである。



来場者分析を思わずしてしまう私-セレブ見たさとスピリチュアル・ブームが背景にある??

 朝10時からの開演だが、会場のパシフィコ横浜は、長蛇の列でなかなか入場できなかった。9:30には会場に到着したのだが、結局なかに入れたのは10時になってからだった。開演時間がすこしずれて10分遅れくらいで始まったのだが、それにしてもすごい人である。一万人くらいの入場者があったらしい!

 見ている限りでは、日本人だけでなく日本在住の在日外国人もちらほら見られた。日本人でもとくに女性が多く、しかも若い女性が多いのには、ちょとした驚きを感じた。カップルもいるが、女性どうしという来場者も少なくないようだ。

 しかも左手首に数珠をまいた若い女性もすくなからずいる。それも法事というイメージとはかけ離れて、カジュアルな格好で来場している女性も少なくないのは、ダライラマという仏教界のセレブでスーパースターのコンサートという感じでもあった。

 宗教としてのチベット仏教の信者もいるのだろうが、多くはスピリチュアリティとしての仏教になんとなく惹かれるという女性が多いのではないだろうか、そういう印象を強く感じたのであった。データがあれば、詳細なデモグラフィック分析を来場者に対して行ってみたいという誘惑にかられるのだが・・・

 会場に設けられた臨時書店2カ所には、休憩時間中はものすごい人だかりで、ダライラマの著作やDVDが飛ぶように売れていたことも、その一つの証明ともなるだろうか。


 
 また、昼休みの時間帯、会場内を歩き回ってわかったのは、とくに韓国から仏教信者たちが団体で大量に来場していることだった。僧侶以外の在俗信者たちはみな、えんじ色の揃いのダライラマTシャツを着て、ああ韓国人らしいなあ、という感想も抱いたのである。

 このほか、在日チベット人の姿も少なからず、また台湾、中国、それからモンゴルからも来場者がいたようだ。

 チベット仏教圏のモンゴルは当然のこととして、台湾にもチベット仏教徒は多いのは、もともと清朝時代はチベット仏教がさかんだったことが影響している。ダライラマもときどき台湾にいかれているようだ。

 中国にもチベット仏教徒がいるのは、中国領内にチベット人居住区があるだけでなく、首都北京に北京の雍和宮(ようわきゅう)を訪れてみれば理解できるはずである。巨大な弥勒菩薩の木像が安置されており、参拝客は多い。



ダライラマによる「法話」と「講演」

 午前と午後に、それぞれ通訳をまじえて、約1時間半にわたって、ダライラマの「法話」と「講演」が行われた。



 内容については、ダライラマ在日代表部のチベットハウス(東京)の要約をそのまま転載させていただくこととしたい。

<法話> 縁起賛と発菩提心
The Virtue And Practice of Connectedness and Generating a Kind Heart
より幸せに生きるための智慧。それは、縁起と菩提心です。
一見難しそうに見える仏教の教えは、実は、毎日をより上手に生きていくための道しるべであり、日常生活の中で活かせるアドバイスばかりなのです。
今、あなたが抱えている悩みをうまく乗り越えていくためのヒントを、ダライ・ラマ法王が仏教的な観点からわかりやすく丁寧に解き明かして下さいます。
今日よりも明日をより幸せに生きていくための智慧に、あなたも耳を傾けてみませんか?

