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2011年12月15日木曜日

書評 『まっくらな中での対話』(茂木健一郎 with ダイアログ・イン・ザ・ダーク、講談社文庫、2011)-視覚にたよらずに聴覚や触覚などの五感による体験。まずは活字で疑似体験してみよう


視覚にたよらずに聴覚や触覚などの五感による体験。まずは活字で疑似体験してみよう

東京の渋谷・神宮前に常設になった施設 「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」、一度はいってみたいと思いながらもまだ実現できていませんが、幸か不幸か「3-11」後に起こった「原発事故」という人災による「計画停電」(=輪番停電)のおかげで(?)、夜の時間帯に「真っ暗闇」を体験することになりました。

夜中に「計画停電」にあたると、室内だけでなく、外もすべて明かりが消えてしまいます。懐中電灯や予備の電源を使わない限り、まったくの暗闇になってしまう。こんなに真っ暗な夜を過ごすのは久々です。あらためて電気のありがたさを感じるとともに、同時に明るすぎる現代の生活に疑問を感じたりもします。

茂木健一郎も本書のなかでふれている、善光寺の「お戒壇巡り」は私も体験したことはありますが、「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」はまだ体験していません。「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」は、体験していない人も体験した人も、体験の意味を考えるために、ぜひこの一冊を薦めたいと思います。

視覚にたよらずに、聴覚や触覚などの知覚器官をフルに活性化してみるという体験。こういう体験は、あくまでも体験するものであって、本や活字で二次体験すべきものではないのだとしても。

本書を読んで、ぜひ一度、「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」体験したいと強く思いました。


<初出情報>

■bk1書評「視覚にたよらずに聴覚や触覚などの五感による体験。まずは活字で疑似体験してみよう」投稿掲載(2011年5月1日)
■amazon書評「視覚にたよらずに聴覚や触覚などの五感による体験。まずは活字で疑似体験してみよう」投稿掲載(2011年5月1日)







<書評への付記>

「東北関東大震災」後に発生した「原発事故」によって、東京電力管内では「計画停電」(=輪番停電)が実施されました。

実際に体験された方は記憶につよく刻み込まれていると思いますが、停電が晴れた日の昼間の時間帯であれば、日常生活には多少の不便もあるものの大きく困ることはありません。

もちろんビジネスマンとしては、「計画停電」にはいろいろ言いたいことも多いのですが、なかなかできない希有な体験として捉えることも、人生とうまくつき合うためには必要な心得かもしれないと思って見たりもします。

時間帯が夜の時間にかかっていると、ほんとうに真っ暗になってしまうのですね。こんな暗闇は近郊とはいえ都市に住んでいるのが大半のいまの日本人には遠い存在になっていたかもしれません。

わたし子どもの頃は、大きな落雷のあるたびに停電したものでした。だが最近では電力供給が安定しているので停電はほとんど経験することがなくなっていました。

かつては、どんな家庭でもかならずロウソクとマッチが用意されていたものでしたね。最近はスイッチひねればガスがつくし、オール電化の家庭ではガスすら使う事もない状況となっていた。安心の結果の慢心でしょうか。

「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」、ぜひ一度いってみたいと思いながらもまだ実現していません。関東の「計画停電」該当地域に居住している人は、「計画停電」のときを思い出しながら、「まっくらななかでの対話」をそれぞれの家庭やその他の集まりで意図的に体験してみるのもいいかもしれません。



<関連サイト>

「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」公式サイト

目に見えない壁を取り除く「暗やみの中の対話」  A・ハイネッケ氏(ダイアログ・イン・ザ・ダーク創設者)の半生(上) 渡邉奈々) (日経ビジネスオンライン、2014年6月16日)
・・「僕が伝えたいことは、僕たちが『障害』と呼んでいるある特定の能力の欠如の定義は、『コンテクスト(文脈)』によって変わるということなんだ。 それが、この取り組みを通して最も伝えたいことのひとつなんだよね」とハイネッケは続ける・・(中略)・・「僕は、他人ではなく自分の幸福感を追求する利己的な利他主義者なんだ。周りの人たちを愛し、幸せにすることによって初めて幸福感を得るし、達成感も得られる。これまで25年間やってきた仕事は、すべて自分を幸せにするためにやってきたんだ。誰かのためにとか、いたずらな自己犠牲なんて僕は信じない」

社会起業を、規模拡大するうえで一番大事なこと  A・ハイネッケ(ダイアログ・イン・ザ・ダーク創設者)の半生(下) 渡邉 奈々) (日経ビジネスオンライン、2014年6月24日)

(2014年6月16日、24日 情報追加)


<ブログ内関連記事>

書評 『チェンジメーカー-社会起業家が世の中を変える-』(渡邊奈々、日本経済新聞社、2005)-「社会起業家」というコトバを日本に紹介した原典となる本

書評 『脳と日本人』(茂木健一郎/ 松岡正剛、文春文庫、2010 単行本初版 2007)・・聴覚を含めた五感の重要性

日本版「ダイアローグ・イン・ザ・ダーク」

善光寺御開帳 2009 体験記・・「お戒壇巡り」について書いている。御本尊の真下の真っ暗な回廊をめぐるのだが、この回廊は全長45メートルもあるという


全盲の人の人生に学ぶ

書評 『まだ夜は明けぬか』(梅棹忠夫、講談社文庫、1994)-「困難は克服するためにある」と説いた科学者の体験と観察の記録
・・これから業績をまとめに入るというときに視力を失った学者の、後半生の生き様

コロンビア大学ビジネススクールの心理学者シーナ・アイエンガー教授の「白熱教室」(NHK・Eテレ)が始まりました
・・高校時代に病気によって視力を失った心理学者による授業。この授業を TV で見る限り、授業内容がこまかい事実や数字まで含めてすべて教授のアタマのなかに入っており驚かされる

書評 『山本覚馬伝』(青山霞村、住谷悦治=校閲、田村敬男=編集、宮帯出版社、2013)-この人がいなければ維新後の「京都復興」はなかったであろう
・・成人になってから全盲になったものの多大な功績を残した山本覚馬

自分のアタマで考え抜いて、自分のコトバで語るということ-『エリック・ホッファー自伝-構想された真実-』(中本義彦訳、作品社、2002)
・・「7歳で完全失明、15歳で突然視力を回復、自殺未遂、人生40年と見定めての10年間の放浪生活と思索の日々」を送った "沖仲仕の哲学者" ホッファー

書評 『言葉にして伝える技術-ソムリエの表現力-』(田崎真也、祥伝社新書、2010)
・・文盲の大学者・塙保己一(はなわ・ほきいち)の記憶力について触れておいた

視聴覚障害と闘う人生

映画 『英国王のスピーチ』(The King's Speech) を見て思う、人の上に立つ人の責任と重圧、そしてありのままの現実を受け入れる勇気
・・聴覚療法士との対話

(2014年6月16日、24日 情報追加)





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