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2025年12月28日日曜日

書評『グレイト・ウェイヴ ― 日本とアメリカの求めたもの』(クリストファー・ベンフィー、大橋悦子訳、小学館、2007)― 「金ピカ時代」のアメリカと「明治時代」の日本は同時代。その時代を文化をつうじて密接に交流した人びとがいた

 


19世紀後半のアメリカは資本主義の全盛期で「金ピカ時代」(Gilded Age)とよばれた時代。同時代の日本は「明治時代」であり、ピッタリと重なりあっている。ほぼ同時期に「南北戦争」と「戊辰戦争」という内戦を乗り切った両国はともに「新興国」であった。 

この時代に主流の政治経済ではなく、文化をつうじて深いレベルで日米のあいだで密接な交流を行った人たちを描いたものだ。 

タイトルになっている「グレイト・ウェイヴ」(The Great Wave)は、「西洋近代」として日本を襲った大波だけでなく、太平洋をはさんで米国にも打ち寄せた大波を意味している。19世紀後半は、すでに日米関係は相互に浸透する関係であったのだ。 

序章と終章ではさまれた全8章で構成された、二段組みで約380ページの大冊だが、ずんずん読み進めたくなるような面白い内容の本だった。 

「第1章 太平洋上の二人の漂流者 ハーマン・メルヴィルとジョン万次郎」がじつに面白い。黒船が来航する前から、すでに捕鯨(whaling)をつうじて日米関係は始まっていたのである。 太平洋の対岸から、たった2日違いで東西に向けて海を渡った二人。

メルヴィルは『白鯨』(モビー・ディック)が代表作の作家、ジョン万次郎については、あえて説明するまでもなかろう。 この二人は直接対面したことはないが、東海岸のフェアヘイブン、ハワイや日本近海でニアミスしていたのだ。 



■東海岸ニューイングランドのボストンを舞台にした日米文化交流

「第2章」以下「第8章」までは、ボストンを中心としたニューイングランドと日本の密接な文化交流を、互いに密接にからみあった人間関係を軸に描きあげている。

主要な登場人物は、「大森貝塚」の発見者であるエドワード・モース、そしてモースに誘われて初期の東京大学で教えることになった「日本美術礼賛者」のアーネスト・フェノロサ「ボストン美術館」のパトロンでもあった大富豪スタージー・ビゲロウである。 

そして、その周辺には画家のラファージと大富豪の未亡人イサベラ・ガードナー文学者のラフカディオ・ハーン天文学のパーシヴァル・ローエル、セオドア・ルーズベルト大統領などなど、さまざまな人物がからみあってくる。 

文明開化の波に飲まれて消えゆく運命にあった「オールド・ジャパン」を愛惜した、「ボストン人脈」につらなる人たち。かれらと日本サイドで密接な関係をもっていたのが岡倉天心であった。 

「英語名人世代」として英語は母語なみに堪能で、文部官僚として日本の美術行政を担い、みずから立ち上げた東京美術学校校長として「日本画」の創設に邁進し、余儀なく野に下ったのちは日本美術院を立ち上げ、最後はボストン美術館のキューレーターとして中国・日本部門の責任者をつとめた人物だ。英語で書かれた主著『茶の本』(The Book of Tea)は、いまなお世界中で読み継がれているロングセラーである。 

こうした人物が織りなす複雑で、絵巻物のような世界を描いたこの本は、基本的にアメリカ人読者を対象にしたものだが、じつに面白かった。ただし、アメリカ人にとってはそうであっても、日本人にはあまりなじみのないヘンリー・アダムズにかんしては、やや退屈な感があったが・・・ 



■「金ピカ時代のはみ出し者」と「日本のエキセントリック」

本書の扉には「Gilded Age Misfits, Japanese eccentrics, the opening of Old Japan」とある。 

「Gilded Age Misfits」(=金ピカ時代のはみ出し者)「Japanese eccentrics」(=日本の奇人たち)、「 the opening of Old Japan」(=オールド・ジャパンの幕開き)この3つのフレーズが本書の主題である。 

19世紀後半のアメリカは資本主義の全盛期。「金ピカ時代」(Gilded Age)と命名したのは作家のマーク・トウェインだが、金銭万能時代に違和感を抱いていた人たちもいたのである。それが上記の「ボストン人脈」につらなる人たちなのだ。 

エリート官僚から出発しながら、野に下って日本社会の主流からはずれていった岡倉天心は、字義どおりの意味で、「中心からはずれたエキセントリック」(ex-centric=eccentric)といってよい。ただし、本書の岡倉天心関連の記述には、間違いが散見されることに注意しておきたい。主要なソースとした英語文献の限界である。 

19世紀後半に存在した日米の密接な文化交流は、日露戦争を機に大きく変化していく。「終章 1913年 ― ひとつの時代の終焉」は、明治時代が終わっただけでなく、日米双方の関係者たちの死と、あらたな時代の幕開けを示している。そして第一次大戦を経て米国は超大国となり、日本も大国の仲間入りすることになる。

本書を読めば、 「戦前」にも日米関係がきわめて良好だった時代があったことを知ることができるだけでなく、なぜ「ボストン美術館」(Museum of Fine Arts, Boston)が日本美術の世界的収蔵拠点になっているのか、そんな疑問にも答えてくれる内容になっている。その他、さまざまな読み方が可能だろう。 

原著は「シカゴ・トリビューン」で「2003年のベスト10冊」に選ばれたという。この本の存在を知ったのはつい最近のことだが、こういう本がアメリカで出版されているということは、大いに意味のあることだ。 


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目 次
日本語版序文 
第1章 太平洋上の二人の漂流者 ― ハーマン・メルヴィルとジョン万次郎 
第2章 貝殻コレクター ― エドワード・シルヴェスター・モース 
第3章 天心の “ボストン茶会事件” ―  岡倉覚三とイザベラ・ガードナー 
第4章 涅槃の季節 ― ヘンリー・アダムズとジョン・ラファージ(1) 
第5章 日光の滝 ― ヘンリー・アダムズとジョン・ラファージ(2) 
第6章 火星からのメッセージ ― パーシヴァル・ローウェルとメイベル・トッド 
第7章 しゃれこうべの山 ― ラフカディオ・ハーンとアーネスト・フェノロサ 
第8章 大統領の柔道部屋 ― セオドア・ルーズヴェルトとスタージス・ビゲロウ 
終章 1913年 ― ひとつの時代の終焉 
謝辞/日本語版編集あとがき/索引 

著者プロフィール
クリストファー・ベンフィー(Christopher Benfey) 
マサチューセッツ州マウント・ホールヨーク大学英米文学教授。ハーバード大学で比較文学の博士号を取得。ニューヨーク・タイムズ・ブックレヴューを始め、多くの雑誌で文芸評論を手掛けるほか、美術批評家としても活躍。たびたび日本を訪れており、陶芸や柔道の心得もある。現在、妻と二人の息子とともに、マサチューセッツ州アマースト在住。



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