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2025年2月2日日曜日

書評『他人(ひと)が幸せに見えたら深夜の松屋で牛丼を食え』(裏モノJAPAN編集部編、鉄人文庫、2023) ー「自己啓発」のアンチテーゼは、じつは「自己啓発」そのものだというパラドックス

 

 「自己啓発」が好きな人もいれば、「自己啓発」なんて大嫌いだという人もいる。これはあくまでも個々人の好みの問題であるので、良いも悪いもない。 

ビジネス界でいう「自己啓発」とは、研修や教育ではカバーできない分野を、「自助努力」で習得することを促す制度のことを指している。資格取得に対して補助金がつくことも多い。 

これに対して、一般社会では「自己啓発」というと「●●セミナー」の類いを連想する人もいて、ネガティブな印象をもっている人も少なくないようだ。「ポジティブ・シンキング」なんて、「洗脳」のメソッドを利用したアレじゃないか、と。 

そんな一般人がもっている「自己啓発」のアンチテーゼを打ち出している本もあって、そういう本を読むのも面白い。 


昨日のことだが、ふと立ち寄ったリアル書店の店頭に平積みになっていたので、手に取ってパラパラとやってみたら、ヤケに面白い。即購入して電車のなかで読んでいたら、これがまためっぽう面白い。 

カバーに記されているコピーは、まさに内容そのものだ。 

大衆酒場の社会学  
酸いも甘いも噛み分けたオッサン130人に聞いた  
若かりし自分に教えてやりたい人生の真実 

タイトルの「他人(ひと)が幸せに見えたら深夜の松屋で牛丼を食え」は、「40才 名古屋・契約社員」による発言。吉野家じゃなくて松屋だが、まさに中島みゆきの名曲「狼になりたい」そのものではないか! 沁みるねえ。 

「目次」を紹介しておこう。 

第1章 悟りを開け 
第2章 職場は敵ばかり! 
第3章 スクール・デイズ 
第4章 男はつらいよ 
第5章 リスク管理は肝要だ 
第6章 煩悩退散! 
第7章 慧眼のプレイボーイ 
第8章 あゝ無情 
第9章 放蕩三昧 

酔っ払い男性の一人語りの説教めいた聞き取りから、刺さるフレーズをひとつピックアップして、聞き手の取材者がその場の状況などをコメントするという見開き2ページで構成された内容だ。

読んでいると、思わず「そうだよな~」とうなずく話も多い。とはいえ、さすがに電車のなかで読むのは「ちょっと、どうかな~」という内容も(苦笑) 

「自分の過去の発言に縛られるのはムダ。「考えなんて変わるもんだ」でOK」とか、「運が良かっただけを口癖にすれば尊敬を集められる」「知識を身につけるのはしょうもないことで大げさに騒がないため」なんて、自己啓発の元祖エマソンそのものではないか! 

年齢層も職業もまちまちだが、失敗体験と豊富な観察から身染みでてくる知恵ある発言の数々は、なかなか含蓄深い人生訓というべきものもある(もちろん、そうでないものも当然ながらある)。

大衆酒場の酔っ払いは、みな酒場で呑んでいるときだけに発揮される賢人たちというべきか。 

そして、「自己啓発」のアンチテーゼは、じつは「自己啓発」そのものだという、パラドックスとしか言いようのない事実に読者が気づくことになる。


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2012年12月7日金曜日

書評『OUT OF AFRICA アフリカの奇跡 ー 世界に誇れる日本人ビジネスマンの物語』(佐藤芳之、朝日新聞出版社、2012)ー 規格「外」の日本人が淡々とつづるオリジナルなスゴイ物語


まさに日本人の枠にはまらない、規格「外」の日本人が淡々とつづるスゴイ物語が本書である。こういう生き方の日本人が「戦後」にもいたということを知ることは意味がある。元気がでる本だ。

著者は、日本の外に出たいという押さえがたい気持ちに促されアフリカに渡って50年。ケニアを拠点にケニア・ナッツ・カンパニーを設立し、マカダミアナッツの世界5大カンパニーの一つに育て上げた日本人経営者である。

「志は高く、目線は低く」を貫き、ポジティブ・パワフル・パッショネットのPPP精神で、ビジネスという手段で社会問題の解決を行ってきた人だ。いまでいうソーシャル・ビジネスを実践してきた人である。

利益がでても配当はせず、すべては再投資と従業員への還元に回すという経営を一貫して続けたという。

しかも著者は、日本人はしょせん現地人ではないという諦観のもと、現地人が自立するためには日本人は去るべきだと考えて、自ら創業して育て上げたケニア・ナッツ・カンパニーはただ同然でケニア人たちに譲渡して、またあらたなビジネスに挑戦を開始している。

