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2011年12月16日金曜日

書評 『まだ夜は明けぬか』(梅棹忠夫、講談社文庫、1994)-「困難は克服するためにある」と説いた科学者の体験と観察の記録



「困難は克服するためにある」と説いた梅棹忠夫の失明体験観察記録

『まだ夜は明けぬか』(梅棹忠夫、講談社文庫、1994) が、先日なんと17年ぶりに第2刷が発行された。

わたしはこの文庫本が出版されてすぐに読んだが、長いあいだ品切れになっていたのはじつに残念なことだと思ってきた。

昨年2010年に梅棹忠夫が亡くなってから、今年も次から次へと特集が組まれ、新たな本が編集され、また長らく品切れだった本が復刊されているのは、たいへんうれしいことだ。

梅棹忠夫の人生は、挫折とその克服によって全うされたものであったことを書いておくべきだろう。

山歩きにのめり込んで授業に出なかったために放校された三高時代から始まって、日本隊が初登頂を実現したマナスル登頂計画の前にして肺結核で二年間療養、そして学者としては致命的な両目の失明、と挫折につぐ挫折も経験している。 

とくに本書は、梅棹忠夫の数ある挫折のうちで最大のものといえる失明体験について体験記と自分自身を観察したドキュメントになっている。

中国で感染したウイルスによる突然の両眼失明は、老年期に入って学問研究の総括をすべき時期に遭遇した悲劇であった。視覚による観察が命である学者にとって、視覚を失うということは、想像をはるかにこえた試練であり、それは壮絶な体験であったのだから。

しかし、『梅棹忠夫 語る』でもつよく断言しているように、「困難は克服するためにある」という精神力が最大の挫折を乗り越えさせるチカラとなっただけでなく、長年の懸案事項でもあった「著作集」の編集という一大プロジェクトを完遂させるキッカケと原動力になったのもすごいことである。

本書は、そうした挫折と闘病をリハビリによって挫折を乗り越えた記録であり、かつ自分自身のカラダすら観察対象として記録した自然科学者の記録でもある。失明による視覚機能の喪失によってあわられた世界は、著者にとっては最後の秘境であったといってもいいかもしれない。

本書はその探検と観察の記録であり、また骨太の人生論にもなっている。書店の店頭にまだ在庫があるこの機会にぜひ購入して読んでほしい本である。




目 次

まえがき

夜はまだ明けぬか
退院まで
みえないなりの知的生産
薄明をいきる
音楽に挑む
本づくり
初出一覧
文庫版のためのあとがき



<書評への付記>

もともと「耳で聞いてわかる日本語」を提唱してきた著者だけに、失明してからも著作集の編纂やあらたな執筆も比較的可能としたのであろう。

この「耳で聞いてわかる日本語」については、別途ブログで書く予定にしている。



<ブログ内関連記事>

失明体験をした人が書いた本

自分のアタマで考え抜いて、自分のコトバで語るということ-『エリック・ホッファー自伝-構想された真実-』(中本義彦訳、作品社、2002)
・・「7歳で完全失明、15歳で突然視力を回復、自殺未遂、人生40年と見定めての10年間の放浪生活と思索の日々」を送った "沖仲仕の哲学者" ホッファー

コロンビア大学ビジネススクールの心理学者シーナ・アイエンガー教授の「白熱教室」(NHK・Eテレ)が始まりました
・・高校時代に病気によって視力を失った心理学者による授業。この授業を TV で見る限り、授業内容がこまかい事実や数字まで含めてすべて教授のアタマのなかに入っており驚かされる

書評 『まっくらな中での対話』(茂木健一郎 with ダイアログ・イン・ザ・ダーク、講談社文庫、2011)
・・人為的に視覚が効かない世界で、聴覚と触覚をフルに使用する世界を体験

書評 『山本覚馬伝』(青山霞村、住谷悦治=校閲、田村敬男=編集、宮帯出版社、2013)-この人がいなければ維新後の「京都復興」はなかったであろう
・・成人になってから全盲になった人の長い後半生

書評 『言葉にして伝える技術-ソムリエの表現力-』(田崎真也、祥伝社新書、2010)
・・江戸時代後期?の盲目の国文学者・塙保己一(はなわ・ほきいち)の驚異的な記憶力について触れている


科学者の闘病体験記

書評 『寡黙なる巨人』(多田富雄、集英社文庫、2010)-脳梗塞に倒れた免疫学者による 「人間の尊厳」回復の記録


梅棹忠夫関連の記事

書評 『梅棹忠夫 語る』(小山修三 聞き手、日経プレミアシリーズ、2010)
・・最晩年の放談集。日本人に勇気を与える元気のでるコトバの数々

書評 『梅棹忠夫-地球時代の知の巨人-(KAWADE夢ムック 文藝別冊)』(河出書房新社、2011)

・・とくにモンゴル学者で社会言語学者の田中克彦との対談を参照。「ある意味では田中克彦よりもはるかにラディカルな言語思想家で実践家であったことがわかる。耳で聞いてわかる日本語の改革に生涯をかけて精力を注いでいたことに、失明後も旺盛な知的生産を行うことのできた秘密の一端があるようだ」。

書評 『梅棹忠夫のことば wisdom for the future』(小長谷有紀=編、河出書房新社、2011)


書評 『梅棹忠夫-知的先覚者の軌跡-』(特別展「ウメサオタダオ展」実行委員会=編集、小長谷有紀=責任編集、千里文化財団、2011)

梅棹忠夫の幻の名著 『世界の歴史 25 人類の未来』 (河出書房、未刊) の目次をみながら考える

(2014年6月24日 情報追加)



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