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2012年4月22日日曜日

書評 『私が「白熱教室」で学んだこと-ボーディングスクールからハーバード・ビジネススクールまで-』(石角友愛、阪急コミュニケーションズ、2012)-「ハウツー」よりも「自分で考えるチカラ」こそ重要だ!

「ハウツー」よりも「自分で考えるチカラ」こそグローバルに生きぬくうえで重要だ!

16歳のとき、みずからの意志でみずからを英語漬けの環境に投げ込んだ著者が振り返って語る、一人の人間として生きていく上でほんとうに大事な教育とは何かについての本である。

ほんとうに重要な教育とは、日本では主流のノウハウやスキルといった小手先の「ハウツー」ではない。「自分で考えて自分で行動する」というマインドセットのことなのだ。

そしてそれこそが、日本の外で生きていくための「生きるチカラ」の基礎となるのである。これこそが著者がいいたいことであり、わたしも全面的にその趣旨に賛成だ。

おそらく多くの人が関心あるだろう、ハーバード・ビジネススクールで何を学んだかについては本書にはあまり書かれていない。むしろボーディングスクール(全寮制高校)とリベラルアーツ・カレッジ(全寮制少人数制大学)で学んだことがページの多くを占めているのは、専門教育そのものよりも、人間としての基礎をつくりあげる教育のほうが大きな意味をもっていると、著者自身が振り返ってみて思っているためだろう。誰にとっても、20歳までに経験することのほうがはるかに重要なのだ。

あくまでも出発点は個人。だが個人の存在を前提とするからこそ求められる協調性。ボーディングスクールでは、ほとんど修道院のような厳しさが求められることに多くの日本人は驚くことだろう。しかも、日本のように受験が最終目的なのではなく、自分がやりたいこと、やるべきことを見つけるための幅広く勉強することが求められる環境。なるほど、できるアメリカ人が専門分野だけではなく、幅広くモノを知っている理由はそこにあるのだなと納得させられるのだ。リベラルアーツとはそういうことである。

わたし自身は、アメリカでの教育体験はビジネススクールだけだが、著者がいっていることにはほぼ全面的に賛成だ。「白熱教室」はべつにハーバード大学のサンデル教授の専売特許でもなんでもない。アメリカの授業はみな、あんな感じなのだ。一方通行のブロードキャスティング型のレクチャーではなく、授業は発言と対話を重視したワークショップ型。教師はあくまでもファシリテーターというのがアメリカの授業スタイルである。

最終章に書かれていることは、わたしからみれば著者はかなりアメリカナイズされているなとは感じるが、あくまでも一人の日本人女性の手記として受け止めておくべきだろう。わたしもビジネススクールを卒業してからしばらくは、かなりアメリカかぶれだったから。

著者が10年後、20年後、どのような感想をもっているのかはわからないが、すくなくとも現時点ではこういう感想をもっているということを知るのは、とくに著者とは近い世代の10歳代、20歳代の若者には意味のあることだ。もちろん、若者世代以外も本書を読んで、アメリカの教育スタイルがどういうものか知って、みずからの常識としてほしい。

<初出情報>

■bk1書評「「ハウツー」よりも「自分で考えるチカラ」こそグローバルに生きぬくうえで重要だ!」投稿掲載(2011年4月4日)
■amazon書評「「ハウツー」よりも「自分で考えるチカラ」こそグローバルに生きぬくうえで重要だ!」投稿掲載(2011年4月4日)





目 次

はじめに
Chapter 1. そもそも勉強するってどういうこと?-答えを教えてくれないアメリカの教師
Chapter 2. 考える、考える、答えは出なくとも考え尽くす-アメリカの学校で徹底される「思考力」の訓練
Chapter 3. 認められるのは議論に勝ってから-知識でなく言葉で勝つ「議論力」を身につける
Chapter 4. マネジメント能力を10代から問う教育-勉強と大学受験を通して「自分を管理する術」を学ぶ
Chapter 5.  成果主義はすでに始まっている-遊ぶ暇があれば、学生時代から人生経験を増やそう
Chapter 6.  アメリカでは就職後も「勉強」が続く-全米一「働きたい会社」グーグルで働くということ
Chapter 7.  日本の学校で教えてくれない、本当に大切なこと-なぜ世界中の若者がアメリカに勉強しに来るのか
おわりに

著者プロフィール

石角友愛(いしずみ・ともえ)
東京のお茶の水女子大学附属高校を中退。16歳で単身渡米する。少人数ディカッション式の名門ボーディングスクール(全寮制私立高校)に進学し、リベラルアーツ教育で有名な、オバマ大統領の母校でもあるオキシデンタル・カレッジを卒業(心理学士)。在学中に思いついた起業アイデアを実行すべく、帰国して起業家を支援するインキュベーションビジネスを立ち上げ、3年間運営する。2008年、再びアメリカに渡り、ハーバード・ビジネススクールへ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。


<書評への付記>

本書で意図せずして主張しているのは、ビジネススクールなどのプロフェッショナル・スクール(専門大学院)ではなく、それ以前の大学学部でのリベラルアーツ教育や、さらにさかのぼってのハイスクールでの教育のほうが、人間形成においてはきわめて重要だということだ。

つまり、20歳前後までの教育が重要なのだということ。とくにボーディングスクールという全寮制の私立学校は、「全人教育」という観点からいえば、本人にとってはさておき、保護者からみれば理想的な教育環境といっていいだろう。

