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2014年6月22日日曜日

「日米親善ベース歴史ツアー」に参加して米海軍横須賀基地内を見学してきた(2014年6月21日)-旧帝国海軍の「近代化遺産」と「日本におけるアメリカ」をさぐる

(横須賀軍港に停泊中の米海軍第七艦隊旗艦ブルーリッジ)

昨日(2014年6月21日)、米価軍横須賀基地にはじめて行ってきた。横須賀市の事業である、「日米親善ベース歴史ツアー」に参加することができたためである。

横須賀軍港には、昨年7月に、「YOKOSUKA軍港めぐり」クルーズに参加 している。その際は、横須賀軍港を外側から眺めたが、今回は横須賀軍港を内側から見ることができたので、米海軍横須賀基地については、おおよそのところを知ることができたことになる。

「日米親善ベース歴史ツアー」は、米海軍横須賀基地内にある旧日本海軍関連の「近代化遺産」をめぐるツアーである。慶応3年に幕府が建造したドライドック(・・なんと現在でも現役で使用!)、旧帝国海軍の建造物各種(・・これまた米海軍がそのまま現役で使用!)などを見ることができる貴重なツアーである。

2014年第1回目の抽選には残念ながらはずれた、直後に申し込んだ第2回に当選したのはラッキーだった。「日米親善ベース歴史ツアー」の概要は、主催者の解説をそのまま引用しておこう。


米海軍横須賀基地内の通常目にすることのできない歴史スポットを見学するツアーです。 基地内にあるレストラン(フードコート)で昼食をとり、ツアー全体を通じてアメリカ的な雰囲気を味わうことができます。 なお、フードコートでは円・ドルの使用ができます。(実費は各自負担) 横須賀市観光ボランティアガイドがご案内します。通訳は基地ボランティアが手助けをします。 ※艦船見学はありません。
ヴェルニー公園、どぶ板通り、米海軍横須賀基地(ベース)の近代遺産を巡ります。 所要時間は約4時間30分。行程約7km。艦船見学はありません。 昼食は、ベース内のフードコートでとっていただきます。 (自己負担。円、ドルともに使用可。お釣りはドルになります。・・(中略)・・
7 米軍基地(ベース)内での注意事項
(1)ベース内は、軍事施設です。引率者の指示に従い、団体行動を心がけてください。
(2)入場の際、手荷物検査があります。検査の時間を手短にするため、必要最小限にとりまとめてください。
(3)市販のペットボトルは持ち込めます。その他の飲食物の持ち込みはできません。
(4)カメラ・ビデオは、一部の場所を除き撮影可能です。(正面ゲート、潜水艦、修理中の船舶は撮影不可。)
(5)ベース内では怪我、急病以外、途中退場はできませんので、体調等ご留意ください。

当日は梅雨の晴れ間というべきか、曇り空で雨も降らず、じつに快適に過ごしやすい一日であった。海軍基地だけに海辺に立地しており、風も心地よかった。

横須賀の史跡見学に約1.5時間、基地内部の見学は昼食タイムも含めて約3時間。在日米軍基地内にあるので、なかなか見学する機会がないのはたしかなことだ。

開催者の趣旨としては、「米海軍横須賀基地内の通常目にすることのできない歴史スポットを見学するツアー」にあるようだが、わたし自身はそれもさることながら、ふだん見ることのできない基地内という「日本のなかのアメリカ」のほうに関心があったので、「近代化遺産」の説明が長いのが玉に瑕であった。

そのため、ボランティアで説明をしていただいた方々には申し訳ないが、基地内の見学と観察が最大の関心事であった。この記事では、まずはその一端をご紹介したいと思う。


米軍基地内は「左側通行」!!

