『国家の生贄』(福田ますみ、飛鳥新社、2025)というノンフィクション作品を読了。500ページ以上の大冊であり、読み応えがあった。この本の存在は X(旧twitter)で知った。 自分が購入した時点ですでに第3刷であったが、すでに第4刷になっているという。
旧統一教会問題にかんして疑問を抱いたノンフィクション作家の著者が、誹謗中傷を受けながらも、執念ともいうべき粘り強い執拗な取材によって書き上げた、まさに迫真の一冊である。
「国家ぐるみのでっちあげ!/スパイ防止法潰し、拉致監禁、テロリストの願望を叶えた真犯人の正体/旧統一教会問題の不都合な真実/メディア報道と180度違う」と帯にある。 帯に使用されているフレーズを使用すれば、「旧統一教会問題の不都合な真実」という副題をつけたほうがよかったかもしれない。
旧統一教会問題が再燃したのは、3年前の「安倍晋三元首相暗殺事件」からである。殺人犯は「宗教二世」で旧統一教会の被害者だ、そんな言説が拡散されたことがテロリストへの同情心を生み、旧統一教会バッシングが復活するキッカケとなった。
かつてメディアで大々的に取り上げられ、世間から激しいバッシングを誘発した「霊感商法」の悪評が蘇り、さらに1995年の「オウム事件」というテロ事件の悪夢が重なることで、旧統一教会バッシングが燃えさかったのである。
だが、本書を読んでいくうちにわかってくるが、どうやら旧統一教会においては、内部改革によって自浄作用が行われ、かつてのような行き過ぎた行動はすでに存在しないようだ。いまでは純粋な信仰集団となっているらしい。
では、なぜ執拗な旧統一教会バッシングが止まないのか?
その理由を解き明かしたのが本書のメインテーマである。
それは、1978年の京都府庁選で「革新陣営」が敗退したことから始まった。日本共産党による「聖なる戦い」がその出発点にある。日本共産党の宿敵である「反共」を掲げる集団を撲滅せよという、悪魔的な「聖戦」なのである。
共産党員やそのシンパ、その他の左翼思想に染まった弁護士たち、それとは別個に統一教会をキリスト教異端とみなし、徹底的に叩くことに執念を燃やしたプロテスタント系の牧師たちと合流することで反統一教会活動のネットワークができあがり、「被害者救済」を名目にした「正体を隠し」の活動が行われてきたのだ。
なんといっても、おぞましいのは「脱洗脳」(ディプログラミング:deprogramming)を名目にした拉致監禁である。子どもたちを統一教会から取り戻そうとする親たちに取り入った活動だ。関与する牧師たちにとっても、弁護士たちにとっても、うまみのあるビジネスと貸していた事実。
拉致監禁という人権侵害の「被害者」は、1966年から2014年までの約半世紀で、なんと4,300人以上ときわめて多数に及ぶが、なかに信仰放棄を拒否して、なんと12年5ヶ月にわたって監禁されていた人もいるというのだ! (・・監禁から解放後の口絵写真を見よ!)
著者によって実名があげられ、それはもうおぞましいまでの悪行が、これでもか、これでもかと掘り起こされる。まさに、かれらこそ日本国憲法に記された「思想及び良心の自由」と「信教の自由」を踏みにじる、人権無視のカルト集団というべきだと言わざるをえない。
さらに、左派リベラル系が牛耳る「オールドメディア」によって拡散され、それによって形成された国民世論にあらがえない政治家たち、その支配下にある公安、文科省。まさに国家ぐるみの犯罪というべきであろう。
旧統一教会問題は、「宗教弾圧」だとして国連のみならず、同盟国であるアメリカからも批判されている。英語メディアでの言説はわたしも見てはいたが、ここまで酷いとは考えもしなかった。まことにもって迂闊な話である。ようやく目を覚まされた思いがする。
ノンフィクション作家の著者は、旧統一教会関係者ではない。もちろん、読者であるわたしもまったく関係ない。公平な立場から行われた調査報道として、ぜひ読むべきだ。
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目 次まえがき テロリストの願望が叶う国第1章 戦後最悪の人権侵害 ― 拉致監禁第2章 全国弁連の正体第3章 謎の男 ― 強制改宗請負人第4章 「小川さゆり」第5章 現役二世信者は訴える第6章 「カルトだと負け」第7章 畏怖誤信 ― 不当判決の山第8章 文科省の言論封殺第9章 解散命令請求 ― 高額献金者の胸の内第10章 念書裁判の真実 ―「鬼のような長女」第11章 公安が仕組んだ冤罪1 新世事件第12章 公安が仕組んだ冤罪2 ストーカー規制法違反事件第13章 成城教会移転騒動 ― 迷惑集団はどちらか第14章 文科省の犯罪 ― 陳述書捏造第15章 解散命令 ― 国策裁判特別収録1 拉致監禁史特別収録2 生還者の肉声特別収録3 後藤徹氏の裁判闘争特別収録4 国際社会の警告
著者プロフィール福田ますみ(ふくだ・ますみ)1956年、横浜市生まれ。専門誌、編集プロダクションを経てフリーのノンフィクション作家に。犯罪、ロシア、学校現場での冤罪事件などをテーマに取材、執筆を行っている。2007年、『でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相』(新潮社)で第6回新潮ドキュメント賞を受賞。作品は2025年に映画化された。2024年には、宗教に関する優れた記事に与えられる米国のウィルバー賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)
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・・宗教問題専門サイト Bitter Winter による本書『国家の生贄』(福田ますみ、飛鳥新社、2025)のレビュー
オウム事件後の日本における「マインド・コントロール幻想」。宗教学者の太田俊寛氏による国際会議報告
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■本書で取り上げられ批判されている関係者
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