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2012年10月7日日曜日

イラン系日本人ダルビッシュがベースボールをつうじてアメリカとイランの関係改善に一役買う可能性がある


10月6日、メジャーリーグでの2012年シーズンの活動が終了したダルビッシュ。所属するテキサス・レンジャーズがオリオールズに 1−5で敗れ、地区シリーズ進出を逃した。

「先発したダルビッシュは1−1の同点で迎えた六回に犠飛で相手にリードを許し、七回2死まで投げて被安打5、3失点(自責点2)で敗戦投手となった」(新聞報道から)。

あっけない終わり方をした今シーズンではあるが、そうはいっても初年度に16勝といいう結果をだしたことは確かだ。たいした怪物である。

今回は、ちょっと違う視点からダルビッシュについてみておこう。

ダルビッシュ有(1986年生まれ)は、みなさんご存じのとおりイラン系日本人である。父親がイラン人で母親が日本人。フルネームは、ダルビッシュ・セファット・ファリード・有というそうだ。英語表記
では、Sefat Farid Yu Darvish となる(wikipediaの情報による)。

かつて読売巨人軍にはスタルヒンという、ロシア生まれの「白系ロシア人」(・・白系とは赤系の反対で共産主義者ではないという意味)亡命者のプロ野球投手がいたが、かれは生涯が無国籍のままだった。

ダルビッシュの場合は、大阪出身の日本生まれで日本国籍をもつ日本人である。本人も日本語がもっとも達者なようだ。

ところで、こういう記事がアメリカの新聞にでていることを知った。

Iranian-Americans embracing new Texas Rangers pitcher Yu Darvish
http://www.dallasnews.com/news/local-news/20120408-iranian-americans-embracing-new-texas-rangers-pitcher-yu-darvish.ece
Iranian-Americans say they're embracing the fervor over Texas Rangers pitcher Yu Darvish, whose father is Iranian. (By JEFF MOSIER Staff Writer jmosier@dallasnews.comPublished: 08 April 2012 10:42 PM)

日本語に訳しておけば、「イラン系アメリカ人はテキサス・レンジャーのあたらしい投手ダルビッシュ有を抱きしめる」となろうか。

内容については直接みていただきたいが、イラン系日本人のダルビッシュが、ベースボールをつうじてアメリカとイランの関係改善に一役買う可能性があるということについて書かれた内容の記事だ。こういう視点についても知っておくといい。

この記事にもあるように、アメリカには、イラン系の居住者がかなり多い1979年のイラン革命を機会に出国した人も多く、シリコンバレーなどでも活躍している人も少なくないようだ。

わたしも、1990年にはじめて渡米し、カリフォルニア大学バークレー校のサマーエクステンションで英語研修に参加していたのだが、学校主催のエクスカーションでレッドウッド国立公園にいった際、ダンスのワークショップの講師をつとめていたイラン人女性があまりにも美しかったのが記憶につよく残っている。

イラン人が活躍しているのはアメリカだけではない。この日本でも有名人だけでも数人あげることができる。

現在活躍中の女性タレントのサヘル・ローズ(女性)のほか、かつては、「一本いっとくぅ~」というセリフでのスタミナドリンクのCMで有名になったマッスルなどがいたことも思い出す。

吉本の芸人のエマミ・シュン・サラミが日本語で書いた 『イラン人は面白すぎる』(光文社新書、2012)という本が面白い。

イラン人というと、イスラーム聖職者が支配するシーア派のイスラームの国で、核開発でアメリカやイスラエルと対立関係にあるという連想がでてくるが、じっさいにイランで生きているイラン人を等身大に描いたこの本を読む、人間は国や民族が異なっても、あまり変わりないのだなという気もしてくる。

また、イランとアラブはイスラームという共通性がありながらも、異なる民族であることは、あらためて知っておくことが必要だろう。

もちろん、日本人とイラン人は共通している点だけでなく、違いも大きい。

そんなイラン人が生き抜いている姿を知るために『イラン人は面白すぎる』(光文社新書、2012)を読むことをぜひすすめたいと思う。






目 次
前説(はじめに)
第1章 陽気なイスラム教
第2章 豚肉とラマダン
第3章 すべてはバザールと食卓にある
第4章 中東の恋愛不毛地帯
第5章 イランの罪と罰
第6章 学校という名の階層社会
第7章 アラブの中のイラン
エンディングノート(おわりに)
参考文献

著者プロフィール

エマミ・シュン・サラミ(Emami Shun Sarami)

1980年イラン生まれ。東海大学中退。首都テヘランで幼少期を過ごした後、父親の都合により10歳で来日。北海道帯広市で日本での生活をスタートさせる。吉本興業のタレント養成所・NSC東京校第8期生。2004年「デスペラード」を結成。漫才コンビとしてライブやテレビなどで活動の場を広げている。現在、TBSラジオ「荒川強啓デイ・キャッチ!」内「メキキの聞き耳」コーナーにレギュラー出演中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。


<関連サイト>

イラン人は面白すぎる!【super wakuwaku live talk】(YouTube)
・・著者エマミ・シュン・サラミと担当編集者によるトークショー

今の在日イラン人と90年代のイラン人は別! 犯罪に手を染めたのは昔の話 (エッテハディー・サイードレザ、日経ビジネスオンライン、2014年4月10日)


<ブログ内関連記事>

映画 『ペルシャ猫を誰も知らない』(イラン、2009)をみてきた

書評 『中東新秩序の形成-「アラブの春」を超えて-』(山内昌之、NHKブックス、2012)-チュニジアにはじまった「革命」の意味を中東世界のなかに位置づける

書評 『日本のムスリム社会』(桜井啓子、ちくま新書、2003)

書評 『超・格差社会アメリカの真実』(小林由美、文春文庫、2009)

エスニシティからアメリカ社会を読み解く-フェイスブック創業者ザッカーバーグというユダヤ系米国人と中国系米国人のカップルが写った一枚の結婚写真から

書評 『人種とスポーツ-黒人は本当に「速く」「強い」のか-』(川島浩平、中公新書、2012)-近代スポーツが誕生以来たどってきた歴史的・文化的なコンテクストを知ることの重要性
・・エスニシティの観点から

(2014年8月22日 情報追加)




(2012年7月3日発売の拙著です)





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