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2022年11月30日水曜日

書評『安倍三代』(青木理、朝日文庫、2019)ー「安倍三代」は日本現代史そのものである

 
『安倍三代』(青木理、朝日文庫、2019)という本が面白かった。安倍元首相の暗殺事件後に重版がかかったようだ。 (*読んだのは2022年9月4日で、その日にFBに感想をupしていたが、ブログ投稿が大幅に遅れてしまった) 

著者のジャーナリスト青木理氏は、メディアでの言動がリベラル派過ぎるのが鬱陶しいが、人物評伝においては綿密な取材と筆力で読ませるものがある。人物と書くものは一応分けて考えた方がいいだろう。 

この本で取り上げられた「安倍三代」とは、安倍寛、安倍晋太郎、安倍晋三の三代の政治家たち。なんといっても、安倍晋三氏がほぼ言及することのなかった安倍寛という人物が興味深い。 

反戦・反骨を貫いて、戦時中の翼賛選挙において非推薦で当選した数少ない代議士だったが、結核と脊椎カリエスのため、敗戦後に夭逝してしまった知られざる安倍寛。 かれのことは、この本ではじめて知った。

その長男で一人っ子だった安倍晋太郎についても、興味深い。リアルタイムで知っていた政治家だが、本書によって初めて知った事実も多い。 

学徒出陣で徴兵され特攻を志願することを余儀なくされたが、敗戦によって死なずに復員できた人だった。 毎日新聞の記者を経て政治家を志したが、父親が亡くなって久かったため、実質的にどぶ板選挙を戦い抜いて当選している。その間に、選挙区にある下関の在日コリアンの支持を取り付けた人だったそうだ。懐の深い保守政治家だったのだ。ただし、この本では韓国の統一教会とのかかわりについては言及されていない。

そして、その次男の安倍晋三氏だが、祖父の安倍寛氏は直接知ることなく、母方の祖父である岸信介に溺愛されたノンポリのお坊っちゃまだった。 

安倍寛、安倍晋太郎と続けて見ていくと、安倍晋三氏が、なぜ右派的な言動をする政治家となっていったったのか、その理由とプロセスが明らかになっていく。この点については、この本を読んで見るといい。意外とバランスのとれた記述がなされている。 

テロリストに狙撃されて非業の死をとげた安倍晋三氏だが、生前から賛否両論がかまびすしく、著者自身も安倍政治に違和感を強く抱いている人である。だが、著者はあくまでもファクト重視の姿勢は貫いているので、最後まで読むことは可能だろう。 

わたし自身は、安倍晋三氏だけでなく、首相にはついになれなかった安倍晋太郎という政治家をメディアを通じてリアルタイムで知っている世代なので、この三代にわたる人物評伝を興味深く読むことができた。 

「安倍三代」は日本現代史そのものである。


PS 安倍晋三氏の母校は成蹊大学

この本の最後を締めくくる形で、成蹊大学の教授で学長になった中国現代史の宇野重昭氏が登場する。成蹊大学は、安倍晋三氏の母校である。この先生の授業を大学時代に受講したわたしは、懐かしく思った。

中国共産党や毛沢東についての著作もある宇野重昭氏は、一橋大学法学部に出講して特別授業を開講していたのだった。熱い語り口の授業には、教室があふれんばかりの熱気がこもっていた。大学4年のときである。すでに単位のほとんどを取得していたわたしは、単位とは関係なく他学部の授業にもぐりこんで熱心に受講してノートをとった。

宇野氏もすでに世を去っていたのか。肺炎で86歳で亡くなったと本文にある。ご冥福をお祈りします。合掌




目 次
第一部 寛
 1章 知られざる祖父
 2章 「富の偏在」への怒り
 3章 反戦唱え、翼賛選挙へ
第二部 晋太郎
 1章 天涯孤独のドウゲン坊主
 2章 「異端」と「在日」
 3章 オレのオヤジは大したやつで
 4章 リベラルとバランス
第三部 晋三
 1章 凡庸な「いい子」
 2章 「天のはかり」と「運命」
 3章 世襲の果てに
あとがき
文庫版のためのあとがき
参考文献
解説(中島岳志)


著者プロフィール
青木理(あおき・おさむ)
1966年長野県生まれ。ジャーナリスト。慶應義塾大学文学部卒。1990年共同通信社入社。大阪社会部、成田支局などを経て東京社会部で警視庁の警備・公安担当記者を務める。その後、ソウル特派員を経て、2006年からフリーランスに。雑誌や書籍などでノンフィクション作品を発表する一方、テレビやラジオのコメンテーターとしても活動している。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)


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