職業に密接に結びついた専門教育はその基礎のうえに行われるべきだというのが、現在の米国流の高等教育の考え方であり、その影響を全面的に受けた著者自身の考え方である。基本的にわたしもその考えには同感である。

タイトルは『私が「白熱教室」で学んだこと』とあるが、これは出版社サイドでつけたものだろう。日本では、NHKでサンデル教授の『ハーバード白熱教室』が放送されて以来、大きなブームとなってその熱が冷めることがないが、これは日本人のあいだに、ほんとうの教育に対する熱望があることのあらわれではないかと、わたしは考えている。

なぜなら、本書でも活写されているように、アメリカでは対話型の授業は当たり前だからだ。一方通行のテレビ放送のようなブロードキャスティング型ではなく、ファシリテーターと受講者のインタラクションが基本のファシリテーション型授業なのである。

日本ではまだまだファシリテーターとしての技能を持ち合わせた教師は少ない。初等中等教育では熱心に取り組んでおられる先生方も多いが、こと大学以上の高等教育では激変する。

ゼミナール制度をもっている社会科学系や人文科学系、あるいは研究室のある自然科学系や工学系の学部では、少人数の対話型授業は可能だが、残念ながら中規模以上の人数のクラスでは可能となっていない。

研究が中心で、教育は二の次という位置づけの教授が少なくないのもまた、日本では残念ながら現実である。だからこそ、一般人のあいだでサンデル教授の「白熱教室」礼賛の声が強いのだ。ないものねだりに近いのかもしれないが・・。

ところで、米国のボーディングスクールを実体験した学生による手記は、10年前にも出版されて話題になっている。『レイコ@チョート校-アメリカ東部名門プレップスクールの16歳-』(岡崎玲子、集英社新書、2001)という本だ。

著者の岡崎玲子氏もいまは27歳だから、本書の著者とはほぼ同年齢ということになる。出版当時、わたしは書評を書いているので、ここに再録しておきたいと思う。


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『レイコ@チョート校-アメリカ東部名門プレップスクールの16歳-』(岡崎玲子、集英社新書、2001)

こんな子がいれば日本の将来は決して暗くないぞ
サトケン
2002/01/28 1:00:00
評価 ( ★マーク )
★★★★★

実に面白い。一気に読んでしまった。

この本の著者である岡崎玲子さん(1985年生まれの16歳)みたいに、知的好奇心が旺盛で、柔軟な人にとっては、このチョート校のようなアメリカ東部の名門プレップスクール(寄宿制私立高校)はうってつけなんだろうな。日本の大学よりはるかに知的な内容の授業が行われているのだ。はっきりいってうらやましい。もし僕も生まれ変わって(?)もう一回高校生になれたら、絶対アメリカのプレップスクールにいきたいな、そんな気にもさせられた。

この本を読むまでは、プレップスクールというと、ロビン・ウィリアムズ主演のアメリカ青春映画『今を生きる』のイメージしかもっていなかったが、著者による、プレップスクールの1年といったかんじの、ほとんどライブ中継のような紹介で、はじめて明確に内容を知ることができるようになった。

それにしても驚くのは、玲子さんの日本語能力の高さである。英語ができるから難関のプレップスクールに入れたのは当然だが、16歳でこれだけロジカルで臨場感豊かな日本語を書ける(もちろん編集者の指導はあるだろうが)ということに正直おどろいている。こんな子がいれば日本の将来は決して暗くないぞ、そんな気にもさせられる。きっと国際的な大きな活躍をしてくれることだろう。

同世代の人や教育に関心のある親だけでなく、あらゆる年齢層の人におすすめの本だ。





<関連サイト>

私が「白熱教室」で学んだこと(著者自身による facebookページ)

『私が「白熱教室」で学んだこと』(出版社による書籍案内サイト)
・・詳細な目次が掲載されている


<ブログ内関連記事>

「ハーバード白熱教室」(NHK ETV)・・・自分のアタマでものを考えさせるための授業とは

コロンビア大学ビジネススクールの心理学者シーナ・アイエンガー教授の「白熱教室」(NHK・Eテレ)が始まりました

ダイアローグ(=対話)を重視した「ソクラテス・メソッド」の本質は、一対一の対話経験を集団のなかで学びを共有するファシリテーションにある

書評 『ハーバードの「世界を動かす授業」-ビジネスエリートが学ぶグローバル経済の読み解き方-』(リチャード・ヴィートー / 仲條亮子=共著、 徳間書店、2010)

ハーバード・ディヴィニティ・スクールって?-Ari L. Goldman, The Search for God at Harvard, Ballantine Books, 1992

映画 『ソーシャル・ネットワーク』 を日本公開初日(2011年1月15日)の初回に見てきた

書評 『エリートの条件-世界の学校・教育最新事情-』(河添恵子、学研新書、2009)・・ほんとうのエリート教育は詰め込みではない!

書評 『異端の系譜-慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス-』(中西 茂、中公新書ラクレ、2010)



『モチベーション3.0』(ダニエル・ピンク、大前研一訳、講談社、2010) は、「やる気=ドライブ」に着目した、「内発的動機付け」に基づく、21世紀の先進国型モチベーションのあり方を探求する本

書評 『伝説の灘校教師が教える一生役立つ学ぶ力』(橋本 武、日本実業出版社、2012)-「すぐ役立つことは、すぐ役立たなくなる」!






(2012年7月3日発売の拙著です)








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