本日は、クリスマス・イブ。イエス・キリストの誕生日の前日。だから、そんな日に最適な「贈り物」はいかがかな? それは、『キリスト教は邪教です! 現代語訳「アンチクリスト」』(ニーチェ、適菜収、講談社α新書、2005)。
「エセ保守」を徹底的にたたき続ける評論家の出発点がこの「超訳」。10年ぶりにざっと再読してみたが、中高生でも読める、じつにわかりやすい翻訳だと確認。
原書は1895年の出版だが、執筆されたのは1888年。ニーチェが精神錯乱する前の最後の年に、絞り出すように書かれたものだという。つまりニーチェはバーンアウト(=燃え尽き)してしまったということだ。それくらい、生命をかけて書かれた本なのだ。倒れてから11年後にニーチェが死んだ。享年55歳。
内容は、キリスト教への「告発状」。結論、すなわち「最終判決」は、「被告・キリスト教は有罪です」。 末尾の文章を引用しておこう。
キリスト教は、消え去ることのない人類最大の汚点です。 しかも暦は、こういう悲惨なことが始まった縁起の悪い日をもとにして、数えられています。どうして、キリスト教の最後の日をもとにして時を数えないのでしょうか。 今日をもとにして。すべての価値を転換せよ!
なぜ「キリスト教」と「キリスト教の神」が諸悪の根源だとニーチェが言うのか、それはこの本を直接読んで頂くのが手っ取り早い。中高生でも読んで理解できると思うので、この機会にいかが? 一気読みできますよ。でもそれでは、もったいないかも。
英語の gift は「贈り物」という意味だが、大文字で始まるドイツ語の名詞 Gift には「毒」という意味がある。つまり、「贈り物」は「毒」だということだ。
「毒」に充ち満ちたニーチェのこの本は、人類への「毒入りの贈り物」ということになるのかな? あえてクリスマスイブにぶつけてみました。
PS 私はキリスト教信者を誹謗中傷するつもりはありません。あくまでもニーチェがそう言っているのだという紹介ですよ。
目 次
訳者から-本来の神の姿をゆがめたキリスト教
はじめに
第1章 「神様」ってそういうことだったのか
第2章 キリスト教が世界をダメにする
第3章 キリスト教はイエスの教えにあらず
第4章 戦争を生み出す『新約聖書』
第5章 敵はキリスト教なり
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