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2011年4月7日木曜日

「想定外」などクチにするな!-こういうときだからこそ、通常より長いスパンでものを考えることが重要だ

      
 こういうときだからこそ、通常より長いスパンでものを考えることが重要だ。いまこそ、日々の日常生活の回復だけでなく、中長期の構想をたてるための歴史観が必要なのだ。強くそう思う。

 「想定外」というのは、結局のところ、スパン(時間単位)を短くとっているから、参考になる過去事例がなかっただけの話なのだ。

 「10年単位」、「100年単位」、「1,000年単位」で考えてみよう。過去事例は絶対にでてくるから、けっして「想定外」などとは言えなくなる。

 今回の「大震災」と「大津波」にかんしてみてみよう。データは wikipedia の「三陸沖地震」記載のものによる。

 「100年単位」1896年(明治29年)、いまから115年前の「明治三陸沖地震」では、津波の高さは、なんと 38.2m! 地震の規模は M8.2~M8.5 で、大津波による死者・行方不明者が2万人を越えており、今回の「東北太平洋沖地震」による「大津波」に匹敵する規模と犠牲者を出している。

 「1,000年単位」:869年の「貞観地震」では、津波の高さはわからないが、 地震の規模は M8.3~M8.6 と推定されている。大津波による死者が約1,000人というのは、当時の人口が少なかったためであろう。

 歴史は同じまま繰り返すことはないが、自然災害である地震と津波にかんしては、過去の同様の規模のものが発生していることは、「明治三陸沖地震」は 115年前のものだが、「100年単位」でみれば容易に知ることができるものである。

 つまり、未来予測のタネは、現在をみていたのではダメで、過去に遡らなければならないということだ。

 自分が体験した範囲の近過去については知っているし、教訓も引き出せなくはないが、自分以前のことについての記録を顧みない傾向がある。

 これは日本人に限った話ではないが、日本人は「歴史好き」といわれる割に「歴史観がない」といわれるのは、とくにヨーロッパ人に比べて、歴史的思考方法が身についていないからである。


近過去の歴史は生存者にちょくせつ聞き取りをしてみよう

 もちろん家族によっては、過去の話が教訓として語り伝えられ、伝承されているケースもあるだろう。

 だが、一世代が30年とすれば、せいぜいのところ、二世代60年分の経験しか参照されることはないのではないか?

 もし機会があれば、大東亜戦争(・・私は理由があって太平洋戦争という用語は使用しない)に突入した、1941年(昭和16年)12月8日から、1945年(昭和20年)の「敗戦」と敗戦後の混乱を経て高度成長に至るまでの歴史を、この時代を生きた人に直接聞いてみるとよい。

 現在の「非常時」にどう対処して生きていくか、そのヒントが間違いなく得られるはずだ。たとえば、天皇陛下も戦時下はたいへんご苦労されているが、「節電」も率先垂範して実行しておられる。戦時中の灯火管制にくらべたらなんでもない、とおっしゃっておられるそうだ。

 特定の史観に汚染された歴史ではなく、それぞれの「自分」というフィルターをつうじた、「ヒストリー」になる以前の「ストーリー」を聞くことができるだろう。これもまた、イマジネーションを鍛えるためには必要なことである。

 そしてそのなかから、自分なりに教訓と指針を見つけ出すべきなのだ。


この国に行き続けてゆく人間として、「100年スパン」、「500年スパン」の歴史で考えることが必要だ

 少なくとも、100年、できれば300年、もっというと500年単位でものをみなければならないと私は考えている。このブログにも何度も同じ趣旨で書いてきた。
 
 しかも点と線というスポットではなく、歴史という連続した流れ(フロー)のなかで、年表もさることながら、構造的な動きについて目をこらしてみることが重要だ。

 「100年単位」の日本近現代史については、石川啄木 『時代閉塞の現状』(1910)から100年たったいま、再び「閉塞状況」に陥ったままの日本に生きることとは・・・ で、1910年から100年間の歴史をざっと概観してみているので、参考にしていただけると幸いである。

 「500年単位」の歴史で考えることについては「500年単位」で歴史を考える-『クアトロ・ラガッツィ』(若桑みどり)を読む を参照していただきたい。

 日本でも「高度成長」の時期、1960年代から次の500年に入ったと考えるべきだと私は考えている。すでに最初の50年は終わったわけだ。まだ安定期には入っていない。むしろ、日本は地震の活動期に入っているので、まだまだ混乱が続くだろう。

 とはいえ、有史以来、日本列島には人間が生き続けてきた。われわれの先祖たちである。大陸とつながっていた頃は陸づたいに、孤島となってからは海づたいに、この火山列島に縁あって集まってきた人たちの末裔。

 もちろん、この「日本列島への流入」の動きはまだまだ続いている。一方では、恐怖にかられてパニックに陥った末に、逃げるようにこの国を脱出していった外国人や日本人もいる。ただし、後者の外国人や日本人は、全体からいえばきわめて少数に過ぎない。そして、彼らを責めるつもりも私にはまったくない。

 99.9%の日本人は、この国に住み続けることを望んでいる。この国が祖国だからだ。これが健全なナショナリズム(nationalism)というものだ。近代になってはじめて発生してきた、フランス革命以降の「国民国家」における愛国心である。

 大津波の被災地でも、多くの人たちがまた同じ土地に住み続けるといっている。その場所が故郷だからだ。これはパトリオティズム(patriotism)というものだ。近代以前から存在する、生まれ育った郷土(patria)への素朴な、しかも強固な愛である。

 郷土の復興が、国の復興につながっていくのである。しかしながら、「原発事故」のよる放射能漏れで、もしかするとほぼ半永久的に郷土を去らなくてはならない方々の悔しさとつらさを考えると、ほんとうに心が痛む。

 だからこそ、生き残ったわれわれは、被災者たちのコトバをしっかりと胸にしまっておかねばならにのだ。と同時に、歴史書に記載されたことはアタマのなかに、自分の親たちや土地の古老の話は記憶のなかにとどめておきたい。

 そのためには、「100年単位」や「1,000年単位」で、歴史を考えることが、きわめて重要なのである。歴史は繰り返さないが、同様のパターンは繰り返しているからだ。

 「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」。


<関連サイト>

鳴らされていた警鐘(日経サイエンス 2011年7月号)
・・追加(2011年5月18日)



<ブログ内関連記事>

石川啄木 『時代閉塞の現状』(1910)から100年たったいま、再び「閉塞状況」に陥ったままの日本に生きることとは・・・ 
・・直近の100年について、簡単に振り返ってみたものです

「500年単位」で歴史を考える-『クアトロ・ラガッツィ』(若桑みどり)を読む 
・・第一次グローバル化の最初の500年。ソ連崩壊の前後に「最初の500年」は終わったと考えると理解しやすい

書評 『折口信夫 独身漂流』(持田叙子、人文書院、1999)
・・古代日本人が、海の彼方から漂う舟でやってきたという事実にまつわる集団記憶。著者の表現を借りれば、「波に揺られ、行方もさだまらない長い航海の旅の間に培われたであろう、日本人の不安のよるべない存在感覚」(P.212)。歴史以前の集団的無意識の領域にまつわるものであるといってよい。板戸一枚下は地獄、という存在不安。・・地震も津波も台風もまた。

書評 『1492 西欧文明の世界支配 』(ジャック・アタリ、斎藤広信訳、ちくま学芸文庫、2009 原著1991)

書評 『100年予測-世界最強のインテリジェンス企業が示す未来覇権地図-』(ジョージ・フリードマン、櫻井祐子訳、早川書房、2009)   





(2012年7月3日発売の拙著です)









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