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2023年8月22日火曜日

書評『現代スピリチュアリティ文化論 ― ヨーガ、マインドフルネスからポジティブ心理学まで』(伊藤雅之、明石書店、2021)― 異文化としての東洋文化を受容した現代西欧の「スピリチュアリティ文化」を概観する

 

かつて書店の棚を多く占めていた「精神世界」は、現在では縮小傾向にある。それにとってかわったのが、いわゆる「スピリチュアル」のコーナーである。

1970年前後の米国発の「ニューエイジ」や「トランスパーソナル心理学」がその中核をなしていた「精神世界」は、日本では1980年代から「教養主義」にとって代わる存在となり、サブカルチャーからメインカルチャーへと進化していった。

カウンターカルチャーとしての「意識変容」、私的空間での「自分探し」、そして自己の「スピリチュアリティ」を意識し、宗教にとって代わるものとして存在感を増大させる流れ。

日本において、「精神世界」にいったんストップをかけたのが、1995年の「オウム真理教事件」である。

それじたいが「精神世界」の申し子ともいうべき「オウム真理教」は、そのいびつな世界観と暴力的で反社会的な行動によって自滅の道を突き進むことになる。

この事件の発生とともに、「精神世界」も退潮していった。危険視され忌避されるようになったためだ。

その後、TVメディアを舞台に一般化した「スピリチュアル」のブームは、2020年代の現在にいたるまでつづいている。もともとその土壌のある日本独自の展開もあるが、「スピリチュアリティ文化」はグローバル化した世界における同時的現象でもある。


1990年代後半から2020年にいたる「スピリチュアリティ文化」

『現代スピリチュアリティ文化論 ー ヨーガ、マインドフルネスからポジティブ心理学まで』(伊藤雅之、明石書店、2021)は、そんな同時代現象としての「スピリチュアリティ文化」について、1990年代後半から2020年にいたる四半世紀の動きについて、その展開の状況をトレースしたものだ。

宗教社会学の立場からの解説であり、フィールドワークにもとづく研究である。その前史となる『精神世界のゆくえー宗教・近代・霊性(スピリチュアリティ)』(島薗進、秋山書店、2007) を読んでおくと、より理解が深まるであろう。

全体で3部構成となっており、キーワードとしては、「スピリチュアリティ」「マインドフルネス」「ヨーガ」「ポジティブ心理学」「ネオ・アドヴァイタ」などが重要だ。目次には登場しないが「ハッピネス」「ウェルビーイング」がキーワードである。

いずれもカタカナ語であるのは、それらがみな英語圏で成立した「現代スピリチュアリティ 文化」の構成要素であるからだ。

「目次」を紹介しておこう。


目 次
はじめに 
第1部 現代スピリチュアリティ文化の理論と研究アプローチ
 第1章 現代スピリチュアリティ文化の歴史と現在 ― 対抗文化から主流文化へ
 第2章 21世紀西ヨーロッパでの世俗化と再聖化 ― イギリスのスピリチュアリティ論争の現在
 第3章 現代宗教研究の諸問題 ― オウム真理教とそれ以後 
第2部 現代幸福論とスピリチュアリティ文化の諸相
 第4章 マインドフルネスと現代幸福論の展開
 第5章 現代マインドフルネス・ムーブメントの功罪 ― 伝統仏教からの離脱とその評価をめぐって
 第6章 グローバル文化としてのヨーガとその歴史的展開
 第7章 「スピリチュアルな探求」としての現代体操ヨーガ 
第3部 スピリチュアリティ文化の開かれた地平
 第8章 ポジティブ心理学と現代スピリチュアリティ文化
 第9章 人間崇拝の宗教としてのヒューマニズム ― ヒューマニストUKの活動を手がかりとして
 第10章 「自己」論へのアプローチ ― エックハルト・トールとネオ・アドヴァイタ・ムーブメント 
おわりに
初出一覧
参考・引用文献一覧
索引


宗教学、宗教社会学、宗教心理学の講義用の「教科書」として出版されたものであり、既出論文をまとめたものなので、かならずしも読みやすくない。寄せ集め感が払拭されていないからだ。

現代の「スピリチュアリティ文化」は英米中心であり、あるいは英語圏が中心になっているので、日本における現象を考える際には、日本との共通点や落差に注意して読む必要がある。この点の考察は、本書ではやや弱いという印象を受ける。


