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2013年1月15日火曜日

書評 『プリーモ・レーヴィ-アウシュヴィッツを考えぬいた作家-』(竹山博英、言叢社、2011)-トリーノに生まれ育ち、そこで死んだユダヤ系作家の生涯を日本語訳者がたどった評伝



『アウシュヴィッツは終わらない』、『休戦』、『周期律』などの作品で日本でも知られる戦後世代のイタリア人小説家プリーモ・レーヴィ(1919~1987)。本書は、その作品の多くを日本語訳してきた著者が書き下ろした日本語では初の評伝である。

イタリア北部の中心都市トリーノにユダヤ人の家系に生まれたプリーモ・レーヴィは、大学で専攻した化学の分野でエンジニアとして生計をたてながら、アウシュヴィッツ絶滅収容所を生きぬいた体験を文字にすることで認められた作家である。

本書によって、プリーモ・レーヴィの読者にとっては、その文学作品が生まれた背景をより広くまつ深く知ることができる。

なによりも、イタリア国民として反ファシズムのパルチザンに参加したレーヴィが、イタリア人としてではなくユダヤ人として扱われ、絶滅収容所送りになるという「不条理な運命」について、あらためて考える機会をもつことになるだろう。

絶望の淵から生還し、極限的な体験を語り続けた意志的な生涯ではあったが、レーヴィは結局は「自死」を選ぶことになった。たとえ、アウシュヴィッツをサバイバルした者であっても、人生に対して誠実であればあるほど逆説的に、生き残ったがゆえの自責感情が生涯つきまとい苦悩しつづけることになったのである。

日本語訳に際してつけられた『アウシュヴィッツは終わらない』というタイトルが、意図したわけでもないのにかかわらず、象徴的な響きをもっていることに気がつかされる。

ところで、わたしにとって興味深く思われたのは、職業が人間を形作るという観点である。

レーヴィは、日本語でいえば「二足のわらじ」をはいていて、生計を立てるという意味でエンジニアとして長く化学製品の研究開発などの仕事を続けていたわけであるが、そもそも大学の専攻を決めるにあたって、「思考の真理に通ずる鍵」と捉え、化学の分野に進んだのだという。この点に、この作家の知性のありかを知ることができるのである。
   
レーヴィが、若い頃からの登山趣味をもちつづけたことも、トリーノというフランスに近く、またアルプス山脈にも近い都市に生まれ育ったことを抜きには語れない。

本書を読むことで、戦前から戦後にかけてのイタリア史について知るとともに、トリーノというイタリア北部都市の知的世界を知ることにもなるだろう。


* 2012年1月26日付の amazonレビュー投稿を一部加筆修正して再録した。





目 次

評伝
1. 生い立ち
2. ファシズムと人種法
3. レジスタンス
4. アウシュヴィッツ強制収容所1
5. アウシュヴィッツ強制収容所2
6.アウシュヴィッツからの帰還
7.化学と文学
8. エイナウディ社からの再刊
9. 『休戦』
10. 短編集―悪夢と夢
11. 『周期律』
12. 作家プリーモ・レーヴィ
13. 責務と論争
14. 『溺れるものと救われるもの』
15. 自死
16. アメリーとフランクル 
●ANED(抑留者協会)での証言  ●証言集
証言1. アルベルト・カヴァリオン
証言2. エルネスト・フェッレーロ
証言3. フェッルッチョ・マルッフィ
証言4. ビアンカ・グイデッティ・セッラ
証言5. レナート・ポルテージ
証言6. アンナ・フェッラーリ
証言7. ジョヴァンニ・テーシオ
証言8.  ピエラルベルト・マルケ
証言9. エミリオ・ヨーナ
証言10.アンナ・ブラーヴォ 
エッセイ
レーヴィの上着
日本語ノート
ニッケルと石綿
プリーモ・レーヴィの思い出 
年譜、著作リスト、参考文献目録
あとがき

著者プロフィール

竹山博英(たけやま・ひろひで)
1948年生まれ。東京都生まれ。東京外国語大学ロマンス系言語専攻科修了。現職、立命館大学文学部教授。東京外国語大学でイタリア語とイタリア文学を学び、ローマ大学でイタリア現代文学と民俗学を学ぶ。主著に、『シチリア・神々とマフィアの島』(朝日新聞社)、『マフィア その神話と現実』(講談社)、『シチリアの春』(朝日新聞社)、『ローマの泉の物語』(集英社)、 『イタリアの記念碑墓地』(言叢社)、その他。主訳書に、プリーモ・レーヴィ『アウシュヴィッツは終わらない』(朝日新聞社)、同『周期律』(工作舎)、 同『休戦』(岩波文庫)、『溺れるものと救われるもの』(朝日新聞社)、C. ギンズブルグ『ベナンダンティ』(せりか書房)、同『闇の歴史』(せりか書房)、その他、がある(出版社サイトより転載)。


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(2012年7月3日発売の拙著です)





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