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2010年6月21日月曜日

「ハーバード白熱教室」(NHK ETV)・・・自分のアタマでものを考えさせるための授業とは


                 
 「ハーバード白熱教室」という番組が、NHK ETV(教育テレビ)で放送されていた。放送されていたと過去形いうのは、昨日(2010年6月20日)の第12回が最終回だったからだ。

 こんな中身の濃い授業があると知ったのは、実はつい最近のことだ。『これからの「正義」の話をしよう-いまを生き延びるための哲学-』(マイケル・サンデル、鬼澤忍訳、早川書房、2010)という本がベストセラーになっているらしいとネット書店で知ったからだ。この本は、内容紹介文によれば、「ハーバード白熱教室」の授業内容を書籍化したものを日本語訳したものらしい。

 だから、TVで授業内容を見たのは昨日が最初で最後、もっと早く知っておきたかったというのが本当の気持ちだ。ハーバード大学ではもっとも人気のある授業だという。

 NHK ETV で連続放送していた「ハーバード白熱教室」(Justice with Michael Sandel)であるが、第12回(最終回)のテーマは、「善き生を追求する: Lecture23 同性結婚を議論する、Lecture 24 正義へのアプローチ」の2コマ。かなり刺激的なテーマである。

 「正義」(justice)というと法哲学そのものずばりのテーマのようだが、そういった狭い捉え方をしてないのがこの授業の特徴だ。それは、扱ったテーマを一覧してみるとよくわかる。

第1回 「殺人に正義はあるか」
 Lecture 1 犠牲になる命を選べるか
 Lecture 2 サバイバルのための殺人
第2回 「命に値段をつけられるのか」
 Lecture 3 ある企業のあやまち
 Lecture 4 高級な「喜び」 低級な「喜び」
第3回 「「富」は誰のもの?」
 Lecture 5 課税に「正義」はあるか
 Lecture 6 「私」を所有しているのは誰?
第4回 「この土地は誰のもの?」
 Lecture 7 土地略奪に正義はあるか
 Lecture 8 社会に入る「同意」
第5回 「お金で買えるもの 買えないもの」
 Lecture 9 兵士は金で雇えるか
 Lecture 10 母性売り出し中
第6回 「動機と結果 どちらが大切?」
 Lecture 11 自分の動機に注意
 Lecture 12 道徳性の最高原理
第7回 「嘘をつかない練習」
 Lecture 13 「嘘」の教訓
 Lecture 14 契約は契約だ
第8回 「能力主義に正義はない?」
 Lecture 15 勝者に課せられるもの
 Lecture 16 私の報酬を決めるのは・・・
第9回 「入学資格を議論する」
 Lecture 17 私がなぜ不合格?
 Lecture 18 最高のフルートは誰の手に
第10回 「アリストテレスは死んでいない」
 Lecture 19 ゴルフの目的は歩くこと?
 Lecture 20 奴隷制に正義あり?
第11回 「愛国心と正義 どちらが大切?」
 Lecture 21 善と善が衝突する時
 Lecture 22 愛国心のジレンマ
第12回 「善き生を追求する」
 Lecture 23 同性結婚を議論する
 Lecture 24 正義へのアプローチ


 私が昨日みた最終回の放送では、受講する学生に発言させて、教授自身がうまくクラスでの討議を活発にさせるファシリテーター役を果たしながら、議論を収束させていく授業手法をとっており、お見事としかいいようがない。

 私も、米国でM.B.A.を取得した人間だが、M.B.A.の授業で多用されるケースメソッド(事例研究)も、基本的にはこれと同様の手法で行われる授業形態である。

 一方的なレクチャーではないのは、知識を伝授することが目的ではなく、学生に考えさせることが目的であるからだ。学生に自ら考えさせるためには、学生に問題を投げかけ、彼ら自身に発言させ、対論をださせ、活発な議論をさせる必要がある。

 もっとも重要なことは、議論の流れをうまく誘導しながら、何が論点なのか、どこに着目しなければならないかを整理しながら学生自身に納得させることだ。

 しかし、これがもっとも難しく、高度なテクニックと熟練を要するのである。

 
 「ハーバード白熱授業」の場合は、私がみた最終回だけについて話をするが、あらかじめ授業の前に議論の口火を切る役目を二人の学生にさせてから、その後は教授が質問を投げかけ、学生が発言して、さらに反論もさせ、問題点を整理しながら、最後はレクチャーで締めるという形であった。

 それにしても強く印象づけられるのは、現在の米国がいかに「多元的な価値観」のなかに生きている世界であることか、ということだ。

 学生たちも自分の意見を述べる際に、たとえばキリスト教徒でカトリックであるという立場を明言しているケースがあり、キリスト教徒であることは米国社会ではすでに自明の理ではない。こういう点は日本とは大きく異なる状況であろう。


