(閲覧注意!) ウジ虫の画像があるので、気持ち悪くなるかもしれません。いやな人はこの先には進まないでください!
まずは、今週はじめの「事件」について書いておこう。
ダイニングのイスにこしかけてリラックスしていると、手がなんだかむずかゆい。目をやると、小さな幼虫が腕をはっているではないか!?
まずはその幼虫をはらいのけたが、周りをみまわすと生ゴミを捨てたゴミ箱の周りをウジ虫が大量に這い回っていることに気がついた。
すわ一大事!とばかりに家庭用の殺虫剤をもちだして噴霧してみた。
しかし、噴霧すれども噴霧すれども、コバエのウジ虫はまったくもって、くたばらない。
殺虫剤を噴霧しつづけて床がべとべとになっても、噴霧して気体から再び液体になった殺虫剤の海のなかを、コバエのウジ虫は何もなかったかのように平然と這い回っているのだ!
これは、驚愕の事実である。
困惑してしまうが、目の前に展開する「現実」から目をそらすわけにはいかない。とにかくコバエのウジ虫には、殺虫剤がまったく効いていないことは否定できない「事実」なのだ。
仕方なく、ティッシュペーパーでコバエのウジ虫をつぶしながら床を拭き取るしかなかった。
それでも次か次へとわき出るかのように現れてくるコバエのウジ虫。
なんと、ゴミ箱のなかから這い出してきているのだ。どうやら生ゴミにタマゴをうみつけられていたようだ。コバエのような小型の昆虫は、タマゴから羽化して成虫になるまでのサイクルはきわめて短いはずだ。やられたなあ。
その数日前に、ゴミ箱のなかにワサビ成分のコバエ退治の薬品を設置したばかりだったのだ。だが、その前にタマゴを産み付けられていたのだろう。コバエの成虫は退治できても、タマゴから孵化した幼虫には、コバエ退治の薬品はまったく効果を発揮していなかったのだ。
コバエのウジ虫退治が一通り完了したあと、気になったのでネット検索してみた。「コバエのウジ虫には殺虫剤は効かない」というフレーズで検索したら、その疑問に答えてくれる記事がたくさん出てきた。いちばん情報量が多かったのは「蛆の駆除方法」という記事だ。
そうか、やはり、コバエのウジ虫には殺虫剤は効かないのだな、と確認。と同時に、自分的には、これは大きな発見であった。
考えてみれば、殺虫剤は成虫の中枢神経を直撃するから効果はてきめんなのだ。
大型でパワフルなスズメバチでさえ殺虫剤で退治できるのに、コバエのウジ虫が殺虫剤で退治できないのは、ある意味では当然と言えば当然なのかもしれないな、と。
こんどコバエのウジ虫が発生したら、塩をまいてみたいと思う。ナメクジのように塩に水分を吸い上げられて縮んで死んでいくものかどうか見極めたい。
だが、対処療法には限界がある。元を絶たなくてはダメだ。根本原因はコバエが生ゴミにタマゴをうみつけることにある。
コバエの侵入を防ぐことは不可能なので、タマゴを産み付けるスキを与えないように生ゴミの管理を厳重にするしかない。
■コバエのウジ虫を撮影してみる
コバエのウジ虫は、全長2~3mm程度。見た目は寄生虫のギョウ虫のようだが、ギョウ虫よりは短い。
(ゴミ箱の上を這うコバエのウジ虫 実際の大きさは2~3mm 筆者撮影)
なんせコバエのウジ虫だけに小さくて、しかも動いているので、接写もうまくいかない。こんなものしか撮影できなかった(上の画像を参照)。
高校一年生の生物の授業で、試験管のなかでショウジョウバエを孵化させる実験をしたことがあるが、あまり気持ちのいいものではなかったな、と思い出す。
(コバエのウジ虫のサナギ 筆者撮影)
■ウジ虫にかかわる個人的エピソード
釣りをやる人なら知っていると思うが、釣り餌の「さし」は、じつはハエの幼虫、すなわちウジ虫である。
小学校低学年の頃、三鷹市に住んでおり、その時の同級生のあいだで神田川の上流まで自転車でいって釣りをやることが流行っていた。自分もまたその一人として頻繁に釣りに行っていた。
神田川の源流は井の頭公園の池。大雨の翌日など、池からあふれ出た鯉などが神田川にいたが、釣れるのはもっぱらクチボソが中心で、たいていはダボハゼばっかりだった。
釣り餌は吉祥寺駅の南口方面に釣具屋があり、そこで餌も売っていた。ちいさなビニール袋の小分けして打っている「さし」は、自分がもっているアルミ製の餌箱にいれて持ち歩いていた。
「さし」は芋虫の小さな感じの幼虫で、先端から釣り針をさして、釣り針のカーブにそって最後まで刺し通す。そのときは、「さし」が何の幼虫なのか考えたことはなかった。
(シリアカニクバエ幼虫 wikipediaより)
買った「さし」は一度に全部使い切れるとは限らない。余った「さし」を冷蔵庫のなかに入れておいたら、しばらくして開けたら茶色のサナギになっていた。
危ないところだったのだ。ハエの成虫になるところだったのだ。
冷蔵庫のなかで羽化して脱皮できたかどうかは、わからないが・・・・
■ウジ虫は弱虫なんかではない!
「ののしり言葉」としての「ウジ虫」がある。
「ウジ虫みたいなヤツ」だというののしり表現は、現在でもひんぱんに使われているのかどうかわからないが、すくなくともわたしの少年時代にはよく聞かれたものだ。
いまではもう死語だが「×××のように腐ったヤツ」と、双璧をなしていたといえようか。この表現は21世紀の現在、まったく意味をなさない日本語表現となっている。
「うじうじする」という擬態語の表現があるが、この「うじうじ」がウジ虫から来ているのかどうかはわからない。だが語感からいって、弱虫に近いニュアンスがあるような気がする。
新兵のことを "maggot" とののしるシーンが、ベトナム戦争時代の米海兵隊を描いた『フルメタル・ジャケット』ででてくる。「新兵訓練」の「ブートキャンプ」でのシーンだ。
マゴット(maggot)はウジ虫のことだ。日本語とおなじ意味で使用される。たしかに、堅いカラで覆われた甲虫(=インセクト)とは違って、人の手でつぶすことも可能な幼虫(=ワーム)は、人間の立場からすれば弱虫であるとしてもおかしくない。
ところが、じっさいの「ウジ虫」は「弱虫」なんかではないのだ! これは私が悪戦苦闘したコバエのウジ虫退治でも明らかなとおりである。
これも小学生の頃だが、はじめて自分の小遣いで買った本が「太平洋戦争」ものであったが、そのなかにあった「インパール作戦」の敗走シーンがアタマから離れないのだ。
行き倒れて、自分でカラダを動かせなくなった兵士たちにたかるハエ。まだ生きているのにウジ虫がわいている敗残兵。カラダのなかでも、とくにやわらかい目などを食い尽くすウジ虫。目から這い出してくるウジ虫の群れ。そんなシーンが克明に記述されていた。まさにリアリズムである。
残酷だ。じつに残酷だ。しかし、同時にウジ虫の強靱さに思い至るのである。肉体を食い破る強靱なアゴをもち、貪欲に食べ尽くすウジ虫。
強い、あまりにも強いのである。
だから、たとえコバエのウジ虫とはいっても、あなどってはいけないのである。
スズメバチの成虫でさえ勝てない殺虫剤にもビクともしないのが、コバエのウジ虫なのであるから。
PS コバエのウジ虫のサナギの写真を追加した(2017年9月1日 記す)。
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