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2011年4月15日金曜日

書評 『フェイスブック 若き天才の野望-5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた-』(デビッド・カークパトリック、滑川海彦 / 高橋信夫訳、日経BP社、2011)


フェイスブックの創始者に密着取材した本書で、その短いが濃い歴史と基本思想を知る

 今年(2011年)のはじめに映画『ソーシャル・ネットワーク』が公開されたこと、中東・北アフリカのいわゆる「民主化革命」でフェイスブックが大きな役割を果たしたという報道によって、日本でもようやくフェイスブックの普及に火がついてきたようだ。

 だが、日本では先行するミクシィなど、匿名可能な SNS が圧倒的に強い状況であり、日本以外の諸外国とは状況が大きく異っている。この状況はまだまだ続いている。

 本書は、フェイスブックの創始者マーク・ザッカーバークから全面的な信頼を得ることになった、はるか年長の米国人ベテラン・ジャーナリストが、この本の執筆に賭け、背水の陣を布いて、すべてを打ち込んで完成したものである。

 本書の前半は映画にも描かれた草創期から発展期までの短いが凝縮された歴史後半は、フェイスブックの発展を時系列で追いながら、フェイスブックがもつ大きな意味についての考察も行われる。原題が Facebook Effect(フェースブック効果) ということの意味が、後半を読むことで理解できることになる。

 映画『ソーシャル・ネットワーク』はあくまでもエンターテインメント作品と割り切るべきであろう。映画の原作はザッカーバーグ自身の意に反した、本書に描かれたものとは反対側の立場によるものである。映画を先に見てから、本書に描かれた内容と比較しながら読んでみると、その違いがわかって面白い。

 重要なことは、フェイスブックとグーグルとの根本思想の違いだろう。

 画像や動画まですべての情報を一元的に集約し、検索によって情報流通することを意図しているグーグルの思想に対して、人と人との「つながり」(人間関係)のなかで情報が流通することを意図しているのがフェイスブックの思想である。検索が万能の時代は終わり、友人関係をつうじた「つながり」のなかの情報流通が優位性を占めるようになってきたのは、フェイスブックをはじめとする SNS の急速な発展によるものである。

 これは実際にフェイスブックをやってみながら読むと、その意味が体感できる。あくまでも無機質な検索がグーグルであれば、実名主義であるがゆえに人の息づかいまで感じることのできるのがフェイスブックである。

 本書は、フェイスブックの短いが凝縮された歴史をたどりながら、フェイスブックがもつきわめて大きなチカラについて考えるための必読書であるといっていいだろう。

 やや長めの本だが、最後まで読み切る価値がある。フェイスブック関連本では、実用書以外では、本書を読むことを強く薦めたい。



<初出情報>

■bk1書評「フェイスブックの創始者に密着取材した本書で、その短いが濃い歴史と基本思想を知る」投稿掲載(2011年3月9日)
■amazon書評「フェイスブックの創始者に密着取材した本書で、その短いが濃い歴史と基本思想を知る」投稿掲載(2011年3月9日)





目 次

プロローグ
第1章 すべての始まり
第2章 パロアルト
第3章 フェイスブック以前
第4章 2004年、秋
第5章 投資家
第6章 本物の企業へ
第7章 2005年、秋
第8章 CEOの試練
第9章 2006年
第10章 プライバシー
第11章 プラットフォーム
第12章 150億ドル
第13章 金を稼ぐ
第14章 フェイスブックと世界
第15章 世界の仕組みを変える
第16章 フェイスブックの進化
第17章 未来へ
あとがき
謝辞
本書の取材について
訳者あとがき 滑川海彦
解説 小林弘人
参考書籍
参考文献


著者プロフィール

デビッド・カークパトリック(David Kirkpatrick)

フォーチュン誌で長年にわたりインターネットおよびテクノロジー担当編集主任を務める。同誌では、アップル、IBM、インテル、マイクロソフト、サンをはじめとする数多くのテクノロジー企業に関する特集記事を執筆した。2001年に「フォーチュン・ブレーンストーム会議」を創設し、また最近では、人間のあらゆる活動のための技術革新をテーマに「テコノミー会議」を立ち上げた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。

滑川海彦(なめかわ・うみひこ)

千葉県生まれ。東京大学法学部卒。東京都庁勤務を経てフリー。IT分野の評論と翻訳を手がける。ITニュースブログ「TechCrunch Japan」翻訳チーム(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。

高橋信夫(たかはし・のぶお)

東京都生まれ。学習院大学理学部卒。コンピューター会社勤務を経て、2006年から翻訳、執筆業。「TechCrunch Japan」翻訳チーム。東京農業大学非常勤講師。仮説実験授業研究会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。



