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2013年2月7日木曜日

「お籠もり」は何か新しいことを始める前には絶対に必要なプロセスだ-寒い冬にはアタマと魂にチャージ! 竹のしたには龍がいる!





ことしは関東でもかなりの雪が降って交通がマヒするという事態が発生している。東北や北陸など日本海側は例年よりも降雪量が多いようだ。本日(2013年1月25日)には大雪暴風警戒がでている。

アメリカ英語に "get snowed in" という表現がある。意味は、「雪で閉じ込められる」というものだ。辞書にはのってないだろうが、光景が目に浮かんでくるような表現である。

「雪で閉じ込められる」のは雪国だが、こういった自然条件によって閉じ込められる機会はポジティブに利用したいものだ。なぜなら、深く考えることができるからだ。「3-11」後の原発事故で東京電力の管内で計画停電の被害を受けた人で、その際に闇夜で貴重な経験をした人も少なくないだろう。

「冬籠もり」や「山籠もり」という日本語がある。「籠もる」の「籠」という漢字に着目したい。竹かんむりに龍だ。ネットで調べてみよう。「デジタル大辞泉」を検索してみる。

ろう【籠】[常用漢字] [音]ロウ(漢) [訓]かご こもる こ こめる こむ 〈ロウ〉
1. 竹で編んだ入れ物。かご。「籠球・籠鳥/印籠・蒸籠(せいろう)・灯籠・薬籠」
2. 中にこめる。とりこむ。「籠絡」
3. 中に閉じこもる。「籠居・籠城/参籠」
〈かご〉「屑籠(くずかご)・竹籠・鳥籠」
◆「篭」は俗字。
[難読]尾籠(おこ)・駕籠(かご)・籠手(こて)・葛籠(つづら)・旅籠(はたご)・魚籠(びく)・破籠(わりご)
[ 大辞泉 提供: JapanKnowledge ]

そういえば、小籠包という中華肉まんじゅうがあるなと思いだした。上海語でショーロンポーといって日本人も通常そう発音している。普通話(プートンファ)では シァオロンパオだ。ジューシーで熱々な肉汁が飛び出てくるで要注意。


(小籠包 ショーロンポー)

いずれにせよ、竹かんむりに龍で籠というのは考えてみると面白い。龍は中国人がイマジネーションした想像上の動物だが、本質的には蛇のことだ。蛇が水の神であることを考えると、竹かんむりのしたの龍とは、竹細工の蛇のことだろうか?

自然界を見まわしてみれば、冬眠する動物がいることがすぐに思い浮かぶ。冬のあいだは「仮死状態」になって過ごすわけだが、ある意味ではひじょうに合理的な生命維持方法であるといえる。

人間であっても夏の疲れを冬に癒すということは、カラダだけでなくココロにとってもまた大事なことだ。人間の場合は、これを意図的に行うことも重要だ。

日本の神事で行われる「斎(いは)い籠める」という表現は、霊魂の危機を感じたときの方法を表現したものだ。国文学者で民俗学者の折口信夫がよくつかっているが、民俗学や宗教学では、「みたまのゆふ」(=御霊の冬)という表現がつかわれることがある。

「ふゆ」とは「増ゆ」である。増えるのである。お籠もりすることによって、たましいが増えるのである。数が増えるのではなく、失われたエネルギーがチャージされて増えるのである。

「ふゆ」に「冬」の字があてられているのは、季節のうえの冬が、北半球ではそういう時期であることからきているのだろう。冬のあいだに「たましいに充電する」という意味を考えればいい。

宗教学者の植島啓司は、籠もりをインキュベーションと表現している。ハイテクベンチャー立ち上げの際のビジネス・インキュベーションの施設があるが、インキュベーターとは孵化器のこと。雛が卵から孵化するまでの期間になぞらえた表現だ。

お籠もりが重要な意味をもっていたのは古代日本だけではない。古代ギリシアでもそれは同じだった。

(お籠もり中に「汝自身を知れ」というお告げを聞いたソクラテス)

身を潔斎して、お籠もりして、夢でお告げが下るのを待つ。ソクラテスが「汝自身を知れ」という託宣を聞いたデルフォイの神託は有名だし、医神アスクレピオスの治療もまた一定期間のお籠もりが必要とされていたという。

