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2013年2月22日金曜日

書評 『東京裁判 フランス人判事の無罪論』(大岡優一郎、文春新書、2012)-パル判事の陰に隠れて忘れられていたアンリ・ベルナール判事とカトリック自然法を背景にした大陸法と英米法との闘い



いわゆる「東京裁判」、すなわち極東軍事法廷にかんする本は、それこそ無数に出版されている。当事者の回想録だけではなく、東京裁判史観を否定するものも少なくない。

東京裁判のA級戦犯たちは無罪であると堂々と主張したのが、大英帝国の植民地であったインド出身のパル判事であったことはよく知られている。

だが、パル判事の陰に隠れて忘れられていたフランス人判事がいたということを教えてくれたのが本書だ。これまでとは異なる角度から、きわめて重要なポイントを明らかにしてくれる本であるといっていいだろう。

米英を中心にしたアングロサクソン諸国という「勝者による裁き」がその本質であった「東京裁判」の判事には、米英やオーストラリア・ニュージランドだけでなく中国もソ連も加わっていた。そこにはフランス人判事も参加していたのである。

法律の世界では、大陸法(Civil Law)と英米法(Common Law : コモンロー)という二大潮流があることは、多少とも法律をかじったことのある人にとっては常識であろう。日本は、明治維新後の近代化=西欧化のなか、法体系はフランスとドイツという、ともに大陸法の国々をモデルにして構築したのであった。敗戦後は、独占禁止法や労働法制、会社法においては英米法の要素も入ってきているが、基本は大陸法である。

東京裁判でただ一人のフランス人判事であったアンリ・ベルナールは、いうまでもなく大陸法であるフランス法の世界に生きてきた法律家である。しかも、「植民地帝国フランス」の海外植民地アフリカの司法官僚としてキャリアのほぼすべてを過ごした人であった。インドのパル判事とは真逆の立ち位置である。

しかも、18歳で第一次大戦に志願して参加するまで、イエズス会の神学校に10年間も通った経験をもつ熱烈なカトリック。戦争からの帰還後、法律を学んで司法官僚となった人だが、当然のことながらカトリックの法思想のもとにあったようだ。それは「中世神学的自然法観念」である。

それが「自然法」を背景にした「正義」についての発想の源泉になっていたようだ。戦争が正義であるか否か、それは一義的に決定されるものではない。人間を超越した神の法で考えなければならないというのがアンリ・ベルナール判事の思想であったようだ。その息子は父親のことを、「中世に生きていたような人だ」と回想しているそうだが、第二次大戦終結後の1940年代後半においても、そのような人が存在していたということが興味深い。

「東京裁判」は、法実証主義が主流の英米法主導の裁判であった。大陸法の世界にいたアンリ・ベルナール判事はその意味ではまったくの少数派であったわけだ。植民地の司法官僚フランス人からみた「東京裁判」は、これまでとは異なった視点から見ることを可能としている。

わたし自身は、「勝者による裁き」であった「東京裁判」には否定的なスタンスをもっているが、そういう立場を別にして、英米法と大陸法との「法思想の戦い」でもあったという点から見ることを可能にしてくれた内容でもある。またフランスという国の特異性について考える材料を提供してくれる内容の本でもある。

そういう観点から読むこともできる本である。いままでとは異なる視点による「東京裁判」論としても一読の価値がある。






目 次

プロローグ
第1章 忘れられたフランス人判事
第2章 「神の法」とは何か
第3章 正しい戦争、不正な戦争
第4章 「判定は正当なものではあり得ない」
エピローグ
おわりに

主要参考文献

著者プロフィール  

大岡優一郎(おおおか・ゆういちろう)
1966年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業後の1991年、NHKにアナウンサーとして入局。フランス・リヨン第三大学大学院にて国際政治学を専攻後、1996年にテレビ東京に移る。主に報道番組のキャスターを務め、現在は編成局アナウンス部長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。




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(2012年7月3日発売の拙著です)





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