基地の内部は左側通行! 交通法規も日本国内と同じである。

(基地内を走る巡回バス このバスは反時計回り)

というのも、米海軍横須賀基地も含めた在日米軍基地は日本の領土であって「租界」ではないからだ。これは「日米地位協定」で決まっていることだ。 

(基地内巡回バスのバスストップ)

外務省の公式見解が「日米地位協定Q&A」として公式サイトにアップされている。これはきわめて重要なことなので、とくに関連するものを引用しておこう。(*太字ゴチックは引用者=さとう)

 問5:在日米軍の基地はアメリカの領土で治外法権なのですか。 
(答) 米軍の施設・区域は、日本の領域であり、日本政府が米国に対しその使用を許しているものですので、アメリカの領域ではありません。したがって、米軍の施設・区域内でも日本の法令は適用されています。その結果、例えば米軍施設・区域内で日本の業者が建設工事等を行う場合には、国内法に基づいた届出、許可等が必要となります。なお、米軍自体には、特別の取決めがない限り日本の法令は適用されないことは、先に説明したとおりです(問4参照)

問4:米軍には日本の法律が適用されないのですか。
(答) 一般国際法上、駐留を認められた外国軍隊には特別の取決めがない限り接受国の法令は適用されず、このことは、日本に駐留する米軍についても同様です。このため、米軍の行為や、米軍という組織を構成する個々の米軍人や軍属の公務執行中の行為には日本の法律は原則として適用されませんが、これは日米地位協定がそのように規定しているからではなく、国際法の原則によるものです。一方で、同じく一般国際法上、米軍や米軍人などが我が国で活動するに当たって、日本の法令を尊重しなければならない義務を負っており、日米地位協定にも、これを踏まえた規定がおかれています(第16条)。 しかし、公務執行中でない米軍人や軍属、また、米軍人や軍属の家族は、特定の分野の国内法の適用を除外するとの日米地位協定上の規定がある場合を除き、日本の法令が適用されます。

交通標記には英語表記もあるのが、基地内と基地外の違いといえば、これは顕著な違いといえようか。

(横断歩道ボタン この重厚さアメリカっぽい)


■米軍基地内のフードコートはアメリカそのもの

昼食はフードコート内ですることになっているので、これは楽しみであった。

いずれもファストフードであるが、日本では展開していないチェーンやすでに撤退したチェーンも米軍基地内には存在している。今回のツアーで視察することのできたファストフードのチェーン店を紹介しておこう。

まずはフードコート内のテナントから。

Subway(サブウェイ)は日本でも展開しているサンドイッチのファストフード。これは特段めずらしくないが念のため。

(サブウェイ)

Cinnabon(シナボン)は、日本では米軍基地内でしか買えない(!)として知る人ぞ知るシナモンロールのチェーン店のようだ。

日本では2009年に閉店したのち、あらたなフランチャイジーが2012年に東京・六本木に店舗があるそうだ。わたし自身はアメリカでも見たことないし、食べたこともない。量が多くて甘ったるいそうだ。あまり食べたいという気持ちにならないな。


(シナボン)

Sbarro(スバーロ)は、日本でもチェーン展開しているアメリカ風イタリアンレストランのチェーン店。2001年に撤退したが、2010年から日本に再進出している。イタリアの「ピッツァ」ではなく、アメリカの「ピザ」。


(スバーロ)

ここから先は日本ではまったくチェーン展開もしていないチェーン店を紹介しておこう。

Popeyes Chicken(ポパイズ・チキン)は、日本での展開はないし、わたし自身もアメリカで見たことはない。ルイジアナ発のメキシコ風チキンのチェーン店のようだ。ショッピングモール中心の出店。海軍基地だからポパイ(!)、というわけではなさそうだ。とはいえ、ケンタッキーフライドチキンはない。

(ポパイズ・チキン)

Manchu Wok (マンチュー・ウォク)は、中華ファストフードのチェーン店。日本での展開はない。アメリカにはこの手の中華ファストフード多い。

マンチュー・ウォクはショッピングモール中心の出店のようで、wikipedia 情報によれば、2003年と2004年に在外米軍基地内の出店を拡大したそうだ。

味はアメリカ人の舌向けに甘ったるいものが多いので、ここで食べたいという気持ちには全然ならない。劇辛に慣れ親しんでいる日本人とは違って、アメリカ人は辛いものはダメなのだ。タイ料理もアメリカでは甘い。


(中華ファストフードのマンチュー・ウォク)