■グローバル文化としての「現代体操ヨーガ」と「ネオ・アドヴァイタ」

とはいえ、本書で興味を引かれるのは「グローバル文化としてのヨーガ」についてである。著者はヨーガの実践者でもあるようだ。

もともとインドで生まれた瞑想法と一体となっていたヨーガだが、英国の植民地時代に導入された北欧発のスウェーデン体操とミックスして心身鍛錬の体操化し、これが欧米社会に拡がることで、21世紀の「現代体操ヨーガ」に進化していく。

これがインドに「逆輸入」され、さらにインドのソフトパワーとしてグローバル化がさらに促進されるという東西往還。仏教の瞑想法が起源の「マインドフルネス」と同様、「脱宗教化」してグローバルに拡大していった経緯がよく似ているのである。

インドといえば、「ネオ・アドヴァイタ」についても触れなくてはなるまい。「アドヴァイタ」(Advaita)とは、古代インドのウパニシャッド由来の思想であり、日本語では「不二一元論」と訳される。梵我一如である。ブラフマンはアートマンであるという思想。自我を超えた存在との合一。

この思想の現代英語圏での展開が「ネオ・アドヴァイタ」なのである。その代表的な存在が、ドイツ出身で英語圏で著作活動を行っているエックハルト・トールである。

エックハルト・トールについては本書ではじめて知ったが、「スピリチュアリティにかんして世界的にもっとも影響力のある人物」のトップに位置づけられているらしい。

ここではその思想について説明しないが、「エックハルト」という名前をつかっていることからもわかるように、ドイツ中世の神秘主義者マイスター・エックハルトをおおいに意識しているようだ。

前面には出さないが、やはり自分のバックグラウンドであるキリスト教が背景にあるようだ。マイスター・エックハルトの思想が禅仏教に似ていることは、鈴木大拙が指摘して以来、よく知られている

東西のスピリチュアリティ文化の融合が、エックハルト・トールには体現されているのであろう。


■異文化としての東洋文化を受容した現代西欧の「スピリチュアリティ文化」

そんな西洋文化の人間にとって、スピリチュアリティにかんする東洋文化は「外来文化」であり「異文化」である。

西洋においては、東洋がまったく異質な文化であったらからこそ、最初は抵抗があったものの、サブカルチャーからメインカルチャー化していったのである。著者によるこの指摘はきわめて重要だ。

チベット人のダライラマや、ベトナム人のティック・ナット・ハンなど、現在でも著名な人たちのように、最初はアジア人の指導者が多かったが、現在の西洋社会では東洋のスピリチュアリティ文化を咀嚼して自分のものとした西洋人の指導者が中心になっている。

英語圏を中心とした「現代スピリチュアリティ」は、もはや東洋文化というよりも、西洋文化の一部となっているのである。「現代スピリチュアリティ」は、いっけん東洋文化と親和性が高いように見えても、ホンモノの東洋文化とは異なる存在なのである。

だからこそ、いっけん日本でも受容しやすいように見えながら、西洋化した「現代スピリチュアリティ」がスムーズに定着しているわけではない。

日本を含めた東洋では、かえって仏教などの伝統文化からの反発もある。なにも「マインドフルネス」なんて輸入品の必要はない、昔からある「座禅」でいいではないか、というやつだ。それは反発といってもいいし、違和感といってもいい。

近代日本では、キリスト教などの西洋文化を受容して、「無教会派」などの「日本的キリスト教」を生み出した歴史がある。「日本化」である。キリスト教がまったくの「異文化」であったからこそ、可能となった文化変容だ。

その逆の事態が西洋では「現代スピリチュアリティ文化」として成立したわけだが、はたして今後の日本では、逆輸入された「現代スピリチュアリティ文化」がどうなっていくのだろうか。定着するのか、そうではないのか。

とはいえ、「マインドフルネス」や「現代体操ヨーガ」が、本来のわたしたち自身の伝統である「東洋の伝統的スピリチュアリティ」に目覚めるキッカケとなるなら、大いに意味のあることだろいえるだろう。

そんなことを考えさせてくれる「教科書」である。


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著者プロフィール
伊藤雅之(いとう・まさゆき)
愛知学院大学文学部宗教文化学科教授。1964年名古屋市生まれ。1998年、米国ペンシルバニア大学大学院社会学部博士課程修了(Ph.D)。専門は宗教社会学。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)



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2023年8月16日水曜日

DVDで『永遠のヨギー ヨガをめぐる奇跡の旅(AWAKE The Life of Yogananda)』(2014年、米国)をはじめて視聴 ー 米国にヨガを普及させた先駆者の生涯を描いたドキュメンタリー映画

