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2012年9月24日月曜日

書評 『習近平-共産中国最弱の帝王-』(矢板明夫、文藝春秋社、2012)-「共産中国最弱の帝王」とは何を意味しているのか?




中国はまもなくあたらしい指導体制となるわけですが、胡錦濤(こ・きんとう)氏の後継者に事実上確定している人物が習近平(しゅう・きんぺい)氏。しかし、彼がいったいどういう人となりであるのかは、依然として謎に包まれてます。

習近平というと、天皇陛下への謁見をごり押しで実現させた男という印象がひじょうにつよく、なんだか「無礼者」ではないかというイメージをもっているのは、わたしだけではないと思います。

そろそろ習近平とはどんな人であるかアタマのなかにいれておかないと、というわけで読んでみたのが、今年の3月に出版された 『習近平-共産中国最弱の帝王-』(矢板明夫、文藝春秋社、2012)という本です。

副題にある「共産中国最弱の帝王」とはいったい何を意味しているのか? 習近平は、どうも日本人がばくぜんと思っているイメージとは違う存在のようですね。

カリスマ的指導者として中華人民共和国建国の父でありながら、文化大革命で中国を大混乱に陥らせた毛沢東が「共産中国最強の帝王」であったとすれば、集団指導体制のもので、妥協の結果として次期最高指導者に選ばれることになる習近平は「最弱」となる、そう理解しなくてはならないのでしょう。

著者は産経新聞の北京特派員で、出版社が文藝春秋。これだけの情報で本の内容がだいたい想像できるでしょうが、特筆すべきは著者の矢板氏の経歴です。

1972年に天津生まれで15歳のときに日本に引き揚げてきたという残留孤児二世という経歴の持ち主であること。その後の中国留学や特派員としての取材経験が、ある意味では、中国を内側から理解することができる人にしているのでしょう。

2012年3月の出版ですので、その後に明らかになったライバルの薄熙来 (はく・きらい)失脚事件を踏まえたものではありませんが、習近平についての人物像を描こうとする試みはある意味では成功しているといっっていいのではないかと思います。

「共産中国最"弱"の帝王」の意味をよく理解することが、今後10年間の日中関係を考えるための前提となるのです。

日中関係は対立と友好の愛憎半ばする関係でありますし、大陸の大国の影響力がますます増大していることを踏まえれば、中国の政治状況についての知識も「アタマの引き出し」として、備えておくことが不可欠なのです。

中国が好きであるかキライであるかにかかわらず。






目 次

まえがき

第1部 習近平はなぜ選ばれたのか

第1章 習近平はどんな人物なのか
第2章 指導者はどのように選ばれるか
第3章 太子党とはなにか
第4章 長老政治が復活するのか
第5章 権力闘争激化で不安定な時代へ
第6章 派閥対抗はどう変遷するのか

第2部 謎に満ちた習近平の人間像

第7章 波瀾万丈の家族史
第8章 青春期の原点を訪ねて
第9章 浮上する学歴詐称疑惑
第10章 性格のわかるエピソード
第11章 政治人生を支えた家族
第12章 趣味と仲間たち

第3部 習近平時代の中国はどうなるのか

第13章 習近平は軍を掌握できるのか
第14章 中国の外交は強硬路線に転じるのか
第15章 少数民族問題は命取りになるのか
第16章 言論統制はいつまでできるのか
第17章 習近平時代の中国は崩壊するのか
あとがき


著者プロフィール

矢板明夫(やいた・あきお)  
産経新聞中国総局(北京)特派員。1972年中国天津市生まれ。15歳の時に残留孤児2世として日本に引き揚げ。千葉県出身。1997年慶応義塾大学文学部卒業。同年、松下政経塾に入塾(第18期)、アジア外交が研究テーマ。その後、中国社会科学院日本研究所特別研究員、南開大学非常勤講師も経験。2002年中国社会科学院大学院博士課程修了後、産経新聞社に入社。さいたま総局記者などを経て2007年から現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。


PS 2014年9月に副題を「なぜ暴走するか」に改めて、文春文庫から文庫化された。(2014年9月2日 記す)。






<ブログ内関連記事>

書評 『チャイナ・ジャッジ-毛沢東になれなかった男-』(遠藤 誉、朝日新聞出版社、2012)-集団指導体制の中国共産党指導部の判断基準は何であるか?・・習近平の最大のライバルであった薄熙来 (はく・きらい)の失脚事件の全貌を推論も踏まえて描いた力作

書評 『拝金社会主義中国』(遠藤 誉、ちくま新書、2010)

書評 『中国動漫新人類-日本のアニメと漫画が中国を動かす-』(遠藤 誉、日経BP社、2008)

書評 『語られざる中国の結末』(宮家邦彦、PHP新書、2013)-実務家出身の論客が考え抜いた悲観論でも希望的観測でもない複眼的な「ものの見方」

評 『中国台頭の終焉』(津上俊哉、日経プレミアムシリーズ、2013)-中国における企業経営のリアリティを熟知しているエコノミストによるきわめてまっとうな論

(2014年9月2日 情報追加)



(2012年7月3日発売の拙著です)





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