フードコート内ではなく、マリーナに面して単独店舗で立地しているのがMcDonald's。これは日本でも超有名なので、あえて解説するまでもないだろう。あえて言えば、日本風にマクド・ナルドではなく、マクダーノーである。

(マリーナに面したマクドナルド レストラン)

結局、最終的にマクドナルドで食べることにした。同伴者がいたので、あまり変わったものを食べるわけにはいかなかったからである。マクドナルドなら安心だろう、ということで。

日本国内ではもはや見ることのないドナルド君を発見! わたしが小学生の頃、マクドナルドが日本に進出した頃は、TVCMでもドナルド君は頻出していたのだが、いまではまったく見なくなった。ケンタッキーのカーネルサンダースのようなコスプレができないからだろうか・・・

(ドナルド君が待ってるよ! 七夕飾りが日本だね)

帰宅後にレシートをみて気がついたが、基地内の購買には消費税がかからない! 米ドルで支払いしたからではなく、そもそも基地内では消費税はかからないようだ。根拠はこれもまた日米地位協定である。

日米地位協定Q&A 問8:米軍人やその家族は、モノを輸入したり、日本国内でモノやサービスを購入する時に税を課されない特権を与えられているのですか
(答) 日米地位協定の下では、・・(中略)・・ 日本国内にいる間において、米軍人、軍属及びそれらの家族は、米軍やその関係機関で働いた結果受ける所得や、自分達が一時的に日本にいることのみに基づいて日本で所有している動産(投資や事業目的の財産などを除く。)の保有、使用又は移転については課税が免除されますが、例えば、米軍施設・区域の外で買い物等をする場合には日本国民同様、消費税等の税金が課税されています。

(消費税=Sales Tax の項目自体がないレシート)


米軍基地内のマクドナルドも、日本マクドナルドの傘下ではなく、米本国のオペレーションの傘下であろう。



アメリカ的なものがすっかり日本に溶け込んでしまった現在・・

大学時代は東京西郊の小平市に住んでいたこともあって、米陸軍の横田基地(福生市)にはフェスティバルなどで行く機会もなくはなかったのだが、結局は行かずじまいに終わっている。だから、今回はじめて米軍基地内に入ったことになる。

かつては FEN という名の米軍の(・・正確な発音はエフイーエヌ。現在は AFN)のラジオ放送を視聴するのが、東京近辺やその他の米軍基地の近くの居住者にとってほぼ唯一のナマの英語教材だった。わたしも高校時代は、この米軍放送のニュースを視聴してリスニングを磨いたものである。日本の報道よりも早く海外ニュースをキャッチできたのであった。

といっても、放送内容はほとんどが個性的な DJ による音楽番組であった。毎週土曜日の Amrican Top 40(アメリカン・トップ・フォーティー)ケーシー・ケイサム(Casey Kasem *)、そのほかチャーリー・ツナ(Charlie Tuna)ウルフマン・ジャック(Wlfman Jack)といった DJたちの番組が懐かしい。あの時代、1980年代の若者は洋楽中心だったのだ。

(* この記事を書いたあと、ケーシー・ケイサム氏が亡くなっていたことを知った。2014年6月15日が命日。享年82歳。ご冥福をお祈りします。 R.I.P.   2014年6月24日 記す)

(ツナ缶をもつ Charlie the Tuna マグロのチャーリー wikipedia より) 


わたしなどの世代では、わたしもそうだが、FENにどっぷり浸かっていた人も少なくはない。ヒロコ・クボタ(Hiroko Kubota)の "Phrase of the Day" なんて知っているかな?