<書評への付記>

 マーク・ザッカーバーグは、ビジネスマンというよりも「革命家」である。カール・マルクスをはじめとする多くのユダヤ人がそうであったように。私は本書を読んでいて、その感を深くした。

 本書で興味深いのが、「贈与経済」という概念だ。

 ネットの世界では give & take ではなく、give & give & give...の「フリー経済」でいくべきだというアドバイスがよく聞かれるが、これはいいかえれば「贈与経済」(gift economy)そのものでもある。

 本書でもザッカーバーグの基本思想に「贈与経済」があることが示唆されている。「ポトラッチ」というコトバが使われているが、これはイヌイット(・・むかしはエスキモーといっていた)が行う「贈り物合戦」のことで、どれだけ蕩尽できたかが勝利を決定するバロメーターになる。give できる量が多くて気前がいいほうが最終的に勝利するのだ。

 「ポトラッチ」に関心のある人は、オランダの歴史家ヨハン・ホイジンガの『ホモ・ルーデンス』を参照してほしい。ちなみにホモ・ルーデンス(homo ludens)とは、「遊ぶ人」という意味のラテン語だ。

 フェイスブックは、実際にやっているとだんだんわかってくるが、自分自身についても、ソーシャルな側面とプロフェッショナルな側面を完全に分離することなど不可能だということだ。
 
 このブログ「アタマの引き出し」は生きるチカラだ!」そのものである(笑)。

 実名を使用してフェイスブックで活動していれば、人格を完全に二分化することできないし、そうしないほうがインテグリティを保つことも容易である。そして、これは当たり前のことだ。普通の人間は二重人格ではないからだ。

 あくまでも実名を前提とした参加は、リアル世界とネット世界の垣根を著しく低いものに変えつつある。これは私がフェイスブックに参加してからの率直な感想である。

 この書評じたいは、過去ログとの整合性をとるために、最初に書評サイトに投稿さいた際はハンドルネームで書いているが、フェイスブックもブログでも、私は「実名公表」して書いている。

 実名には、なんら問題は感じなくなってきている。フェイスブックの根本思想である実名主義とつながりは、日本社会を変えることになるだろう。

 「見てから読むか、読んでから見るか」という広告コピーがむかし角川書店にあったが、私は映画見てからのほうがいいと思う。両者の違いを楽しむといいでしょう。映画はそもそもエンターテインメントだから。




<関連サイト>

「500億ドルの男」の素顔 「フェイスブック 若き天才の野望」の著者に聞く(日経ビジネスオンライン)


<ブログ内関連記事>

映画 『ソーシャル・ネットワーク』 を日本公開初日(2011年1月15日)の初回に見てきた

書評 『Facebook(フェイスブック)をビジネスに使う本-お金をかけずに集客する最強のツール-』(熊坂仁美、ダイヤモンド社、2010)

TGIF 「ああ、やっと金曜日!?」 いいえ、Twitter, Google, iPhone and Facebook の頭文字が TGIF

書評 『グーグル秘録-完全なる破壊-』(ケン・オーレッタ、土方奈美訳、文藝春秋、2010)-単なる一企業の存在を超えて社会変革に向けて突き進むグーグルとはいったい何か?
・・スタンフォード大学の工学系大学院から生まれたグーグル

書評 『ネット・バカ-インターネットがわたしたちの脳にしていること-』(ニコラス・カー、篠儀直子訳、青土社、2010)


書評 『ビジネス・ツイッター-世界の企業を変えた140文字の会話メディア-』(シェル・イスラエル、林信行=解説、滑川海彦/前田博明訳、日経BP社、2010)

『つぶやき進化論- 「140字」が Google を超える! -』( エリック・クォルマン、竹村詠美 / 原田卓訳、イースト・プレス、2009)をレビューする

スマートフォン、ツイッター、そしてクラウド・コンピューティングという三題噺

書評 『キュレーションの時代-「つながり」の情報革命が始まる-』(佐々木俊尚、ちくま新書、2011)

『ユダヤ教の本質』(レオ・ベック、南満州鉄道株式会社調査部特別調査班、大連、1943)-25年前に卒論を書いた際に発見した本から・・・
・・profit economy の対極にある gift economy は中世では当たり前だったことに、ちょっとだけ触れている

エスニシティからアメリカ社会を読み解く-フェイスブック創業者ザッカーバーグというユダヤ系米国人と中国系米国人のカップルが写った一枚の結婚写真から

(2014年2月14日 情報追加)






(2012年7月3日発売の拙著です)








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