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2014年1月11日土曜日

インド神話のハヤグリーヴァ(馬頭) が大乗仏教に取り入れられて馬頭観音となった

(多頭のヴィシュヌとハヤグリーヴァ wikipediaより)

ほんとインドのヒンドゥー教世界というのは極彩色の世界。日本のようなシックな色調をよしとする墨絵の世界とはまさに真逆の世界でありますねえ。

そのむかし地方の観光名所で売っている絵ハガキに「総天然色」というのがありましたが、それを思いださせます。

ヒンドゥー教の神様といえば、日本でも商売の神様ガネーシャは知名度が高いかもしれません。象の神様ガネーシャは、日本には聖天(しょうてん)さまという形で男女一対のいわゆる歓喜仏という秘仏で伝来しています。

このほか猿の神様ハヌマーン神鳥ガルーダながいるインドのヒンドゥー教の世界はいわゆる「多神教世界」です。

インドにはなんと馬の神様もいるんですね!その名もハヤグリーヴァ。

複数のアタマをもったヴィシュヌ神と馬神ハヤグリーヴァ。この写真は wikipedia からとってきました。インドはほんと極彩色の世界。

(ヒンドゥー教の馬神ハヤグリーヴァ wikipediaより)

ハヤグリーヴァ(Hayagriva)はサンスクリット語で「馬の首(=たてがみ)をもつもの」という意だそうで、もともとはヒンドゥー神話のブラフマー(梵天)が倒した悪魔。のちに転じてブラフマー神あるいはヴィシュヌ神のアバター(化身)とされるようになったとか。

そう、馬神はもともと悪馬ならぬ悪魔だったのです。インドではもともと牛がもっとも神聖な存在ですが、馬は後代にユーラシア中央部から南下して伝来したようです。そういう事情が神話に反映しているのでしょう。

石田英一郎は主著『河童駒引考』において以下のような推論をおこなっています。わたしが書いたブログ記事から引用してきます。

東南アジアからインドをへて地中海にいたる「南方ユーラシア圏」においては、もともと牛を耕作に使用する農耕文明が主流であり、したがって「牛神=水神」の信仰が広がっていたのであった。
この牛神中心の「南方ユーラシア圏」に南下してきたのが、「北方ユーラシア圏」の馬神である。もともとあった牛神と馬神が混交し、あるいは馬神が優勢となった結果、牛神=水神の連想が馬神=水神の連想に転化したのである。
この関係は「二項対立」として整理することができる。
●牛(神)-大地-母神-農耕-南方ユーラシア
●馬(神)-天上-父神-遊牧-北方ユーラシア

インドの叙事詩『マハーバーラタ』におけるハヤグリーヴァとヴィシュヌについては、『インド神話-マハーバーラタ-』(上村勝彦、ちくま学芸文庫、2003)の P.280~283 を参照していただくとよいでしょう。ヴィシュヌによるハヤグリーヴァ殺害は大洪水神話と結び付いて語られているとのことです。

・・(前略)・・後代、ハヤグリーヴァに関する神話を統一する必要が生じ、次のような折衷的な神話が作られた。すなわち、悪魔ハヤグリーヴァは苦行の結果、馬の頭を持つもの(ハヤグリーヴァ)以外の何物にも殺されない身体となった。そこでヴィシュヌは、ある事情で頭を失った時、馬の頭をつけてハヤグリーヴァを殺したという。(P.283)

馬神ハヤグリーヴァは大乗仏教に取り入れられて馬頭明王(ばとうみょうおう)となります。馬頭観音(ばとうかんのん)ともいいます。

馬頭明王(=馬頭観音、馬頭観世音)はチベットでも日本でも見ることができます。チベットの馬頭観音はヒンドゥー教時代の「悪魔」の痕跡をとどめていることがわかります。

(立ち上がる髪の毛のなかにいななく蒼い馬が wikipediaより)

馬そのものはユーラシア大陸中央部にも近いチベット高原のほうがインドよりも伝来は早かったのではないかと思われますが、半農半牧のチベット民族においても仏教は後代になってから逆にインドから北上して伝来したものなので、このような形態になったのでしょうか。

日本ではすっかりやさい観音さまとなってますね。行き倒れになった馬や殺処分された馬を供養する供養塔には馬頭観音が刻まれて祀られていることが多いのです。

(千葉県鎌ケ谷市にて筆者撮影)


インドからヒマラヤを越えてチベットの方向と、インドから中国を経て日本への方向とでは、おなじ大乗仏教といってもだいぶ印象が異なりますね。

高地にあって空気の希薄なチベットは、インドのヒンドゥー教世界以上の極彩色の世界。それに対して、四季の明確な温帯の日本は墨絵の世界です。ただし日本でも密教の曼陀羅は極彩色の世界でありますが。

馬という動物の伝来と、大乗仏教という目に見えない思想の伝来とは、かならずしも一致していないということでしょう。モノの移動と思想の移動が一致していない例として馬神の事例は興味深いものがあります。






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(2012年7月3日発売の拙著です)





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