2011年3月18日金曜日
「非常時」には「現場」に権限委譲を!-「日本復興」のカギは「現場」にある
今回の「巨大災害」について思うのは、日本というこの国では、現場ではリーダーシップが発揮されて、みな献身的に働いているのに、なぜ官僚組織(・・大企業含む)トップのレベルが低いのか? ということに尽きるといっても言い過ぎではないでしょう。
政府しかり、東京電力しかり、そしてこの「非常時」にさらに輪をかけるように発生した、みずほ銀行の ATM の全面停止・・・。
ひさびさに日本が全面的に取り上げられている海外からの日本報道は、地震と津波被害に対する日本の国民性を賞賛するものと、原発事故の対応のまずさを批判するものの二つに分かれています。
今週月曜日の株価の急落は、投機筋による仕掛けられた「日本売り」と、パニック状態の投資家たちによ「狼狽売り」が相まった、負の相乗効果が働いたものだと思われますが、原発関連株が軒並み下落したのも当然といえば当然でしょう。日本人の目から見ても、原発に対する信頼感はほぼゼロになったといってもいい状況だからです。
「現場」で「最悪の事態」を阻止すべく戦っている東電社員と関連会社や、協力会社の皆さん、自衛隊や警察の皆様には、ほんとうに頭が下がります。
それに比べて、初動時点における政府の判断ミス、東電の幹部たちの逃げの姿勢とていたらく・・・。テレビの中継で彼らの姿を見た人は、多くがそう思うことでしょう。賞賛すべき一部の例外的人物も存在しないわけではありませんが。
もちろん、いまこの段階で批判するのは時期尚早かもしれません。しかし、事態が収拾できた暁には、当然のことながら、ケジメとして相応の責任をとっていただかなくてはなりません。
自然災害ではありますが、人災の要素がきわめて大きい。大地震発生から一週間たったいま、つよくそう思うようになってきました。
■「日本復興」のカギは「現場」にある。「現場」に権限委譲を!
話題をポジティブなものに変えましょう。
先の海外報道に見られる一般人としての日本人は、忍耐・克己心・秩序だった行動、冷静さや助け合い精神、そして我慢や協調といった心持ちが、近隣諸国を含めた海外から高く評価されています。
あまりにも当たり前のことなので、日本の内側にいる私たちにはよくわかりませんが、外側からみるときっとそう映るのでしょう。
これはいいかえると、一般の日本人は、自律的な、自発的な行動が、個人レベルでも集団レベルでもできるということになるでしょう。
この「非常時」にこそ思うのは、もっと現場に「権限委譲」したほうがいいのでは?! ということです。とくに地震や津波の被災地での復興支援にたずさわる方々のことを、さまざまな報道で知ると強くそう思います。
現場には、その場所に身を置いていなければわからないことが実に多い。しかも迅速に「判断」を行い、即座に「意志決定」を行う必要がある。いちいち本部に判断をあおいでいたのでは迅速なアクションがとれない。
そもそも、「非常時」には、簡単に連絡がつかないことも多いのです。
平時には有効な「ホウレンソウ」(報告・連絡・相談)が非常時にはうまく機能しないことも多いだけでなく、迅速な判断とアクションを妨げることもなくはないのです。非常時には、指示待ち社員ほど役に立たないものはありません。
基本方針さえ決めておけば、現場に権限委譲して、判断と意志決定とアクションを任せてしまうべきでしょう。
このときにモノをいうのが、とくにその組織のミッション(使命)とバリュー(価値観)です。ミッションや、とくに行動指針の元になるバリューが、アタマだけではなく、ココロのレベルで共感され、しっかりと身体レベルまで浸透していれば、上からの指示がなくても自然とカラダが動くというものです。
いまいちど、現場への権限委譲と、現場でのリーダーシップの意味について考えてみたいものです。
日本と日本人の強みは「現場」にあることは間違いありません。「日本復興」のカギもそこにあるのです。
「現場」のモラール(志気)を高めること、これはトップだけでなく、現場でリーダーシップを自主的、自律的に発揮するリーダーたちの任務でもあるのです。
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・・問題は「現場」にころがっている
(2012年7月3日発売の拙著です)
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