<講演>『幸せの本質』~共生と共存の未来へ向けて~
The Essence of Happiness and a Healthy Co-Existence

行き止まり感が強い、現代の地球社会。
戦争、経済不況、格差社会、環境破壊など問題が山積みの21世紀を私たちはどのような姿勢で生きていくべきでしょうか------。
ダライ・ラマ法王が環境、科学、経済の視点から“共生・共存”の大切さを説き、幸せの本質とは何かに迫ります。
「未来社会を生きるための心得」の数々を明日のためにお役立てください。


 ダライラマが外国で行う「法話」は英語だと思いこんでいたのだが、今回の法話も講演もチベット語であった。ダライラマが話して、そのあと日本語で解説がつくのだが、内容はやさしくはない。テーマは、縁起説についてであり、会場で配られたパンフレットによれば、ゲルク派(黄帽派)の宗祖ツォンカパの『善説心髄』という礼賛偈をもとにした法話であるとのこと。

 内容は聞いただけではわかりにくいが、一言で言ってしまえば、すべての事物は因果関係にあり、この因果関係はすべてつながっている、すなわち果がさらに因になり、その果がまた因になる・・・という網の目のような連鎖のことである。



 ダライラマが赤いサンバイザーをかぶっているのは、照明が強すぎるので眼を保護するためだとのこと。ヘッドフォン型マイクロフォンをつけているが、なんだかこういう姿もコンサートっぽくて面白い。

 ダライラマの話がすべてチベット語でなされて、そのあとチベット仏教に造詣の深い通訳者による日本語解説がつくので、なんだか通訳者の講演会みたいであったが(笑)、ダライラマ自身は英語よりも、母語であるチベット語のほうが当然のことながらラクなようであった。

 午後のダライ・ラマ法王の講演は、最初は英語で始まったので、ダライラマの肉声そのままで理解できるのはありがたいと思ったのだが、通訳の関係からまたチベット語に戻ってしまったのは残念だった。韓国語や中国語の通訳が英語の理解が不十分だったためらしい。

 私自身は、むかしチベットに凝っていたとき(・・1995年にはチベットのラサにも、インドのチベット人居住区であるラダックにもいったことがある。ただし、チベット亡命政府のあるダラムサラにはいまだ行っていない)、チベット語をやりかけたことがあるが、難しいので放棄してしまったので、ほとんど理解できない。知っているのはチベット語の呪文「オン・マニ・ペメ・フム」くらいか。



昼のステージでのパフォーマンス、なんと締めは世界のナベサダ!

 インド、台湾、韓国、モンゴル、日本の僧侶などによるステージ上のパフォーマンスがまた素晴らしかった。法話だけだとアタマが飽和状態になっていたので、歌あり踊りありのステージは、たいへん楽しい一時間となった。

 インド、台湾(中国語)、韓国(韓国語)、日本の僧侶たちによる「般若心経」の声明(しょうみょう)が実に興味深く、また素晴らしものであった。同じ原典をインド人は原文のサンスクリリット語にて、台湾・韓国・日本の僧侶たちは漢文訳のテキストを、それぞれの伝承スタイルで朗唱する。

 般若心経は最後のフレーズがいわゆるマントラ(呪言)であるので、これはみな基本的に同じく「ガーテー、ガーテー・・」である。漢文訳でも音をそのまま転写しているはずだが、台湾・韓国・日本では微妙なズレがあって面白い。

 なんといっても、取りを務めた日本の僧侶たちは、真言密教の真言宗豊山派(ぶさんは)の僧侶たちで、色とりどりのカラフルな僧衣に身を纏い、ステージ上の声明が終わると、導師が拍子木でリズムをとりながら朗唱する般若心経にあわせて、ステージ下にセットされた和太鼓を一糸乱れず叩き続けたパフォーマンスには圧倒された。ビートの効いた和太鼓の連打は迫力満点で、ステージ上でご覧になっていたダライラマも絶讃されていた。

 以上でパフォーマンスが終了だと思っていたら、大取(おおとり)の締めはなんと世界のナベサダのサックス・ソロ演奏二曲という贅沢なサプライズ渡辺貞夫の LIVE は私にとっては初体験だったので、これは実にうれしいプレゼントだった。

 日本を代表するジャズプレイヤーの渡辺貞夫は、世界のナベサダであり、仏教界のスーパースターであるダライラマとは旧知の仲であるようだ。渡辺貞夫の「玉手箱」:Sadao Watanabe's "Jewel Case"というブログ記事がネット上にあったので一部引用させていただく。

