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2014年11月15日土曜日

「夢の島」にはじめて上陸(2014年11月15日)-東京都江東区の「夢の島」に日本戦後史の縮図をみる

(東京湾の夢の島マリーナ)

「夢の島」に初めていってきた。たまたま夢の島公園に用事があったからだ。島といっても陸続きなので、クルマでなくても新木場駅から歩いて行ける範囲にある。

東京都江東区にある夢の島といえば、わたしのイメージは東京都のゴミ捨て場で、ゴミによって埋め立てたてられた人工島というものであった。

汚いゴミの埋め立て地につけられた「夢の島」(ドリーム・アイランド)というネーミング。現実ではなく願望を込めたネーミングだろうが、小学生でも、現実とコトバのギャップのあまりにも大きな違いには敏感に反応していたものだ。夢の島とは笑っちゃうよね、と。

コトバが指し示す対象とコトバそのものの関係は恣意的であると喝破したのは言語学者のソシュールだが、ゴミの島という現実と夢の島というコトバのズレは、1970年前後の高度成長時代末期にはピークに達していたのであった。

夢の島はゴミの島というイメージは、小学生5年生の4月まで東京で過ごしていたわたしのなかで、40年以上も固定観念となったまま凍結していたのだ。


夢の島へのメタモルフォーシス

ところが、現在の夢の島は、そこがかつての夢の島であったという痕跡をほとんど感じさせないものとなっていた。陸上競技のフィールドを中心にした公園に熱帯植物園、バーベキュー場や東京湾に面したマリーナまであり、公園をつかったイベントまで開催される、文字通り「夢の島」となっていた。



正直いって驚いた。わずか40年でここまで「進化」するものなかのか、と。「進化」でも「成長」でもない、生物学用語をつかえば、「変態」というべきだろう。幼虫がさなぎを経て美しい蝶になるようなメタモルフォーシスである。

夢の島に熱帯植物園があるのは、ゴミ焼却の廃熱を利用しているからだ。小学生の頃から井の頭植物園に通い詰めていたほどの植物園大好き人間のわたしは、ぜひ夢の島の植物園にも入りたかったが、時間がなかったので断念。後日の楽しみとして取っておこう。

(夢の島熱帯植物園の手前は耕作地)

熱帯植物園が可能となったのは土壌が劇的に変化したからでもある。なんと夢の島には畑まであるのだ! しかもミツバチまで飼っているのだという。

(夢の島の畑に掲示された注意看板)

ゴミ捨て場に投棄されたゴミが、バクテリアの働きによって分解され、40年間をかけて黒土層に変化していたのだという。

すごいねバクテリア! 人間が踏み込むことがなかたのがよかったのだという。人間の手を加えずに実現された黒土化は、ある意味では自然治癒力のようなものだろうか。夢の島は、見事なまでに緑の島にメタモルフォーシスしていた。

ゴミの島から緑の島へ。夢の島の歴史は、日本戦後経済史を見事に反映している。

1960年代の高度成長という日本近代化の最終局面に吹き出た負の側面が、その後の長期にわたる安定成長と、一時的な狂熱状態があったとはいえ、長い経済停滞停滞によってもたらされた成熟経済。

大量生産が大量消費を生み、大量消費が大量廃棄を生むという悪循環。「もったいない」というフレーズを復帰させたいという動きがあるものの、100円均一商品があふれるなか、使い捨てによるゴミの大量発生状態が鈍化したわけではない。

発展途上国での引き合いから発生した資源ゴミの輸出と、ダイオキシンを発生させない焼却技術の進歩とがあいまって、現在の状態に落ち着いているのだろう。ゴミは宝の山という認識は浸透しつつある。


夢の島にある「第五福竜丸展示館」は必見!

