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2014年3月21日金曜日

映画 『ローン・サバイバー』(2013年、アメリカ)を初日にみてきた(2014年3月21日)-戦争映画の歴史に、またあらたな名作が加わった


映画 『ローン・サバイバー』(2013年、アメリカ)をTOHOシネマズで初日にみてきた。昨日(2014年3月21日)のことである。9時15分からの初回を見たのは比較的すいているからだが、もちろんそれだけではない。

この映画は実話をもとにしたものだ。米海軍特殊部隊ネイビー・シールズが1962年に創設されて以来、最悪の惨事となった「レッド・ウィング作戦」(Operation Redwing)をもとにしたものだ。

この作戦に参加した4人一組のチームで、ただ一人生還できた隊員(lone survivor)が書いた記録をもとにが書いた『アフガン、たった一人の生還』(マーカス・ラトレル、亜紀書房、2009)を原作をもとにしている。原本のタイトルは映画と同じく Lone Survivor である。2007年に Lone Survivor: The Eyewitness Account of Operation Redwing and the Lost Heroes of SEAL Team 10 というタイトルで出版されている。


英語オリジナル版ポスターには Based on true acts of courage とある。実際に行われた「勇気ある行動」(true acts of courage)である。

「勇気ある行動」とは、作戦実行中に発生した「想定外」の事態に際して、現場で下した意志決定と、その内容にともなう責任を命がけで引き受けた隊員たちの行動を指している。

現象的にみれば作戦の失敗と撤退であるが、それがなぜ「勇気ある行動」なのか。この意味を考えることが、この戦争映画に深みをもたらすのである。


アフガニスタンの山岳地帯での米海軍特殊部隊ネイビー・シールズ(Navy SEALs)のタリバン相手の作戦。アメリカ兵とアフガン市民の殺害命令を出しているタリバンのリーダーをピンポイントで偵察するというミッションだ。

そのために4人一組のチームが任命され作戦が実行される。指揮官一人と三人の曹長で構成されるチームである。(* 米軍では陸軍と海軍では階級をあらわす英語表現が異なることに注意)。ターゲットを殺害する命令は受けていなかったので、上官に指示を仰ぐが無線が通じない。

成功するに見えたその作戦は、「想定外」の事態の発生によって手痛い失敗となる。「想定外」の事態とは、山中での民間人たちとの遭遇だ。「敵」であるタリバンしか想定していなかったのだ。

山中でヤギを放牧させている民間人たちは敵か、味方か、そのどちらでもないのか? 民間人たちの扱いをどうするか、殺害するのか放免するのかという2つのオプションから究極の選択を迫られ、激論のすえ指揮官が選択し、チーム全員が納得して受け入れた意志決定。だがこれが文字通り命取りになる。


戦闘員と非戦闘員である一般市民が混在し見分けができない市街戦やゲリラ戦においては、米軍にとってのベトナム戦争だけでなく、日本陸軍にとっての南京事件もそうであったように、「戦時国際法」において認められていない非戦闘員の無用の殺害は国際的な非難を招く危険がある。軍の存在そのものと名誉にかかわる問題でもある。

指揮官が下した決断は、戦場における法と倫理にかかわる究極の難問であり、ギリギリの決断であったのだ。いかなる結果を招くとしても、決断は下さなくてはならないのだ。そして下した決断には責任がともなう。

しかしその決断は、困難な事態を招くことになる。シールズ隊員4人に対し、タリバン兵はなんと200人(!) 圧倒的に不利な条件のなか、いかに撤退を実行するかが後半のテーマであり映画の山場になる。

山岳地帯の地形もふくめて「ホーム」として熟知しているタリバン兵たちに対して、敵地に潜入したシールズ隊員たちは、そうでなくても不利な状況。偵察(リーコン)とは、敵地という「アウェイ」での行動なのだ。初めて足を踏み入れる土地では地図とコンパスだけが頼り。

救援を頼もうにも無線通信が使用できなければ完全な孤立無援状態になってしまう。行動をともにしているチーム内でのコミュニケーションに問題はなくても、現場と本部のコミュニケーションはコミュニケーションズ(通信)障害のため不能となるのだ。

都市におけるゲリラ戦も「ホーム」側のほうが圧倒的に有利であるが、山岳地帯ではなおさらだ。崖を転落しながらの撤退シーンはまさに壮絶をきわめるもので、屈強なシールズ隊員たちにとっても想像絶するものであったことだろう。



シルベスター・スタローン主演の『ランボー3 怒りのアフガン』は、主人公だけは絶対に不死身で死なないというスーパーヒーローもののアメリカン・コミックそのものだが、実際の戦闘はこの『ローン・サバイバー』に描かれたように過酷なものだ

タリバンが発射するロケットランチャーをみていて思いだしたのは、そもそも1979年にソ連がアフガン侵攻に踏み切ってから、アメリカがムジャヒディーンたちに無償供与したものであったということだ。ソ連によるアフガン侵攻から、すでに35年もこんな状態がアフガニスタンでは続いている。わが人生の大半に該当するものだ。

