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2018年4月21日土曜日

書評 『戦略の地政学-ランドパワー vs シーパワー』(秋元千明、ウェッジ、2017)-日本が進むべき針路は「日米英三国同盟」への道


『戦略の地政学-ランドパワー vs シーパワー』(秋元千明、ウェッジ、2017)という本を紹介したい。  

地政学にかんする本は、ここ数年あふれるばかりに出版されているが、単なる便乗本が多い。いずれも大同小異で、切り貼りとまでは言わないが、書かれている内容に大差ない。 

わたしとしては、この分野では先駆的な『地政学入門-外交戦略の政治学-』(曽村保信、中公新書、1984)という古典的名著をちゃんと読んでいればそれで必要十分だと思っているのだが、ただ出版時点が「冷戦時代」のまっただ中であったので、環境変化を踏まえた最新の入門書は必要だろうと考えている。

英王立防衛安全保障研究所アジア本部所長をつとめる秋元氏のこの本は2017年の出版であり、内容的にいっても「地政学」についてズブの素人が読むにはちょうどいいのではないかと思う。 (*ただし、中国にとっての国際秩序が現在でも華夷秩序であるという、誤解を招きかねない個所には要注意)。

というわけで、地政学についてある程度知っている人は第1章から第6章あたりまでは、ざっと斜め読みで済ませ(・・まったくの入門者はもちろん熟読を!)、第7章の「戦略と沖縄」、第8章の「日本の進路」は、比較的じっくり読んでみることを薦めたいこの2つの章は、きわめて重要なことが書いてある。 

第7章では、なぜ沖縄が戦略的に重要なのかが地政学的に明快に解説されている。基地問題の背景の背景と言うべきであろう。

第8章では、大平洋における安全保障の要である「日米同盟」を補完するための「日英関係」の重要性が指摘されている。この章が本書のキモだといっていいだろう。 英王立防衛安全保障研究所アジア本部所長ならでは、というべきか。


■ユーラシア大陸の両端に位置する島国・英国と島国・日本

地政学でいう「シーパワー」(=海洋勢力)でユーラシア大陸の西端と東端に位置する島国の英国と日本は、かつて20世紀の前半においては「日英同盟」で結ばれていた。残念ながら米国の横やりで同盟破棄に至っただけでなく、第二次世界大戦においては交戦国となってしまったのは両国にとって不幸なことであった。 

日本と英国の関係が、冷戦崩壊から四半世紀を経た最近、西太平洋において、きわめて緊密の度を増しつつあることは、気づいている人は気づいていることだろう。関係強化は、経済分野や文化面だけではない。軍事面でも関係強化が進行中なのだ。


■英国サイドから見た日本の重要性

地政学でいう「ランドパワー」(=大陸勢力)の中国とロシアの接近でユーラシア大陸の情勢が変化するなか、英国サイドにおいても日本の重要性が浮上してきているのである。英国は「EU離脱」後には、むしろ戦略上のフリーハンドを得ることになるわけであって、EU諸国とは是々非々の関係になる。 

そもそも英国は、オーストラリアやカナダを中核とした英連邦をはじめ、さまざまな安全保障のネットワークを構築し、縦横無尽に活用してきたことはアタマのなかに入れておく必要がある。変な言い方かもしれないが、「腐っても鯛」ならぬ、「衰えたりといえども英国」、である。 


■日本サイドから見た英国の重要性

日本サイドとしても、中国との関係においては、米国との同盟に加えて、あらたに同盟を模索する動きが強まっているのはそのためだ。その一つの方向性が、英国との親密な関係関係の模索である。日英関係は、ふたたび相思相愛の関係に発展しつつある。

軍事的な意味での協力関係が着々と進行中だ。現在も、英国の揚陸艦が東アジア海域に向けて航行中である。 いずれ「日英同盟」の復活が実現するのではと、わたくしも期待しているのだが、その際には「日米同盟」と「米英同盟」の関係が「日米英三国同盟」に発展することが望ましい。著者もそういう趣旨の発言を本書で展開しているが、これはぜひ実現してほしいものだ。 


(「西側の防衛ネットワーク」 本書 P.248 より)

世界の趨勢は、二国間の「アライアンス」(alliance)から多国間の有志連合である「コアリション」(coalition)へとシフトしつつある。二国間の「アライアンス」においては行動の制約が大きいが、「コアリション」などのネットワーク型だと是々非々が可能となる。この点が好まれるわけだ。


■北極を中心とした「日英米三国同盟」への道

本書の終わりのほうに、北極を中心にした「日英米による平和と安定の正三角形」の図が登場する。それは地球温暖化によって北極海の重要性が高まっている状況を前提にしたものだ。 

すでに北極海では、東京とロンドンのあいだをダイレクトに結ぶ海底ケーブルの敷設が始まっている。完成の暁にはインターネットの通信速度のスピードアップが実現することになる。ロンドンとニューヨークのあいだは、世界でもっとも通信量の多い区間である。


(「日英米による平和と安定の正三角形」 本書 P.271 より)