「あなたが他の人々の幸福のために働けば、あなた自身に永遠の幸せが保証されるだろう」
この書は渡辺貞夫が1998年春にチベットを訪れた際にダライ・ラマから直接いただいたものだそうで、そのとき彼はチベットの山をいくつも越える長く苛酷な旅をした結果、この言葉の真の意味を悟ったとのことである。

 ダライラマとナベサダの二人のツーショット(・・撮影禁止なので写真にはとってないが)というよりも、ステージ上でダライラマが聴き、ナベサダがソロで演奏するというこのジャズ・セッションは、これまた貴重な経験として、来場者の記憶に残るものだといっていいだろう。


ダライラマとの質疑応答セッション

 ダライ・ラマの法話や講演はさておき、質疑応答はたいへん面白かった。30分の予定が、10分のび、さらにまた10分のみで結局1時間になったが、ダライラマ自身が一般参加者からの質問を大いに楽しんでいるようであった。

 質問者のなかには、ダライラマに向かって「最高ですかー?」と絶叫するバカ女がいたが、詐欺罪で逮捕された教主のいた新興宗教のかけ声だったような・・・。

 一般参加者はみなあっけにとられたようで、「何をいっているのだ、このバカ女は!」、あるいは 「かわいそうにアタマがやられてしまったのね・・(-_-)」、といった憐憫の情で見ていたようだ。

 ただし、こういうおかしな人はあくまでも例外であって、質問者はみな、個人的な悩みにかんする質問が中心であった。この質疑応答は、私にもたいへん興味深かった。

 ちなみにこの「最高ですかー女」に対しては、ダライラマは誘導尋問はうまくかわして、冷静な回答を行っていた。東京のオペラ会場での「ベラボー男」に匹敵する大馬鹿者として、私の記憶に刻み込まれることとなった(笑)

 すべての質問に対してユーモアまじえた当意即妙の回答が実に面白く、ダライラマ本人も大いに楽しんでいるようだった。時間に律儀でパンクチュアルな日本語通訳の方の制止を振り切って、ダライラマご自身は興に乗って、何度も時間延長をOKしていたくらいだ。

 ときどきジョークで煙に巻く回答も、政治的な問題でもわたりあってきた百戦錬磨の精神指導者としてのたしなみといってもいいだろう。日本の政治家にはも爪の垢を煎じて飲んでもらいたいものだ。

 質疑応答のなかで面白かったものをいくつか思い出して書いておこう。ただし、これは私が聴き取ったかぎりのもので、しかも日本語通訳を介してのものなので、ダライラマご自身の公式見解ではないと断っておきます。


 (Q) 肉食の是非について(西洋人が英語にて質問)
 (A) かつて、いったん始めた菜食生活は、体調不良により2年間でやめた。そもそも生態系からいって新鮮な野菜に乏しい遊牧民の「チベット人は肉食はあたりまえで、チベット医学の観点からいっても、肉食は否定していない。もちろん菜食は望ましいことであるが、健康維持のためには難しい。インド人とは異なる。

 (Q) キリスト教徒であってかつ仏教を信仰することの是非(在日米国人が日本語で質問)
 (A) 神を中心としたキリスト教と神のいない仏教は両立可能。初級段階では問題ないが、中級から上級になってくると、キリスト教と仏教徒では、「空」の観念についてはまっこうから反対の立場になるので、両立は難しい。この点を踏まえていれば、キリスト教徒として生きてゆくことに問題はないだろう。


 このほかにも、日本人やそれ以外の人からも多くの質問がなされたが、おそらく後日出版されることもあろうかと思うので、ここにはこれ以上は記さない。

 質問内容はあくまでも個人の悩みからはっしたもので、抽象的なものではなくきわめて具体的なものであるので、たいへん興味深い。そしてダライラマの回答も個別性を重視しながら、普遍的な回答を行うという点で実に興味深かった。

