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2012年9月9日日曜日

書評 『チャイナ・ジャッジ-毛沢東になれなかった男-』(遠藤 誉、朝日新聞出版社、2012)-集団指導体制の中国共産党指導部の判断基準は何であるか?



まもなく胡錦濤(こ・きんとう)から習近平(しゅう・きんぺい)に権力委譲が行われる中国共産党。

中国共産党の最高意志決定機関は、「チャイナ・ナイン」と呼ばれる「中国共産党中央委員会」の9人のメンバーであり、「集団指導体制」がその本質である。「チャイナ・ナイン」とは、本書の著者である遠藤誉(えんどう・ほまれ)氏の命名だ。中国共産党はけっして独裁ではない。

その「チャイナ・ナイン」が、今年の3月に全員一致で解任を決定したのが、重慶市長書記であった薄煕来(はく・きらい)。

野心満々の「毛沢東になろうとした男」であったが、その野望は最終的に断念させられた。その妻で、やり手の弁護士であった谷開来(こく・かいらい)は、英国人ビジネスマン殺害容疑で逮捕され、国際問題に発展した。

昨年秋に発覚したこの「不可解な事件」は、さまざまな情報が入り乱れて事件の本質がつかみにくかったが、『チャイナ・ジャッジ-毛沢東になれなかった男-』(遠藤 誉、朝日新聞出版社、2012)を読んで、ようやくアタマの整理がついてきた。

中国共産党内部の激烈な権力闘争。盗聴によるスパイ(間諜)が当たり前の世界。子弟を米英に留学させる背景にある「欧米崇拝アジア蔑視」マネーロンダリング(=洗銭)という目的。アメリカのCIAや英国のMI5やMI6もからんだ中国をめぐる諜報戦。権力を利用して蓄財したカネをマネーロンダリングしたチャイナマネーが、アングロサクソン諸国をうるおしているという実態。そしてそのカネは日本企業や日本の水源を買収する原資にもなっている。

これが、隣の大国を中心に起こっていることの真相なのである。中国共産党による現体制がつづく限り、この構造が簡単に崩れることはなさそうだ。だが、それは中国の一般人民の犠牲のうえに成り立ったものであることは否定できない。

著者は、中国生まれ中国育ち。子ども時代を日本に敗戦による大混乱と飢餓状況を生き抜き、毛沢東の「新中国建設時代」を現地で体験した人だ。

その体験は、『卡子(チャーズ)-中国革命戦をくぐり抜けた日本人少女-』という衝撃的な本にまとめられている著者によれば、『チャーズ』は中国語版は用意したが、中国では出版を許可されていないという。出版言論の自由が保障されない限り、「中国革命」は未完のままなのである、と。

情報の制約から、推論と仮説による部分もあるが、もともと物理学専攻の研究者だっただけに、きわめてロジカルで読みやすい。限りなく中国共産党のインサイダーに近い情報源をもち、中国で幼少期を過ごした著者は、いわば中国を内在的に観る視点をもっている。だから、説得力がある。

隣の大国で何が進行しているのかを知るためには、読んで損のない一冊である。ぜひ読んでいただきたい。








目 次

序章 チャイナ・ジャッジ、中国の審判
第一章 生い立ちと不倫婚
一、文化大革命で暴れまわった薄熙来-父親の肋骨をへし折る
二、父親の不倫婚から生まれた薄熙来
三、恩義を仇で返した薄熙来の父、薄一波-天安門事件の遠因
四、軍人の子として育った谷開来
五、薄熙来・谷開来の不倫と略奪婚
第二章 大連時代
一、大連市管轄下の金県に避難
二、天安門事件-薄一波と習近平の父親・習仲勛
三、「南巡講話」に乗じた薄熙来
第三章 1999年
一、天安門前よりも高い大連の飾り柱「華表」
二、国有企業改革とWTO加盟
三、国有企業改革と発展に関する座談会
四、江沢民、大連視察
第四章 遼寧省時代
一、「遼寧閥」を倒せ!
二、谷開来とニール・ヘイウッドのイギリス生活
三、王立軍との出会い
第五章 商務部時代-運命の分岐点
一、商務部長になる前後の中国事情
二、ついに商務部長に
三、李克強が党委書記として遼寧省に
四、「鉄の女」呉儀の「裸退」
第六章 重慶時代
一、唱紅運動-革命歌で勝負だ!
二、形成されていた包囲網-スパイを探れ!
三、打黒運動-政敵を殺してしまえ!
四、軍を買収して中央を威嚇
第七章 スパイ舞う中で散る
一、王立軍、成都アメリカ領事館へ
二、毛沢東になれなかった薄熙来
三、スパイ舞う中に散る
終章 世界を覆うチャイナ・マネー -裸官と投資移民


著者プロフィール

遠藤 誉(えんどう・ほまれ)
1941年中国長春市生まれ。1953年日本帰国。筑波大学名誉教授。東京福祉大学国際交流センター長。理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授、国際院西部開発弁公室人材開発法規組人材開発顧問などを歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。


<関連サイト>

中国問題研究家 遠藤誉が斬る (連載 2013年10月2日から現在) 



<ブログ内関連記事>

書評 『中国動漫新人類-日本のアニメと漫画が中国を動かす-』(遠藤 誉、日経BP社、2008)

書評 『拝金社会主義中国』(遠藤 誉、ちくま新書、2010)

書評 『ネット大国 中国-言論をめぐる攻防-』(遠藤 誉、岩波新書、2011)-「網民」の大半を占める80后、90后が変える中国

書評 『チャイナ・ギャップ-噛み合わない日中の歯車-』(遠藤誉、朝日新聞社出版、2013)-中国近現代史のなかに日中関係、米中関係を位置づけると見えてくるものとは?

書評 『チャイナ・セブン-<紅い皇帝>習近平-』(遠藤誉、朝日新聞出版社、2014)-"第2の毛沢東" 習近平の「最後の戦い」を内在的に理解する

書評 『香港バリケード-若者はなぜ立ち上がったのか-』(遠藤誉、深尾葉子・安冨歩、明石書房、2015)-79日間の「雨傘革命」は東アジア情勢に決定的な影響を及ぼしつづける

(2014年3月20日、2015年10月25日 情報追加)



(2012年7月3日発売の拙著です)





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