 「日英同盟」の復活、「日米英三国同盟」の実現というのは、著者自身の主張であり価値観の表明であるが、明快で明確な「日本の針路」は、きわめて理にかなったものだとわたしも同感している。 

極端な話、かならずしも対等ではなくても構わない。英米アングロサクソンを敵に回さないことが、日本のサバイバルに不可欠であり、それが第二次世界大戦から得た歴史の教訓だ。だが、状況は70年前とは大きく異なっており、かならずしも消極的な意味からの同盟模索ではない。それは、これまで述べてきたことが理由となる。

こういう観点から、日々の国際ニュースを見ることが必要なのである。






目 次    

はじめに 
第1章 地図から見える世界  
第2章 地政学の誕生  
第3章 新たなグレートゲーム  
第4章 米露の地政戦略  
第5章 膨張する中国  
第6章 舵を失った日本  
第7章 戦略と沖縄  
第8章 日本の針路  
巻末対談 英国・エクセター大学歴史学教授ジェレミー・ブラック博士に聞く
おわりに 
参考文献


著者プロフィール 
  
秋元千明(あきもと・ちあき)  
英国王立防衛安全保障研究所アジア本部(RUSI Japan)所長。早稲田大学卒業後、NHK入局。以来、30年以上にわたって、軍事・安全保障専門の国際記者、解説委員を務める。一方、RUSIでは1992年に客員研究員として在籍した後、2009年に日本人で唯一のアソシエイトフェローに指名された。2012年、RUSI Japanの設立に伴いNHKを退職し、現職。現在は大阪大学大学院で招聘教授、拓殖大学大学院で非常勤講師も務めている。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)


<関連サイト>


National Security Strategy and Strategic Defence and Security Review 2015  HM Government (United Kingdom) 

2.12 Our special relationship with the US remains essential to our national security. It is founded on shared values, and our exceptionally close defence, diplomatic, security and intelligence cooperation. This is amplified through NATO and our Five Eyes intelligencesharing partnership with the US, Canada, Australia and New Zealand. We are extending and expanding our defence and security relationships with our European partners, notably France through our commitments under the 2010 Lancaster House Treaty, and Germany. We have close relationships with all EU member states, and with allies worldwide such as Japan.





<ブログ内関連記事>

JBPress連載第7回目のタイトルは、「どう付き合う?今もなおアジアに深く根を下ろす英国-日本と英国の利害が重なり合う場「ブルネイ」」(2017年8月29日)・・「2017年になってから、英国と日本は英国軍と自衛隊の防衛協力を強化するため「日・英物品役務相互提供協定(ACSA)」に署名している。 昨年2016年には、「日英戦闘機共同訓練」のため英国空軍の最新鋭戦闘機が初来日し、日本国内で初めて日英共同訓練を実施した。日本と英国は、政治経済だけでなく軍事面でも着々と協力関係を構築しつつある。 アジア太平洋地域における情勢の変化に対応するためだが、その背景には、先に見てきたように、アジア太平洋地域で、日本と米国だけでなく英国の利害もまた大きく関わっているためでもある。今後日本は、米国だけでなく、英国の動向にも注目していく必要があるだろう。」

ついに英国が国民投票で EU からの「離脱」を選択-歴史が大きく動いた(2016年6月24日)

英国のEU離脱の衝撃は何百年と語り継がれるだろう「逆回し」で歴史をさかのぼると見えてくること(佐藤けんいち、JBPress、2017年6月6日)・・このブログのオーナーであるわたくし自身が執筆したコラム記事。

JBPress連載コラム第23回目は、「英国の“威光”を伝える知られざるスポーツの祭典-あなたは「コモンウェルスゲームズ」を知っていますか?」(2018年4月10日)

書評 『100年予測-世界最強のインテリジェンス企業が示す未来覇権地図-』(ジョージ・フリードマン、櫻井祐子訳、早川書房、2009)-地政学で考える 
・・「地理的・環境的制約条件という人間が変えることのできない絶対的制約条件からみたら、個々の政治指導者の行動など、長期的にみれば重視する必要はない、というのが地政学の立場に立った著者の基本姿勢である。経済学が個々のプレイヤーに注意を払わないのと同じだ、と。

書評 『なぜ中国は覇権の妄想をやめられないのか-中華秩序の本質を知れば「歴史の法則」がわかる-』(石平、PHP新書、2015)-首尾一貫した論旨を理路整然と明快に説く

書評 『続・100年予測』(ジョージ・フリードマン、櫻井祐子訳、ハヤカワ文庫、2014 単行本初版 2011)-2011年時点の「10年予測」を折り返し点の2016年に読む

書評 『海洋国家日本の構想』(高坂正堯、中公クラシックス、2008)-国家ビジョンが不透明ないまこそ読むべき「現実主義者」による日本外交論

書評 『「海洋国家」日本の戦後史』(宮城大蔵、ちくま新書、2008)-「海洋国家」日本の復活をインドネシア中心に描いた戦後日本現代史





(2017年5月18日発売の拙著です)




(2012年7月3日発売の拙著です)








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