 宗教、道徳、倫理が交差する地平に、さらに法律における判断(justice)が行われることになるのである。

 その意味では、日本語版タイトルが「正義」となっているものの、Justice というコトバの多義的な意味を考慮に入れると、ただ単に「正義」というだけでなく、正義、公正、公平、公明正大、正当、司法、裁判を含めたジャスティスとしたほうが良かったかもしれない。


 いずれにせよ、このような「自分のアタマでものを考えさせるための授業」を受講することのできるハーバード大学の学生は実に恵まれているし、こういう授業を若いうちに受けることができるのは、その後の人生において計り知れない大きな意味をもつはずである。



PS 読みやすくするために改行を増やした。内容には手は入れていない(2014年7月8日 記す)。


<関連サイト>

Harvard University's Justice with Michael Sandel (英語オリジナル版)
 http://www.justiceharvard.org/
・・無料で授業の動画すべてが公開されている!ただし当然のことながら英語(字幕なし)。

その他、「ハーバード白熱教室」で YouTube に動画が投稿されているので参照されたい。





PS サンデル教授の対話術について(2013年9月8日)

『サンデル教授の対話術』(マイケル・サンデル、小林正弥、NHK出版、2011)が、サンデル教授の思想であるコミュニタリアニズムと授業における「対話術」そのものについてのよい解説書となっている。

同書によれば原型は博士号を取得したオックスフォード大学におkえる少人数の対話型授業であるチュトリアルにあるようだ。これを1,000人近い大教室でリベラルアーツの授業として実施していることにサンデル教授の独自性がある。チュトリアルは日本の大学の少人数ゼミナールに近い。

サンデル教授の政治哲学はアリストテレス的でありながら、対話術がまさにソクラテス産婆術以来の哲学的スタイルであることが確認されている。

ぜひ一読することをすすめたい。






<ブログ内関連記事>

対話(=ダイアローグ)の本質

書評 『対話の哲学-ドイツ・ユダヤ思想の隠れた系譜-』(村岡晋一、講談社選書メチエ、2008)-生きることの意味を明らかにする、常識に基づく「対話の哲学」


「NHK白熱教室」関連(ハーバード大学とその他の名門大学)

「ハーバード白熱教室」(NHK ETV)・・・自分のアタマでものを考えさせるための授業とは

「ハーバード リーダーシップ白熱教室」 (NHK・Eテレ)でリーダーシップの真髄に開眼せよ!-ケネディースクール(行政大学院)のハイフェッツ教授の真剣授業

NHK・Eテレ 「スタンフォード白熱教室」(ティナ・シーリグ教授) 第8回放送(最終回)-最終課題のプレゼンテーションと全体のまとめ

コロンビア大学ビジネススクールの心理学者シーナ・アイエンガー教授の「白熱教室」(NHK・Eテレ)が始まりました

「バークレー白熱教室」が面白い!-UCバークレーの物理学者による高校生にもわかるリベラルアーツ教育としてのエネルギー問題入門

慶応大学ビジネススクール 高木晴夫教授の「白熱教室」(NHK・ETV)

ビジネスパーソンにもぜひ視聴することをすすめたい、国際基督教大学(ICU)毛利勝彦教授の「白熱教室JAPAN」(NHK・ETV)






ハーバード大学関連

ハーバード・ディヴィニティ・スクールって?-Ari L. Goldman, The Search for God at Harvard, Ballantine Books, 1992
・・「教師の役割は、ソクラテスの産婆術に擬して語られることも多く、ケースメソッドは別名 Socratic method ともいわる。 この教育メソッドのキモは、ビジネスでは唯一の解答というものはありえない、ということを学生に体得させることにある」 記事ではプロフェッショナルスクール(専門大学院)の一つである「神学大学院」について、ビジネススクールとの対比で書いている

書評 『ハーバードの「世界を動かす授業」-ビジネスエリートが学ぶグローバル経済の読み解き方-』(リチャード・ヴィートー / 仲條亮子=共著、 徳間書店、2010)
・・ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)における、国際ビジネスをめぐる政治経済についてのディスカッション用ケーススタディ

映画 『ソーシャル・ネットワーク』 を日本公開初日(2011年1月15日)の初回に見てきた
・・ハーバード大学の学部の寮生活から生まれたフェイスブック


英国のオックスブリッジ関連

「オックスフォード白熱教室」 (NHK・Eテレ)が面白い!-楽しみながら公開講座で数学を学んでみよう

日本語の本で知る英国の名門大学 "オックス・ブリッジ" (Ox-bridge)

書評 『イギリスの大学・ニッポンの大学-カレッジ、チュートリアル、エリート教育-(グローバル化時代の大学論 ②)』(苅谷剛彦、中公新書ラクレ、2012)-東大の "ベストティーチャー" がオックスフォード大学で体験し、思考した大学改革のゆくえ

(2013年9月8日、2014年7月8日 情報追加)





(2012年7月3日発売の拙著です)








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