(1984年出版の『FENハンドブック-This is the Far East Network』の表紙)

DJの小林克也なんて名前も懐かしく響く。作家の片岡義男なんかも、1980年代には雑誌の『ポパイ』からみで大いに流行ったものだ。いまから35年以上前の話である。その頃は、まだ「戦後」になってから35年しか(?)たっていなかったのだ。

だが、いまではさまざまな英語放送がインターネットをつうじて無数にアクセス可能となったので、米軍放送の唯一性も薄れてしまった。いや、アメリカそのものも色あせてしまったような気がしなくもない。一般庶民レベルでは極端な「反米」が消えたと同時に、「親米」も影が薄くなったような気もする。いまや、「戦後」になってからまもなく70年(!)である。

それだけ、アメリカ的なものが日本に溶け込んで一部になってしまったということだろう。現在の「アメリカナイズされた日本」であるが、もはや自覚症状ないくらいアメリカは自明の存在である。この30年のあいだにはすっかりディズニーランドも日本の定着して日本の一部となっている。ことさら、アメリカ、アメリカという発言をするまでもないくらいなわけだ。

じっさい、さきにファストフードのチェーン店を紹介しながら思ったが、日本に定着したチェーンと撤退と再進出を行っているチェーン、まったく日本には進出していないチェーンがあることに気がつく。

1970年代に日本に進出したマクドナルドはもうすっかり日本の一部だし、1990年代に日本に進出したサブウェイもしっかり定着している。サブウェイはまだアメリカ的な感じもなくもないが、それはマックやマクドのような略称で呼ばれていないことにあらわれているかもしれない。スターバックスもいまやスタバであり、あまりアメリカ的という感じもしなくなった。

もちろんビジネスであり、アメリカのチェーン店にとっては海外進出で「アウェイ」でのビジネスであるから、日本での成功は日本側のパートナーの力量によるところが大きい。

マーケットとしての日本の消費者についていえば、日本人にとって許容できるアメリカ文化とそうではないものの線引きもできるかもしれない。

日本に定着したチェーン店は、うまくローカライズできているということである。ローカライゼーションの事例として考えてみるのも面白い。

消費者からみればアメリカははっきり見えなくなったが、企業内部で働く人間、とくにマネージャー以上にとってはアメリカは依然としてアメリカであろうが。


米海軍横須賀基地内の居住者向け施設はアメリカっぽい

今回はじめて米海軍横須賀基地の内部を見学することができて思ったのは、予想していたよりも基地内はあまりアメリカ、アメリカしてないということだった。

日本ではないがアメリカでもない、あえていえば「アメリカナイズされたのちの日本」とでもいうべき風景だった。だとすれば、基地内と基地外ではあまり違いがないことになる。

とはいっても基地外とは違う点はある。それは米軍将兵の住居関連とエンターテインメント関連だろう。もちろん、こういった施設の見学はできない。「日米親善ベース歴史ツアー」の目的からはずれるためだ。


(単身者向け住居 単身者は基地内居住が義務)


単身者向け住居(unaccompanied housing)も、建物だけをみたらこれといって特徴はない単なる集合住宅である。ちなみに、妻帯者や家族もち、あるいは単身者であっても一定以上の階級になれば基地外での居住もOKだそうだ。だから、基地外の不動産屋では米軍将兵向けの賃貸物件も扱っている。

(サポートセンター)

こういう看板と立て方はいかにもアメリカっぽい。建物の配置と前庭の構成もアメリカ的だ。

(基地内居住者向けの映画)

基地内のエンターテインメントに無料映画の上映があるようだ。映画やイベントの看板はアメリカっぽい。こういう文字だけのそっけない看板はアメリカではよくある光景だ。


(基地内居住者向けのボーリング場)


ボーリング場は日本ではかつて爆発的に流行したが、いまでは落ち着いてひさしい。最近はまた人気もあるようだが。

アメリカではどんな地方都市でも、このタイプの平屋建てのボーリング場がある。もっともポピュラーな娯楽の一つである。

 (壁に据え付け型のATM 機械はNCR製)

厳密にいうと基地内ではないが、基地と外界の境界上に立地する米軍将兵向けの「クラブ・アライアンス」(Club Alliance, Yokosuka Japan)外壁に埋め込み式のATMがある。アメリカはたいていこのタイプのむき出し型の設置が多い。日本のようなボックス型は大都市にはある。

(基地外からみたクラブ・アライアンスの外壁)

「クラブ・アライアンス」はダイニングに、バー、スポーツバー、そしてクラブなど大人向けのエンターテインメント施設である。Facebookページ(英語)もあるが、こちらを見るとアメリカそのものである。


