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2013年4月6日土曜日

書評 『クオリティ国家という戦略-これが日本の生きる道-』(大前研一、小学館、2013)-スイスやシンガポール、北欧諸国といった「質の高い小国」に次の国家モデルを設定せよ!



小国モデルを次の発展モデルとするため、具体的方法論にまで踏み込んだ注目の提言だ。

「クオリティ国家」とは、スイスやシンガポール、北欧諸国といった「質の高い小国」のことだ。いずれも人口規模は300万人から1,000万人と小規模だが、一人当たりGDPは日本よりも高く400万円以上ある質の高い国家である。

スイスについては言うまでもないだろう。話題のシンガポールについても同様だ。そして、デンマーク、ノルウェー、フィンランド、スウェーデンといった北欧諸国もまたクオリティ国家である。これらの小国は国家そのものにブランド力がある。

だが、いずれも「小国」として生き残るためには、なりふり構わぬ策をとって局面打開してきたことに注目する必要がある。国民皆兵のスイスだけでなく、徴兵制のあるシンガポール、そして北欧諸国もみな小国という不利な条件でありながらサバイバルしてきた。だからこそ、経済的なチカラをつけ、自分の国は自分で守るという姿勢を徹底しているのだ。

こう考えていくと、明治維新後の日本もそうだったのではないかと思わざるを得ない。「第二次グローバリゼーション」という弱肉強食の欧米列強が支配する海に跳びこまざるを得なくなった日本はいかに戦い抜いてきたことか。

日本は「大国」を目指すべきか、「小国」として生きるべきかという議論が開国後の明治時代のはじめから続いている。日本の国家モデルは、明治以降の富国強兵という「帝国主義」、そして敗戦による破綻。その後の「加工貿易立国」モデルの大成功、そして成功のワナにかかったまま停滞をつづけている国家ビジョンなきまま推移する現状。

一方、石橋湛山(いしばし・たんざん)のように「小日本主義」という文言で「小国主義」を主張してきた民間エコノミストもあいる。敗戦後の日本で自民党の首相になったが、病気のためわずか2カ月で退陣を余儀なくされたのだが。

著者は、そういった政治思想史の文脈とは関係ない地点から「クオリティ国家」論を打ち出している。つまり、グローバル経済のなかでサバイバルするためのビジョンと戦略の観点からである。従来の「小国主義」にみられた委縮しがちな消極主義ではない。むしろ積極的な攻めの戦略だ。

いま世界は「ボリューム国家」と「クオリティ国家」に二極分化しており、日本はどっちつかずの状態になってしまっている。これは企業戦略論でいう "stuck-in-the-middle" すなわち中途半端な宙ぶらりん状態である。人口減少傾向にあるとはいえ、まだまだ1億人以上の人口をもつ日本は適度にマーケットが大きいので中途半端なまま、あらたな国家モデルを打ち出せずにいるのだ。

そのワナから抜け出すために、「道州制」を前提にして「クオリティ国家」を目指せというのが著者の主張である。北海道、東北道、関東道、北陸道、関西道、中国道、四国道、九州道。同州単位であれば、500万人から1,000万人の人口規模となるので、外形基準的には「クオリティ国家」の前提を満たすことになる。

とくに、P.195から196に掲載されている「図15 人口500万人規模の道州でも、その気になればクオリティ国家になり得る」が興味深い。各クオリティ国家と各道州を、タテ軸に一人当たりGDP、ヨコ軸に人口規模をとったマトリックスにプロットしたものである。この図表で感覚的に把握することが可能となる。

「ボリューム国家」の中国や米国も、じつは小国の集合体という指摘も重要だ。ジャーナリストの本多勝一にならえば、連邦制の USA は「アメリカ合"州"国」である。中国は連邦制はとっていないが、漢字という共通表記をもった、それぞれ異なる言語をしゃべる民族集団の集合体である。

だが、道州制でクオリティ国家が実現するかといえば、そう簡単な話でないことは著者も十分に認識ているようだ。ボトルネックは教育問題。教育の効果がでてくるのは10年から20年の話であるから、予備校のCMではないが、「いつやるの? いまでしょ!」でなくてはならない。

「クオリティ国家」というモデルを打ち出したことで、「道州制」の議論はより明確なものとなったといえる。ぜひ著者の議論を追いながら自分のアタマで検証してほしいと思う。





目 次

序章 「中途半端な国」になってしまった日本
第1章 世界の変化-世界で台頭する新たな国家モデル
第2章 実例研究1-クオリティ国家の代表格、スイスを現地視察
第3章 実例研究2-「事業戦略型国家」シンガポールの工夫
第4章 実例研究3-日本が学ぶべきクオリティ国家のしたたかさ
第5章 進むべき道-日本新生への新たなビジョン「クオリティ国家」戦略


<関連サイト>

大前研一「クオリティ国家という戦略」特典映像(2分サンプル) (YouTube映像)

ネット企業が続々誕生 フィンランドの秘密 「ノキアの国」が、今ではベンチャー企業の集積地に
(東洋経済オンライン 2013年12月2日)


<ブログ内関連記事>

「小国」スイスは「小国」日本のモデルとなりうるか?-スイスについて考えるために・・スイスを考えるための読書案内

評 『ブランド王国スイスの秘密』(磯山友幸、日経BP社、2006)-「欧州の小国スイス」から、「迷走する経済大国・日本」は何を教訓として読み取るべきか・・とくにブランドという側面についてスイスを深堀した本である

書評 『ハーバードの「世界を動かす授業」-ビジネスエリートが学ぶグローバル経済の読み解き方-』(リチャード・ヴィートー / 仲條亮子=共著、 徳間書店、2010)
・・シンガポールモデルについて詳細に解説。日本モデルの大成功とその後の停滞についても

新装刊の月刊誌「クーリエ・ジャポン COURRiER Japon」 (講談社)2010年7月号を読む-今月号の特集は「アップルが、世界を変える」
・・デンマークについて書いてある 

フィンランドのいまを 『エクセレント フィンランド シス』で知る-「小国」フィンランドは日本のモデルとなりうるか?

IKEA (イケア) で北欧ライフスタイル気分を楽しむ-デフレ時代の日本に定着したビジネスモデルか?

「いまこそ高橋亀吉の実践経済学」(東洋経済新報社創立115周年記念シンポジウム第二弾) に参加してきた-「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」・・石橋湛山と高橋

書評 『日本式モノづくりの敗戦-なぜ米中企業に勝てなくなったのか-』(野口悠紀雄、東洋経済新報社、2012)-産業転換期の日本が今後どう生きていくべきかについて考えるために
・・いかに優秀な人材を日本に呼び込めるかがカギなのだが・・




(2012年7月3日発売の拙著です)






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