夢の島には絶対にはずせない施設がある。それは、都立第五福竜丸展示館だ。トラジャコーヒーで有名なトラジャ風というか、ニューギニア風あるいはポリネシア風の建築物である。

(ポリネシア風建築の第五福竜丸展示館)

いまから60年前の1954年3月1日、太平洋のマーシャル諸島のビキニ環礁でアメリカの水爆実験の放射能被害を受けたマグロ漁船である。最近でこそあまり話題に登らなくなっていたが、わたしが小学生の頃は、第五福竜丸はひんぱんにマスコミでも言及されていた。

ことし2014年にはアメリカで映画ゴジラのリメイク版が公開されて話題になっていたが、水爆実験から生まれたという想定のゴジラは、あの時代の空気を知っている大人たちがつくったものなのだ。・当時の子どもたちは、あまり意識していなかたが・・・。

「3-11」後はふたたび関心が高まっているようで、第五福竜丸展示館は入場無料ということもあるのだろうが、朝からかなりの入場者であふれていた。

(後部からみた第五福竜丸)

第五福竜丸が木造の大型船であることは今回はじめて知った。なにごとも百聞は一見にしかず、である。第五福竜丸は総トン数140トン、全長約30メートル、高さ15メートル、幅6メートル。これだけ大きな木造船は、ノルウェーのバイキング博物館でみたバイキング船以来のような気がする。

(側面からみた第五福竜丸)

説明書きによれば、もともとカツオ漁船として和歌山県で建造されたが、マグロ漁船に改造され、静岡県の焼津港を母港として太平洋で遠洋漁業を行っていたのだという。

水爆実験の被害に巻き込まれたのは1954年(昭和29年)、敗戦から9年後の日本はまだまだ貧しかった。貴重なタンパク源としてマグロやクジラが捕獲され、食卓に登っていた時代だ。

この当時のマグロは、冷凍技術が未発達な関係から、刺身ではなく煮物として食べられていたのであった。また加工されてツナ缶として輸出もされていた。

(第五福竜丸の甲板後部)

第五福竜丸の事件をキッカケに反原水爆運動が世界的に盛り上がったことも、この展示館のパネル展示で知ることができる。この事件もその一つのキッカケとして反米ナショナリズムが高まった時代である。

とにかく現物をみることだ。木造船が遠洋漁業に使用されていたという事実と、その大きさに驚かされるとともに、敗戦後の戦後日本がいかなる状態であったのかが手に取るように理解できるからだ。かならずしも反原水爆といった立場に立つ必要もない。

第五福竜丸は1954年の水爆被爆後も使用されていたこともはじめて知った。練習船に改造されて東京水産大学で使用されたあと、1967年に廃船になったという。第五福竜丸展示館が建設されたのは、1976年のことである。


「夢の島」に日本戦後史の縮図をみる

夢の島は、もともと東京湾に飛行場建設のための埋め立て地だったのだという。戦前の1939年(昭和14年)のことだ。だが、2年後の1941年には大東亜戦争に突入したこともあって、資材不足で工事は中止された。その後しばらくの海水浴場となっていたらしい。

ゴミの島となったのは1957年。第五福竜丸の事件から3年後である。ゴミの埋め立ては1957年から10年後の1967年まで続いた。奇しくも、第五福竜丸が廃船になったのと同じ1967年である。

「夢の島」というネーミングがいつ付けられたのか知らないが、その当時のことだろう。埋め立てが終わったのは高度成長末期である。

(1974年と2010年の夢の島 説明看板より)

埋め立てが終わってから11年後、1978年には東京都立夢の島公園が開園することになる。この頃のことはまったく知らなかったが、最初に埋め立てが始まってから40年後のことになる。

わたしがはじめて夢の島にいったのは公園が開園してから36年後ということになる。なるほど、夢の島がゴミの島であったのは、遠い昔のこと。若い世代がその当時のことなどまったく知らないのも無理はない。

「夢の島」の建設が1939年から始まってことし2014年で75年。節目の年というわけではないが、「夢の島」に日本戦後史の縮図をみることも可能だろう。

「夢の島」がゴミの島だと思い込んでいる人なら、一度はいってみる価値のある公園だ。その見事なまでのメタモルフォーシスに驚くはずである。








<関連サイト>

【東京都】夢の島公園 夢の島熱帯植物館(公式サイト)

都立 第五福竜丸展示館 Official Site





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