(こういうスタイルの新聞販売はアメリカ的) 

基地内のいたるところにあるのが新聞の販売スタンド。先週金曜日(2014年6月20日)の Stars and Stripes(星条旗新聞)の一面見出しには「米国はイラクに軍事顧問団を300人派遣」とある。

「星条旗新聞」とは米軍将兵向けの日刊紙。米国では、新聞はこのような形で売っています。この点にかんしては、米軍基地内は限りなく米国的だ。


今回はフードコート以外の施設は入れなかったので見てないが、海軍基地には NEX  という施設があるようだ。ただし、NEX とはいっても成田エクスプレスのことではない。Navy Exchange (NEX) の略称だ。Base Exchange ともいうらしい。  

フードコート内に NEX のカタログがあったのでもlらってきた。そこにこそ「アメリカン・ウェイ・オブ・ライフ」があるというべきであろうか。現在の日本人からみれば、とくにうらやましいというような印象は受けないのだが

(NEXの商品カタログ)

「占領下のオキュパイドジャパン」で有名になった PX(ピー・エックス) は Post Excahge の略。これは陸軍用語だ。陸軍からスピンオフした空軍も PX である。エクチェンジ(Exchange)とは日本語では「酒保」(しゅほ)という。軍の将兵向けのスーパーのようなもの。雑貨や食品類と米ドルとの「交換所」である。

調べてみると、陸軍(Army)と空軍(Air Force)はPX、海軍(Navy)はNEX、海兵隊(Marine Corps) は MCX、沿岸警備隊(United States Coast Guard)は CGX とぞれぞれぞれ別組織になっているようだ。それぞれの軍ごとの縦割り組織である。

それにしても軍というのは略語が好きな組織だなと思う。

(横須賀軍港になぜか停泊中の米沿岸警備隊の艦船)



■米海軍横須賀基地に保存される旧帝国海軍

海軍といえば、『愛と青春の旅立ち』(An Officer and a Gentleman)なんて青春映画も懐かしい。もっともこの映画は、海軍士官候補生であても、アメリカ西海岸にある海軍航空隊の訓練学校が舞台になっているが。

そんなこともあって、わたしも米国留学中には米海軍兵学校のアナポリスも、米陸軍士官学校のウェストポイントもともに訪問した。アナポリスは東海岸のボルチモアに近い軍港である。軍港であるが、マリーナも充実している。

(基地内にあるグリーン・ベイ・マリーナ)

米海軍横須賀軍基地内にはグリーン・ベイ・マリーナがあって、ヨットやクルーザーが係留されている。もっと数が多ければ、アナポリスそっくりだ。海の男は軍艦だけでなく、ヨットやクルーザーも大好きということだ。

横須賀基地内の施設は、旧帝国海軍の建築物をそのまま使用しているので風格がある。まずは「近代化遺産」からみておこう。

順番は前後するが、見学コースの第一は「ドライドック」(船渠)。ドライドックは慶応3年(1867年)に建造が始まったらしい。完成は1871年(明治4年)というわけか。米海軍と海上自衛隊が現在でも共同使用している。

(1871年完成のドライドックはいまでも現役!)

これはまさに「歴史的建造物」であり、近代日本の産業化をささえた「近代化遺産」でもある。しかも、現役で使用されているからこそ、すみずみまで手入れが行き届いているのであろう。フランス技術による石造建築物の耐久性には驚くべきである。

関与したのは小栗上野介。フランスの技師ヴェルニー。勝海舟はドックの建設には反対であったらしい。幕府崩壊後もヴェルニーは日本に残り、ドックのほかさまざまな構造物の技術指導を行ったという。

(旧横須賀海軍艦船部)

横須賀海軍鎮守府の艦船部の建築物もまた現役で使用されている。建築物というものは、なかに人が住んでいてこそメンテナンスがされるものだが、その意味では現在も米海軍によって使用されていることは、建築物としては幸せなことというべきだろう。

(大統領と国防長官、米海軍の将官たち)

