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2010年8月10日火曜日

書評 『日本は世界5位の農業大国-大噓だらけの食料自給率-』(浅川芳裕、講談社+α新書、2010)-顧客志向の「先進国型ビジネス」としての日本農業論


 

顧客志向の「先進国型ビジネス」としての日本農業論

 「なんでこんな重要なことを、いままで誰もいってくれなかったのだ」、と声を大にしていいたい。

 もちろん、私を含めて多くの日本人が、なんとなくうさんくさいと思いながらも、「食糧自給率」という日本独自の(爆笑!)指標に「洗脳」され続けてきたのは、ビジネスとマネジメントの観点から農業を見ていなかったからなのだと、本書を読みながら大いに反省した。

 本書は、月刊「農業経営者」という専門雑誌の副編集長が、データの正しい読み方と豊富な取材経験に基づいて一般読者向けにまとめた、顧客志向の「先進国型ビジネス」としての日本農業論である。

 これまでにも大前研一をはじめとする論者が農業自由化を主張してきたが、いまひとつ国民的な議論に発展しなかったのは、対象がビジネスパーソン向けで一般向けの本ではなく、しかも農業関係者の発言でなく、あくまでも外野からの発言だったためだろう。

 著者の主張は明快な根拠に基づいている。基本的には、GDPの規模の大きな先進国である日本は、当然のことながら農産物に対する国内マーケットサイズが大きく、しかも生活の成熟化によって趣味嗜好が多様化しているので多様な農作物が栽培され販売されている。さらにまた充実した国内物流網がこれを下支えしている。 

 今後たとえ国内市場が人口減少にともなって収縮傾向にあるといっても、膨大な海外マーケットが開かれていることは明らかだ、ということになろう。

 したがって、こころざしのある農業経営者による、ビジネスとしての攻めの農業、こういった明るいビジョンにもとづいた農業には大きな未来が開かれているのだ、と。

 ところが、票集めにしかアタマにない民主党は、「農業者戸別所得保障制度」という愚策によって、こころざしある農業関係者だけでなく、消費者としての日本国民を愚弄している。援助漬けでダメになるのは国際援助の対象国だけではない。日本国内の農業もまた、援助によってダメにされてきた典型的なケースである。

 いま必要なのは、農業にかかわる直接の関係者にとどまらず、マスコミが垂れ流す無批判的情報による洗脳から、日本国民全体を解き放つことだ。もちろん本書自身も批判的に読む必要はある。

 まさに警世の書である。と同時に、日本国民に勇気を与えてくれる本である。全国民必読書である。


<初出情報>

■bk1書評「顧客志向の「先進国型ビジネス」としての日本農業論」投稿掲載(2010年8月5日)




目 次

はじめに-日本農業弱者論はまったくの事実無根
第1章 農業大国日本の真実
第2章 国民を不幸にする自給率向上政策
第3章 すべては農水省の利益のために
第4章 こんなに強い日本農業
第5章 こうすればもっと強くなる日本農業
第6章 本当の食料安全保障とは何か


著者プロフィール

浅川芳裕(あさかわ・よしひろ)
1974年、山口県に生まれる。月刊「農業経営者」副編集長。1995年、エジプト・カイロ大学文学部東洋言語学科セム語専科中退。ソニーガルフ(ドバイ)勤務を経て、2000年、農業技術通信社に入社。若者向け農業誌「Agrizm」発行人、ジャガイモ専門誌「ポテカル」編集長を兼務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)


<書評への付記>

 「年生産額8兆円はアメリカに次ぐ先進国第2位!! 食糧危機と農家弱者論は農水省によるでっち上げ! 生産高:ネギ1位、キャベツ5位、コメ10位! 7%の超優良農家が全農産物の60%を産出!!」とキャッチコピーにある。

 これを見ただけで、おお!とみな思うのではないだろうか。常識破りの一書である。

 せっかくの機会なので、感想をもう少し。

 考えてみれば、われわれがふだん食べている野菜は、ほとんどが国内産の表示になっている。一方、果実についていえば、グレープフルーツやキウィなど輸入品も多い。
 また、うどんやそうめんといった国内加工品も原材料である小麦はほとんどが輸入品、国内産小麦は質が高くないので加工業者は使用したくない。しかしながら、政府による貿易統制で高値を強いられ、そのつけは消費者にかぶらされてきた。まったくもって消費者も生産者もバカにした話ではないか!

 私の個人的見解かもしれないが、日本のコメは世界最高の味である。十二分に国際競争力をもっているはずだ。余剰米が発生しているのなら、もっと輸入できるように促進すべきでよい。

 何かがおかしい、多くの人たちがうすうすと感じていた状態に放り込まれたのが、まさに本書である。

 著者は本書のなかでは使っていないが、「比較生産費説」に基づいて、国際的競争力の強い商品作物に特化し、国際競争力が弱い分野は輸入に依存している。経済学の国際貿易論の世界では常識となっている。
 たとえば、ニュージーランドのキウィフルーツにかんしては、生産農家が集まってゼスプリ(Zespri)という農産物ブランドを立ち上げて輸出に注力している。日本では藤原紀香を使ったプロモーションをみたことがあるはずだ。日本で生産するよりも価格競争力もある。
 最近では、高級リンゴやイチゴなど、海外でも日本のくだものは高値で販売されていることは、私はバンコクに住んでいたのでよく知っている。日系流通業以外でも、頻繁に「物産展」が開催されていた。それも「日本物産展」ではなく、「北海道物産展」とか地域別のものである!

 かつて多くの日本人が移民した北米や南米諸国では、日系人の農業関係者の高い生産技術と努力によって、農業が一大産業として成立した歴史をもっている。

 現在でも意欲的な農業経営者たちは、タイや各地で Made by Japanese の農産物を生産しているというのは、日本プロの農業従事者は違うなあと思わされるのである。

 こんなことを読んだり、思い出したりしてみると、日本農業は本来は競争優位性をもった「産業」なのだということが理解されるのだ。



<関連ウェブサイト>

月刊『農業経営者』
・・「農業経営者は農業経営・農業技術・農業商品・農業機械・農業セミナー情報満載の日本唯一の農業ビジネス誌です。農業関係者必読!」と紹介文にある。著者が副編集長を務める専門雑誌。


<ブログ内参考記事>

書評 『植物工場ビジネス-低コスト型なら個人でもできる-』(池田英男、日本経済新聞出版社、2010)
・・農業先進国オランダに学ぶ。








(2012年7月3日発売の拙著です)






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