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2011年1月12日水曜日

イスラエル産スウィーティーの季節




 冬の日本は柑橘類の季節だが、日本でもすっかり定着したのがイスラエル産のスウィーティーという緑色の柑橘類だ。スウィーティー(sweetie)というネーミングのとおり、実は大きくて緑色なので酸っぱそうだが中身は甘い(sweet)。

 グレープフルーツとブンタンの交配種で、正式な品種名はオロブランコ (oroblanco) というらしい。米国カリフォルニア州で交配に成功した。スウィーティーはイスラエル産の商品名。

 かつて地中海ミバエなる小さなハエの大被害によって、カリフォルニア州からの柑橘類の輸入が禁止になったことがあったが、このハエの名前からもわかるように、地中海は柑橘類の一大生産地である。

 日本には米国のカリフォルニア州からの輸入が多いが、地中海沿岸ではバレンシアオレンジ、レモン、グレープフルーツと地中海産の柑橘類(シトロン)は酒類も豊富である。

 ゲーテの「ミニヨンの歌」にある、「君よ知るや南の国 シトロンの花の咲けるを」のとおりだ。『ヴィルヘルムマイスターの修行時代』に収められた「美しき魂の告白」にでてくる。「美しき魂の告白」はそれだけで知られる名作短編である。

 そう、イスラエルも地中海の国である。ついつい忘れられがちだが、欧州南部や北アフリカだけが地中海ではない。欧州とアフリカをつなぐ回廊であるパレスチナ半島は西岸で地中海、北端で紅海に面している。イスラエルは海運会社をもつ海洋国家でもある。


(Jaffa Will Sweetie の商標がシールに)


 スウィーティーの主産地はテルアヴィヴ近郊のヤッファ(Jaffa)、地中海に面した都市である。後背地に拡がる果樹園でスイーティーが栽培されている。グレープフルーツ全体の生産量は世界第6位とのこと。

 隣接するレバノンと同様、夏は乾燥し冬に雨が降る、典型的な地中海性気候。水はけのいい土壌は柑橘類やオリーブ、ブドウなどの栽培に適している。

 イスラエルというと、国際情勢がらみの話を別にすれば、現在では研究開発立国であり、とくにセキュリティ関連では世界一の技術水準を誇る。

 だが、イスラエルというと、なんといってもキブツだ、という世代の方もいることだろう。とくに「何でもみてやろう」時代であった1970年前後に青春時代を過ごした世代。

 欧州では土地所有を原則禁じられていたユダヤ人が、イスラエル建国以前から入植し、パレスチナの土地所有者から合法的に取得した土地で、理想の農業コミュニティを作るべく荒れ地を開拓した。どちらかというと、社会主義的なユートピア建設的色彩の強かったキブツ。思想家でいえば『我と汝』のマルティン・ブーバー。

 1992年にイスラエルにいった際、私はキブツも一つ訪れてみた。キブツに一泊するツアーに、エルサレム現地で個人参加してみたのだが、現代風にいえばアグリ・ツーリズム(農業体験ツアー)ともいうべき体験をしたことになる。そのキブツで、私ははじめてイスラエル産ワインを飲んだ。

 この際に、ヘブライ語でキブツ(kibbutz)は単数形で、複数形はキブツィーム(kibbutzim)ということを知った。私が覚えている数少ないヘブライ語の一つである。

 イスラエルは現在でも農業国である。

 



<関連サイト>

イスラエルの農林水産業概況(日本の農林水産省のサイト)

wikipedia の記述「スウィーティー」


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