上記の旧横須賀海軍艦船部の内部には、大統領と国防長官、米海軍の将官たちが写真パネルで掲示されている。上列のいちばん左はオバマ大統領である。

旧横須賀海軍艦船部は、旧海軍横須賀鎮守府の本館にアネックスとして付随しているが、さすがに本館は偉容ともいうべき風格を感じさせる建築物だ。

(旧海軍横須賀鎮守府の本館)

以上、「日米親善ベース歴史ツアー」に参加して米海軍横須賀基地内を見学してきたが、ドライドックなどの「近代化遺産」を見るもよし、旧帝国海軍の遺産を見るもよし、アメリカ的なものに触れるのもよし、いっしょに回る水平(セイラー)との交流もよし、さまざまな個人的ニーズを満たしてくれる無料ツアーである。

機会があれば申し込んでみたらいいと思う。抽選に当たればラッキー、はずれたら再度チャレンジすればよい。ぜひ一度は内部をみておきたいものだ。





<関連サイト>

(Unified Combatant Commands map  wikipedia より)


日米地位協定 (外務省  Ministry of Foreign Affairs of Japan 公式サイト)

日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(日米地位協定) (外務省 公式サイト)




(Major US military bases in Japan wikipedia より)

U.S. Forces Japan | Official Military Website


米海軍横須賀基地は米海軍第七艦隊の母港




第7艦隊(United States Seventh Fleet) (wikipedia)
東経160度線以東の東太平洋(第4艦隊担当の南米西岸海域を除く)を担当海域とする第3艦隊とともに、アメリカ太平洋艦隊を構成する。旗艦/司令部は日本の神奈川県横須賀市にある横須賀海軍施設を母港とする揚陸指揮艦「ブルー・リッジ」艦上にあり、海軍中将が座乗する。神奈川県の横須賀海軍施設の他、長崎県佐世保市、沖縄県、韓国の釜山、浦項、鎮海、シンガポールなどに基地を展開している。 第7艦隊は、航空母艦(原子力空母)「ジョージ・ワシントン」 (USS George Washington, CVN 73)を戦闘部隊の主力艦とし、戦時には50〜60の艦船、350機の航空機を擁する規模となる。人的勢力も6万の水兵と海兵を動員する能力をもつ。平時の兵力は約2万。アメリカ本国の反対側に当たる地球の半分を活動範囲とし、アメリカ海軍の艦隊の中では、最大の規模と戦力を誇る。また同盟下にある日本の海上自衛隊と密接な関係を持っている。


<参考文献>

『米軍基地と神奈川』(栗田尚弥=編著、有隣新書(有隣堂)、2011)

沖縄を除けば、本土では神奈川県がもっとも米軍基地が集中している! 「米極東戦略の中枢」が存在する神奈川県の米軍基地と地域ともかかわりを多面的に描いた良書。神奈川県民ではなくても、読むと得るものは多い。


(カバーの写真は横須賀港を母港とする空母ジョージ・ワシントン)


内容(「BOOK」データベースより)
1945年8月30日、連合国軍最高司令官マッカーサーが厚木飛行場に到着し、日本占領が開始された。市街地の大半が接収された横浜には、占領軍を統括する米第八軍の司令部が置かれ、相模原、横須賀など、戦前最大の「軍県」であった神奈川県下の軍都も、基地の街へと変貌した。現在14の米軍基地・施設を抱える神奈川県は、本土随一の「基地県」である。神奈川県の米軍とはどのようなものであり、人々に何をもたらしてきたのか?戦後60年以上に及ぶ米軍基地との関わりを、自治体史編纂に携わってきた研究者五人が、幅広い分野から跡づける」



目 次

序章 神奈川県の米軍基地
1章 軍都から基地の街へ
2章 基地の返還と再編成
3章 さまざまな基地問題
4章 基地と米兵をめぐる戦後
5章 基地と周辺の現在
終章 米軍再編成と神奈川県の米軍基地-第一軍団司令部移転計画を中心として
あとがき
主な引用・参考文献


編著者プロフィール

栗田尚弥(くりた・なおや)
1954年生まれ。國學院大学講師。著書 『上海東亜同文書院』(新人物往来社)ほか。


『在日米軍司令部』(春原剛、新潮文庫、2011 単行本初版 2008)




