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2009年5月18日月曜日

味噌を肴に酒を飲む


 酒席の話題である。 

 「『徒然草』に味噌を肴に酒を飲むという話があるが知ってるか?、高校の古文の教科書に載っていたぞ」、とある酒席で話題にしたら、同席していた飲み友達たちはそんなこと覚えてない、という。少し前の話であるが、いやあまったくどうしようもないねー(笑い) 古文は受験とともに去りぬ、かい?

 まあ高校時代、「日本古典文学少年」といわれた私のことだから覚えているのかもしれないが、とはいえ教科書はとうの昔に処分してしまったので確かめようもない。

 彼らの蒙をひらいてやるために、ここでひとつ出典をキチンと示しておいてやろう。参考にしたまえ。


 第二百十五段

 平 宣時(たいらののぶとき)朝臣、老いの後、昔語(むかしがたり)に、「最明寺入道、或宵の間に呼ばるゝ事ありしに、『やがて』と申しながら、直垂(ひたたれ)のなくて、とかくせし程に、また、使(つかい)来りて、『直垂などの候はぬにや。夜なれば、異樣(ことよう)なりとも、疾く』とありしかば、萎えたる直垂、うちうちのまゝにて罷(まか)りたりしに、銚子に土器(かはらけ)取り添へて持て出でて、『この酒をひとりたうべんがさうざうしければ、申しつるなり。肴こそなけれ。人は静まりぬらん、さりぬべき物やあると、いづくまでも求め給へ』とありしかば、紙燭(しそく)さして、隈々(くまぐま)を求めし程に、台所の棚に、小土器に味噌の少し附きたるを見出でて、『これぞ求め得て候ふ』と申ししかば、『事足りなん』とて、心よく數獻(すこん)に及びて、興に入られ侍りき。その世にはかくこそ侍りしか」と申されき。
 出典:『新訂 徒然草』(西尾実・安良岡康作校注、岩波文庫、1985)


(現代語訳)
 平 宣時朝臣(大仏宣時)が、老後の述懐談に、最明寺入道北条時頼からある宵の口に召されたことがあったが、「すぐさま」と答えておいて直垂(ひたたれ=武士の平服)が見えないのでぐずぐずしていると、また、使者が来て「直垂でもないのですが、夜分のことではあり、身なりなどかまいませんから早く」とのことであったから、よれよれの直垂のふだん着のままで行ったところ、入道はお銚子に土器を取りそろえて出て来て「これをひとりで飲むのが物足りないので、来てくださいと申したのです。肴がありませんが、もう家のものは寝たでしょう。適当なものはありますまいか、存分に探してください」と言われたので、紙燭(ロウソクがわりの一種のたいまつ)をつけて隅々まで探したところが、台所の棚に、小土器に味噌の少しのせてあったのを見つけて「こんあものがありましたが」と言うと、「それでけっこう」と、それを肴に愉快に数杯を傾け合って興に入られた。その当時はこんな質素なものであったと申された。
 出典:『現代語訳 徒然草』(吉田兼好作、佐藤春夫訳、河出文庫、2004、原版1976)



 飲み屋で、もろきゅう(=もろみ味噌をつけた生きゅうり)を肴に日本酒飲むと旨い。現代語訳を行った佐藤春夫の解釈とは違って、味噌で酒を飲むのはけっして質素なことではない、と思う。

 もっとも、一般庶民とは違って、鎌倉幕府第五代執権という時の最高権力者にまつわる話だけに、兼好法師も記すに値すると思ったのだろう。

 徒然草は、大人になってから、とくに中年以降に読むと面白い。




<ブログ内関連記事>

in vino veritas (酒に真理あり)-酒にまつわるブログ記事 <総集編>

「家の作りやうは、夏をむねとすべし」 (徒然草)-「脱・電気依存症文明のために顧みるべきこと ・・第五十五段

「目には青葉 山ほととぎず 初かつを」 -五感をフルに満足させる旬のアイテムが列挙された一句 ・・第百十九段

成田山新勝寺「断食参籠(さんろう)修行」(三泊四日)体験記 (1) こんなうまい食事は滅多にない
・・断食後の食事のうまさ。重湯と梅干し、そして焼き味噌

P.S. 写真を挿入し、一部加筆と情報の追加を行った。(2011年10月23日)

『選択の人 法然上人』(横山まさみち=漫画、阿川文正=監修、浄土宗出版、1998)を読んでみた
・・法然好きの佐藤春夫の『徒然草』の現代語訳から法然が念仏について語る一節

詩人・佐藤春夫が、おなじく詩人・永井荷風を描いた評伝 『小説 永井荷風伝』(佐藤春夫、岩波文庫、2009 初版 1960)を読む

(2014年1月10日、9月1日、2015年1月30日 情報追加)


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