運気が落ちているときは籠るしかない。焦ってじたばたするよりも、自然の流れにまかせる。

じっくりと研究する、読書する、引きこもるということが重要。

次の運気がめぐってくるまで、気が充実してくるのを待たなければならない。気のエネルギーを自分のなかに蓄えないと、せっかく運気が上昇してきても、それにうまく乗っかることができない。そう、待たなければならないのだ。

私は、おおよそ10年に一回は「籠もり」をしてきた。

●27歳でM.BA.取得。それまでの2年間は現場を離れて勉強に専念した。
●37歳で三ヶ月かけてユーラシア大陸を東端から西端まで陸路(一部フェリー)で横断した。
●39歳でリストラの憂き目に会い、専門書執筆に専念した(・・しかし出版に至らず残念)。
●46歳で1年間サバティカル期間をとった。

アクティブな生活と「籠もり」。それは、まさに死と復活のようなものである。

むかし作家の森敦(もり・あつし)の『星霜移り人は去る-わが青春放浪-』 (角川文庫、1979)「10年働いて、10年遊ぶ」という生き方が披露されていたのを読み、すばらしいと思った。たまたま大学時代に古本屋で見つけて読んだ本である。



20歳代で「早熟の天才」と謳われたものの行き詰まり、その後の長い雌伏期間のあと、62歳を過ぎてから芥川賞を受賞した遅咲きの作家の半自叙伝的小説である。その小説に彼の人生観と労働観が吐露されている。

三年前に庄内平野を旅したとき、即身仏ミイラで有名な注連寺の境内には、森敦(もり・あつし)文庫が併設されていることをたまたま知り、来館者がほとんどいないなか鍵をあけてもらって参観した。

森敦は、放浪時代にこの注連寺で一冬を過ごし、のちに62歳で芥川賞(!)受賞作品となった名作『月山』(がっさん)でを執筆している。雪深い庄内平野での戦後間もない頃の冬を描いた私小説的作品である。まさに一冬のお籠もり生活を送ったわけである。


(注連寺境内にある「森敦文庫」・・筆者撮影)

さすがに、「10年遊ぶ」はとても実現できないが、10年に一回は1年くらいは遊びたいもの。そんなことを理想?としながらも、理想は実現できずに現在にいたっている。

白洲次郎の戦時中のカントリー・ジェントルマン・ライフもまた、長い「お籠もり」期間ととらえることも可能だろう。敗戦後はロンドンで交友の深かった吉田茂が首相として復活したことにともない、ふたたび表舞台に立つことにある。

また、わたしの好きなシンガーソングライターのレナード・コーエンもまた同じようなタイプだろう。アルバムとアルバムのあいだのインターバルが長く、比較的長い「お籠もり」期間のあと、インパクトのつよいアルバムを発表するという繰り返し。

三島由紀夫も「待つ」ということの意味を強調している。行動の前に待つことがなければ、その行動は単なる猛動にすぎない。ハンターとしての動物もまた「待つ」時間のほうが狩りの一瞬よりもはるかに長い

アウトプットばかりしていると人間の中身が薄くなるからこそインプットが大切だ。そもそも、冬に「お籠もり」するのは、何か新しいことを始める前には絶対に必要なプロセスなのだ。

お籠もりはポジティブな響きがあるが、引き籠り(ひきこもり)にはネガティブなイメージが付着してしまっているのは、いかがなものか。

コクーン(Cocoon:繭)、エルミタージュ(hermitage:隠遁)、リトリート(Retreat:修養会)などさまざまな表現があるが、お籠もりも引き籠りも基本的には同じ状態のことではないか? 気にすることはない。魂のチャージが終われば、おのずから生きる気力がわいてくるはずだ。もちろん人によって必要な期間は異なるだろうし、逆に過充電には気をつける必要はある。

「お籠もり」して「充電する」ことは絶対に必要なのである!!



PS 書き始めて3年かかってようやく仕上げることができた。とりあえずのまとめということで。このテーマは、すごく重要なものだと思っているので、こんごもさらに考えていくつもりである(2013年2月20日)。

PS 経営者が想を練る時にお籠もりをすることもある。マイクロソフト創業者のビル・ゲイツや、韓国のサムソン会長イ・ゴンヒなどの傑出した経営者が、ときどき山籠もりしていたのは有名だが、ホンダの創業経営者の一人で「ナンバー2」の藤沢武夫は、本社とは別に銀座のビルの一室を借り、その部屋にこもって思索にふけり経営戦略を練ったという。(2013年3月4日)








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(2012年7月3日発売の拙著です)









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