引き際の美学といっていいのだろか。あまりにもカッコよすぎる。でも、こういう人になりたい、そんな気にさせられる。

「OUT OF AFRICA」 というのは、デンマークの作家カレン・ブリクセン原作の映画化作品のタイトルだ(日本公開版は『愛と哀しみの果て』)。ブリクセンは本書の著者と同じケニアでコーヒー農園を経営していたが、その時代のことを帰国後に小説にしたものだ。日本では『アフリカの日々』として訳されている。

著者は、このタイトルを借りてマカデミア・ナッツの商品化に際してネーミングしたという。商標権の問題はないということを確認したうえでのことである。本書のタイトルもそこから来ている。

アフリカの草原の風を感じる本である。すがすがしい内容の本だ。

だが、アフリカの現実は、なによりも生き抜くこと、食べることがなによりも最優先される「マズローの欲求段階説」でいえば最低限の「生理的欲求(physiological need):食欲・睡眠・性欲」を満たすことが最優先される世界である。

「コンフォート・ゾーン」(comfort zone)という、成熟し飽食状態にある日本とは真逆の世界がアフリカだ。そこでは人間はナマの本性をむき出しにしがちである。著者は、みずから体験した事件や見聞きしたアフリカの厳しい現実についても、さらりと言ってのける。

淡々と語られるのは、著者が「起こるべくして起こること」は、それはそれとして受け取るしかないという人生観からくるものであろう。それもまたアフリカで培われたものであるようだ。本書を読んでいれば、それは十分に納得される。

ほかではまったく読んだことのないようなオリジナルな話である。つまり二番煎じではない、この人だけの物語である。それこそが自分史というものでありライフ・ヒストリー(ストーリー)なのだ。

「志は高く、目線は低く」。この姿勢は、わたしも肝に銘じて生きていきたい。

人生の智恵に充ち満ちた本書は、ぜひ多くの人に一読をすすめたい。




目 次


はじめに 桁外れにスケールの大きな日本人(編集部)
序章 風の吹き始める場所
第1章 アフリカへ
第2章 ケニア・ナッツ・カンパニー
第3章 アフリカってところは!
第4章 失敗から学ぶ
第5章 アフリカが教えてくれたこと
第6章 さらに先へ
第7章 新たなるチャレンジ
終章 アフリカから日本を想う、日本を憂う
おわりに

著者プロフィール   

佐藤芳之(さとう・よしゆき)
1939年生まれ。宮城県志津川町(現・南三陸町)で幼少期を過ごす。1963年、東京外国語大学インド・パキスタン語学科卒業、同年ガーナ大学に留学。1966年から5年間、ケニアで日系繊維企業に勤務。1974年、「ケニア・ナッツ・カンパニー」を起業。2005年、ケニアでバクテリアを利用した公衆衛生事業会社「オーガニック・ソリューションズ・ケニア」を設立(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。


<関連サイト>

Out of Africa Trailer [HQ] (1985年日本公開時のタイトルは『愛と哀しみの果て』) ・・英語版トレーラー。主演は、メリルストリープとロバート・レッドフォード





<ブログ内関連記事>

書評 『ブルー・セーター-引き裂かれた世界をつなぐ起業家たちの物語-』(ジャクリーン・ノヴォグラッツ、北村陽子訳、英治出版、2010)

書評 『チェンジメーカー-社会起業家が世の中を変える-』(渡邊奈々、日本経済新聞社、2005)

書評 『国をつくるという仕事』(西水美恵子、英治出版、2009)

書評 『中古家電からニッポンが見える Vietnam…China…Afganistan…Nigeria…Bolivia…』(小林 茂、亜紀書房、2010)

おもしろ本の紹介 『アフリカにょろり旅』(青山 潤、講談社文庫、2009)

ゾマホンさん(="2代目そのまんま東")の語るアフリカの本当の姿 (情報)

映画 『シスタースマイル ドミニクの歌』 Soeur Sourire を見てきた
・・ベルギー領コンゴ(=ザイール)

コンラッド『闇の奥』(Heart of Darkness)より、「仕事」について・・・そして「地獄の黙示録」、旧「ベルギー領コンゴ」(ザイール)

書評 『南アフリカの衝撃(日経プレミアシリーズ)』(平野克己、日本経済新聞出版社、2009)-グロ-バリゼーションの光と影

かつてコートジボワールが 「象牙海岸」 とよばれていたことを知ってますか?-2014年FIFAワールドカップ一次リーグでの日本の対戦相手

Παθηματα, Μαθηματα (パテマータ・マテマータ)-人は手痛い失敗経験をつうじて初めて学ぶ

「マズローの法則」 (きょうのコトバ)

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