この映画はモノローグではなく三人称で描いているので、チームのうち誰が主人公というわけでもないのだが、ただ一人サバイバルして生還できた原作者マーカス・ラトレル氏は、一人の力だけではなかったことが映画から読み取れるだろう。

戦場という非日常的な状況における友情と兄弟愛、合理的に考えれば無謀であるのにかかわらず発揮された献身的な同志愛と大きな犠牲

アフガニスタンとパキスタンの中間地帯トライバルエリアの住人であるパシュトゥーン族の、客人はなにがあろうと守らねばならばいという掟に助けられたという運の良さ。ほかにもさまざまな要素があるだろう。実話にもとづいたオリジナルな原作と脚本のもつ力がこの映画にある。

非正規戦の戦闘シーンがハンパじゃなくリアルなので、心臓の弱い人は見ないほうがいい。あまりにも危険なので、映画化する際には原作のすべてが再現されたのではないという。アフガニスタンの山岳地帯は、アメリカ南部のニューメキシコ州のロケで再現されている。

戦争映画の歴史に、またあらたな名作が加わった。



PS 2014年9月2日に DVD化されました。(2014年9月3日 記す)





原作はこちら。





<関連サイト>

『ローン・サバイバー』 日本版公式サイト

『ローン・サバイバー』 日本版FBページ

『ローン・サバイバー』 予告編

Lone Survivor Official Trailer #1 (2013) - Mark Wahlberg Movie HD

Lone Survivor Foundation - Never Quit (ローン・サバイバー財団)
・・原作者はネイビーシールズ退役後、財団を設立して、海外での戦闘行為に参加して死傷や重傷を負った米兵と家族の福利厚生活動に取り組んでいる。アメリカを支えているのがこういった軍人たちであるが、冷戦終結後、世界情勢が米ソ二元論で語れない複雑な時代国際問題に関心を失って内向きになっているアメリカ人の関心を喚起することも目的にあるのだろう

ローン・サバイバー財団のFBページ

US Navy SEAL & SWCC—official website (ネービー・シールズ 公式サイト)
U.S. Navy SEAL& SWCC Page (ネービー・シールズ facebookページ)

(参考) 2014年1月公開のアメリカ映画『ネービーシールズ チーム6』(SEAL Team Ⅵ: The Raid on Osama Bin Laden)は同じテーマ。 ネイビーシールズ:チーム6 予告編



<ブログ内関連記事>

ネイビー・シールズもの

映画 『ゼロ・ダーク・サーティ』をみてきた-アカデミー賞は残念ながら逃したが、実話に基づいたオリジナルなストーリーがすばらしい
・・パキスタン国土内に潜伏するウサーマ・ビン・ラディン殺害計画に動員されたのは米海軍特殊部隊SEALSであった!

映画 『キャプテン・フィリップス』(米国、2013)をみてきた-海賊問題は、「いま、そこにある危機」なのだ!


アフガニスタンとイラク

自動小銃AK47の発明者カラシニコフ死す-「ソ連史」そのもののような開発者の人生と「製品」、そしてその「拡散」がもたらした負の側面
・・AK47を「密造」するアフガニスタンに隣接するパキスタン国内のパシュトゥン族の村のルポが興味深い

書評 『帝国陸軍 見果てぬ「防共回廊」-機密公電が明かす、戦前日本のユーラシア戦略-』(関岡英之、祥伝社、2010)-戦前の日本人が描いて実行したこの大構想が実現していれば・・・
・・「なぜEUも米国もアフガンに派兵しているかについても、その意味を理解することができる。いち早くアフガンの地政学的重要性を指摘していたのは大川周明であった」

映画 『ルート・アイリッシュ』(2011年製作)を見てきた-近代世界の終焉と「傭兵」の復活について考える ②

本年度アカデミー賞6部門受賞作 『ハート・ロッカー』をみてきた-「現場の下士官と兵の視線」からみたイラク戦争


戦場における「非戦闘員」

書評 『民間防衛-あらゆる危険から身をまもる-』(スイス政府編、原書房編集部訳、原書房、1970、新装版1995、新装版2003)-家庭に一冊は常備すべき「防災と防衛のバイブル」
・・非戦闘員である一般市民にとっての非正規戦についての心得

書評 『松井石根と南京事件の真実』(早坂 隆、文春新書、2011)-「A級戦犯」として東京裁判で死刑を宣告された「悲劇の将軍」は、じつは帝国陸軍きっての中国通で日中友好論者だった
・・「戦時国際法」の遵守を厳しく命じた前線司令官・松井中将の意志は、下剋上傾向のあった日本陸軍の最前線で功を焦る前線将校たちに黙殺された。非戦闘員も殺害されるにいたったのは、民間人を装った「便衣隊」が紛れ込んでいたからでもある。その結果、「南京虐殺」という幻ががいまに至るまで日本人を攻撃する材料に使用されているのである


戦場におけるチームワーク

映画 『加藤隼戦闘隊』(1944年)にみる現場リーダーとチームワーク、そして糸川英夫博士
・・「過ぎし幾多の 空中戦/銃弾うなる その中で/必ず勝つの 信念と/死なば共にと 団結の/心で握る 操縦桿」(主題歌より)




(2012年7月3日発売の拙著です)





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