『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2』(ブレイディみかこ、新潮文庫、2024)を読んだ。つい最近文庫化されたばかりの本。初版は2021年の出版。
100万部をこえるベストセラーでロングセラーとなった前著の続編で完結編。
日英混血の「イエローでホワイトで、ちょっとブルー」な息子。その成長を軸に展開するのは前著とおなじ。ただし、時間とともに変化していくのは、成長の早い子どもだけでなく、大人をめぐる状況もまたおなじである。
一般的に日本では「親子もの」として読まれているようだが、「2019年当時の英国社会を、変わりゆく労働者階級の親子の視点で内側から見る」といった読み方も可能だろう。
2019年当時とは、2016年の「ブレクジット」(=EU離脱後)後の英国社会である。 つい先日の2024年7月14日におこなわれた英国の総選挙では労働党が圧勝し、14年間にわたってつづいた保守党が下野することになったが、その間の英国社会の劣化は目を覆うばかりである。
はたして政権に返り咲いた労働党は、英国社会を立て直すことは可能なのだろうか? かなり困難な課題ではないか? いったん劣化した社会の再建は、きわめて難しい。
すでに変化(いや劣化?)の渦中にある日本社会だが、英国の状況を近未来の日本社会に置き換えて読むことも可能だ。たくましく生きていく息子の姿を見れば、そんな近未来の日本で生きていくための参考になるだろう。
もちろん、英国と日本の共通点だけでなく、相違点についても考える必要があることは言うまでもない。
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・・「金融ビッグバン」後の英国で、英国の証券会社に日本人として勤務していた著者が体験し、つぶさに観察した実情を「鏡」にして、日本の行く末を考察した内容の本。2024年現在から振り返れば、その言うところが正しかっただけでなく、状況はさらに悪化していると言わざるを得ない
・・米国の状況と英国の状況は似ている
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