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2011年12月16日金曜日

書評 『寡黙なる巨人』(多田富雄、集英社文庫、2010)-脳梗塞に倒れた免疫学者による 「人間の尊厳」回復の記録

脳梗塞に倒れた免疫学者の内部に生まれた「巨人」が語らせた「人間の尊厳」回復の記録

突然、脳梗塞のためすべてを失ってしまった世界的な免疫学者。

その直前まで国内海外を精力的に異動し、友人とは酒を酌み交わす日々を送っていたのに・・・。

「医者の不養生」といってしまえばそのものだが、突然すべを失った人の身の上は、家族や知人友人ではないにもかかわらず、他人事とは思えない。

この本は、「人間の尊厳」を回復するための「闘いの記録」である。

リハビリの作業療法で、生まれてはじめて習い覚えたパソコンに向かって、左手だけで書いた文章がまとまってこの一冊になった。文章で表現したい、文章を書く事で社会に参加したい、社会とつながっていたい、という心の底からの叫び

記憶が失われていなかったので「自分」であることは確認できた、しかし人の声は聞こえるが自分はしゃべれない、三度の食事も、嚥下(えんげ)するのがきわめて苦痛。リハビリを重ねるなかで、著者は自分のなかに「新しい人」が目覚めてきたことを感じる。そして、他人から見たら物言わぬ「寡黙な巨人」が、著者をして左手でキーボードを打ち続けさせたのである。

いったん死んだ人間でなければ書けない内容の本である。

著者が学生時代以来慣れ親しんでいたお能の世界は、幽明の境のはっきししない世界である。著者の描く世界もまた幽玄能そのもののような印象を受ける。死線をさまよった際の体験談は、臨死体験そのものだろう。色のない世界、自分を引っ張る手の存在・・・。

右半身不随となってしまった著者であるが、「二本足で歩くことは、人間のみに許された基本的人権」という発言は心に響くものがある。そしてまた、都立病院のお粗末な現状は、高齢化社会を迎えた日本で、いかに福祉がないがしろにされているかの告発である。

著者はすでに亡くなっているが、研究者としての研究業績に勝るとも劣らない、生きるということの意味の一書を遺してくれた。免疫学者としての業績は知らなくても、読むべき本である。



<初出情報>

■bk1書評「脳梗塞に倒れた免疫学者の内部に生まれた「巨人」が語らせた「人間の尊厳」回復の記録」投稿掲載(2011年2月13日)
■amazon書評「脳梗塞に倒れた免疫学者の内部に生まれた「巨人」が語らせた「人間の尊厳」回復の記録」投稿掲載(2011年2月13日)








■目 次 

1. 寡黙なる巨人
2. 新しい人の目覚め
-生きる
-考える
-暮らす
-楽しむ
憂しと見し世ぞ-跋に代えて


■著者プロフィール 

多田富雄(ただ・とみお)

1934年生まれ。東京大学名誉教授。免疫学者。1995年、国際免疫学会連合会長。抑制T細胞を発見。野口英世記念医学賞等内外多数の賞を受賞。2001年、脳梗塞で倒れ声を失い、右半身不随となるが、リハビリを行いながら著作活動を続ける。能楽にも造詣が深く「望恨歌」など新作能の作者としても知られる。『寡黙なる巨人』で 2009年第7回小林秀雄賞受賞。2010年4月没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。


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・・同じ晩年に襲われた失明という事態と闘った科学者の体験と観察記録




(2012年7月3日発売の拙著です)







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