 ただ一つ思うのは、ダライラマが属するのは、チベット仏教のなかでも顕教的要素の強いゲルク派であるが、チベット仏教は基本的に欲望を肯定する密教であることを失念している人が多いのではないか、ということである。


 ダライラマの LIVE はたいへん充実していたが、聴くだけの立場としては正直いってくたびれる。パシフィコ横浜は基本的に展示会場なので、固定座席はなく、臨時にパイプ椅子をもちこんでいた。A席までは座布団つきだったが、それにしても半日間パイプ椅子に座り続けるのは正直いって疲れるのは否定できない。

 とはいえ、なによりも精力的に語るダライラマの尊顔を拝することができたので、ありがたい一日となった。

 「ダライラマ・スーパー LIVE 2010横浜」の報告は以上のとおりです。




<関連サイト>

「ダライ・ラマ法王 横浜法話・講演 2010」

ダライラマのコトバ・・Twitter においてスタッフが毎日、英語で配信

Hope for a More Peaceful World(YouTube 投稿動画)
His Holiness the Dalai Lama speaks to university students and educators in Yokohama, Japan, on June 24th, 2010. (www.dalailama.com)・・英語による日本の学生たちへの語りかけ (6月29日追記)

英文般若心経(Heart Sutra)


<関連映画>

『クンドゥン』(Kundun 1997)
・・中国人民"解放"軍によって武力侵攻されたチベットから、ヒマラヤを越えて命からがら脱出し、インドに亡命するまでの若き日のダライラマを描いた、米国の世界的映画監督マーティン・スコセッシによる作品。この映画は、東京の恵比寿でロードショー公開された際にみた。
 Trailer(英語版)はこちら

『セブン・イヤーズ・イン・チベット』(Seven Years in Tibet 1997)
・・第二次大戦中、英国領インドで逮捕され脱走してラサに入った、ドイツの世界的登山家ハインリヒ・ハーラーと少年ダライラマとの友情を描いた原作の映画化。主演はブラピ(=ブラッド・ピット)、ロケは南米。この映画は、出張先のシドニーでみた。
 Trailer(英語版)はこちら

 1989年のノーベル賞受賞後、さらに1997年に公開されたこの2本の映画で、ダライラマは世界的なスーパースターの地位を確固たるものとしたのである。



<ブログ内関連記事>

チベット・スピリチュアル・フェスティバル 2009

アッシジのフランチェスコ (5) フランチェスコとミラレパ
・・チベット仏教カギュ派のミラレパ

書評 『目覚めよ仏教!-ダライ・ラマとの対話-』 (上田紀行、NHKブックス、2007. 文庫版 2010)

「チベット蜂起」 から 52年目にあたる本日(2011年3月10日)、ダライラマは政治代表から引退を表明。この意味について考えてみる

「チベット・フェスティバル・トウキョウ 2013」(大本山 護国寺)にいってきた(2013年5月4日)

チベット・スピリチュアル・フェスティバル 2009
・・ 「チベット密教僧による「チャム」牛と鹿の舞」と題して、YouTube にビデオ映像をアップしてある。ご覧あれ http://www.youtube.com/watch?v=jGr4KCv7sAA

「無計画の計画」?
・・量子力学的世界観と仏教

"粘菌" 生活-南方熊楠について読む-
・・真言密教的世界観における因果と偶然による縁起

書評 『仏教要語の基礎知識 新版』(水野弘元、春秋社、2006)-仏教を根本から捉えてみたい人には必携の「読む事典」

書評 『知的唯仏論-マンガから知の最前線まで ブッダの思想を現代に問う-』(宮崎哲弥・呉智英 、サンガ、2012)-内側と外側から「仏教」のあり方を論じる中身の濃い対談

(2014年8月20日 情報追加)




(2012年7月3日発売の拙著です)






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