内容(「BOOK」データベースより)
戦後、日米が同盟関係を築いて半世紀あまり。ブッシュ‐小泉の蜜月時代は過去のものとなり、同盟は再び漂流の危機にある。この流れを食い止めるべく、同盟の「機関化」に努めた外交官と司令官がいた。知られざる指揮官たちの横顔と、ベールに覆われた在日米軍司令部内の動きに迫るインサイド・レポート。東日本大震災後の米軍による復興支援活動「トモダチ作戦」の内幕を大幅加筆」



目 次

2011年、「トモダチ作戦」を遂行せよ!
第1章 日本防衛の重要拠点
第2章 在日米軍司令部の危機管理
第3章 米軍組織と在日米軍司令部
第4章 在日米軍司令部と日本政府
第5章 在日米軍司令部の将来図

著者プロフィール

春原剛(すのはら・つよし)
1961年東京生まれ。上智大学経済学部卒業後、日本経済新聞社入社。米州編集総局ワシントン支局などを経て、編集局国際部編集委員。米戦略国際問題研究所(CSIS)客員研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)




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「YOKOSUKA軍港めぐり」クルーズに参加(2013年7月18日)-軍港クルーズと徒歩でアメリカを感じる横須賀をプチ旅行
・・ぜひ本記事とあわせてお読みいただきたい

海軍と肉じゃがの深い関係-海軍と料理にかんする「海軍グルメ本」を3冊紹介
・・日本海の舞鶴と瀬戸内海の呉


日米関係

「フォーリン・アフェアーズ・アンソロジー vol.32 フォーリン・アフェアーズで日本を考える-制度改革か、それとも日本システムからの退出か 1986-2010」(2010年9月)を読んで、この25年間の日米関係について考えてみる

日米関係がいまでは考えられないほど熱い愛憎関係にあった頃・・・(続編)-『マンガ 日本経済入門』の英語版 JAPAN INC.が米国でも出版されていた


日本におけるアメリカと米軍基地の存在

書評 『日米同盟 v.s. 中国・北朝鮮-アーミテージ・ナイ緊急提言-』(リチャード・アーミテージ / ジョゼフ・ナイ / 春原 剛、文春新書、2010)

書評 『「普天間」交渉秘録』(守屋武昌、新潮文庫、2012 単行本初版 2010)-政治家たちのエゴに翻弄され、もてあそばれる国家的イシューの真相を当事者が語る

書評 『海洋国家日本の構想』(高坂正堯、中公クラシックス、2008)-国家ビジョンが不透明ないまこそ読むべき「現実主義者」による日本外交論
・・「海洋国家」日本にとっての日米安保体制の意味

書評 『語られざる中国の結末』(宮家邦彦、PHP新書、2013)-実務家出身の論客が考え抜いた悲観論でも希望的観測でもない複眼的な「ものの見方」

マンガ 『沈黙の艦隊』(かわぐちかいじ、講談社漫画文庫、1998) 全16巻 を一気読み

書評 『ワシントン・ハイツ-GHQが東京に刻んだ戦後-』(秋尾沙戸子、新潮文庫、2011 単行本初版 2009)-「占領下日本」(=オキュパイド・ジャパン)の東京に「戦後日本」の原点をさぐる
・・東京上空の制空権は

鎮魂!「日航機墜落事故」から26年 (2011年8月12日)-関連本三冊であらためて振り返る
・・「 航空機製造は、敗戦国日本にとっては占領軍によって製造禁止となったため、航空機製造技術にライムラグが発生したのはまことにもって痛かった。この結果、日本の航空会社はボーイングを中心とした体制となってしまい、肝心要の部分がブラックボックスとなってしまった」

むかし富士山八号目の山小屋で働いていた (2) 宿泊施設としての山小屋 & 登山客としての軍隊の関係
・・「米軍兵士たちはほとんどがハイスクール卒で、やたらスラングが多く、話の内容もたいしたことがないのだが、米軍将校は大学卒で、兵士たちと比べると知的レベルに大きな差があることに気がつかされた」

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(2012年7月3日発売の拙著です)










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