 
DVDで『永遠のヨギー ヨガをめぐる奇跡の旅』(2014年、米国)をはじめて視聴した。米国にインドのヨガをもたらした先駆者の生涯を描いたドキュメンタリーだ。

英語の原題は、AWAKE The Life of Yogananda(目覚めよ、ヨガナンダの生涯)である。ヨガナンダこそ、その先駆者なのである。




わたし自身、この映画を見るまで、ヨガナンダについてはほとんど知らなかった。いまは亡きスティーブ・ジョブズの愛読書が "Autobiography of a Yogi" であり、その著者がParamahansa Yogananda であることを知っていたくらいだ。『あるヨギの自叙伝』(パラマハンサ・ヨガナンダ、森北出版、1983)として日本でも翻訳されている。


わたしは英語版をもっているが、まだ読んでいない。その前にまずはこのドキュメンタリー映画を見てから、ざっと概要をつかんだほうがいいと思ったのである。

87分の映画を見ていくと、植民地支配されていたインドと、第一次世界大戦後の好景気のなか繁栄を謳歌していた米国という、きわめてコントラストのはっきりした2つの世界をつないだのがヨガナンダであったことがわかる。

ヨガナンダの生涯は、1920年代のはじめから、第2次世界大戦をはさんだ戦後の1950年代までの米国現代史とぴったり重ね合っている。その間には原爆投下という人類史上の犯罪と、インド独立という2つの大きな出来事がはさまっている。



ここでヨガナンダについて、その生涯の概略を記しておこう。Wikipediaの記述を利用させていただく。ただし、この場において書き換えを行ったものである。

パラマハンサ・ヨガナンダ(Paramahansa Yogananda、本名ムクンダ・ラル・ゴーシュ (1893年1月5日~1952年3月7日 )は、インド生まれのヨガ指導者。
クリヤー・ヨーガは「神の理解と内なる平安の達成のための科学的技法」であると説き、これを西洋に広めることが使命であると信じて活動し、ヨーゴーダ・サットサンガ(Yogoda Satsanga Society of India)、自己実現同志会(Self-Realization Fellowship)、全宗教自己実現教会を設立、米国を中心に西洋で成功を収めた。 
自伝『あるヨギの自叙伝』は、1946年に出版された代表的な書籍で、50以上の言語に翻訳され、Apple 創業者のスティーブ・ジョブス、ビートルズのジョージ・ハリスン、クリケット選手のヴィラット・コーリなど世界中の人々に多大な影響を与えた。


このドキュメンタリー映画では、インド時代の求道者としての半生と、米国に渡航後のヨガ普及の多大な苦労と成功、そして裏切りと苦難の日々、さらなる取り組みと定着が描かれている。

小柄で色黒、長髪に行者服という異相ないでたちのインド人は、最初はまったく英語ができなかった。それにもかからわらず、天啓によって米国へのヨガ普及を使命として受け取ったのだ。

最初は東海岸のボストンで普及を試みたがうまくいかず、その後カリフォルニアに移って成功を収めることになる。宗教色を抑えて、科学という側面を前面に打ち出したのが、米国で受け入れられる要因となったようだ。

ともとボストンは米国ではもっとも早く19世紀前半の東洋思想に触れた場所であったが、1920年代には東海岸がその中心地となりつつあったのである。映画産業がニューヨークからハリウッドに移ったのは20世紀初頭の1900年代のことであった。

この映画をみると、なぜヨガナンダが米国でヨガの普及に成功したかがよくわかる。

もちろん、一筋縄で成功したわけではなく、ビジネスの起業とおなじくきわめて大きな苦労がともなったわけだが、物質的な成功では精神的な飢餓状況が解決できない、そういう状況が米国社会に生まれてきていたからである。

1960年代以降ににヨガを含めた東洋発の精神世界が大流行したのは、ヨガナンダによってその地盤がすでに創られていたからである。

ヨガナンダ自身は1952年に亡くなっている。独立後のインドからの訪米政治家の歓迎会で倒れたのだという。かれ自身は、公演前には数時間後に自分が死ぬことを知っていたという。精神界の達人らしい、ある意味では見事な最期といえるかもしれない。

1960年代の申し子ともいうべきスティーブ・ジョブズを知るためにも、元ビートルズのジョージ・ハリスンを知るためにも、ヨガナンダについては知っておいたほうがいい。

この2人が強く推奨する『あるヨギの自叙伝』はかなり分厚い本なので、なかなか読むのをためらうものがある。だが、この映画は87分で視聴できるので、入門編としては最適ではないかと思う。
 


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