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2014年5月23日金曜日

タイで8年ぶりにクーデター(2014年5月22日)-今後の推移を考えるには、まずは前回2006年の「9.19クーデター」のおさらいから始めるのが第一歩だ

(翌日2014年5月23日早朝のタイTVは通常番組ではなく軍の布告)

仏歴2557年(西暦2014年)5月22日、ついにタイ国軍はクーデターに踏み切った。二日前の5月20日に「戒厳令」が布告されていたので「想定内」といえば「想定内」ではあったが、すこし早い動きだったなという感想だ。

タイ現代史で何回目になるのか? すくなくとも21世紀になってからは2回目のクーデーター前回の「9.19クーデター」(2006年9月19日)から8年ぶりということになる。

クーデターが問題の根本解決につながるとは思わないが、二進(にっち)も三進(さっち)もいかない膠着状況が半年も続いていたので、ほかに取るべき手段がなかったというのが大方の認識だろう。「民主主義の機能不全」は、誰の目にも明らかであった。

タイのクーデターは、基本的に無血クーデターである。ある意味では、強制的なシャットダウンである。選挙によらない「政権交代」なのである。軍事政権樹立が目的ではなく、広い意味の政治シャッフルの一環である。

前回のクーデターは、わたし自身についていえば、その前の週にタイに出張してから帰国したばかりだったので虚を突かれたのは正直なところだ。前々回から15年ぶりで、「もはやクーデターはあるまい」と、関係者はみなタカをくくっていたのだ。

だが、今回は8年ぶり。これくらいのインターバルだと「またクーデターか・・」という感想をもつことになる。「ミラーの法則」によれば「7±2」が人間の記憶限界とされている。人間の時間感覚からいうと7年前後は記憶の範囲内とことになるのだろう。まだ記憶に新しいということだ。

(国軍司令官によるクーデター布告(2014年5月22日)の録画)

クーデターに踏み切ったタイ国軍は National Peace and Order Maintaining Council(NPOMC:国家平和秩序維持評議会)を設置し全権を掌握内閣を解散し、国家平和秩序維持評議会(NPMOC)議長に就任したプラユット国軍司令官が首相代行を兼任、治安維持に全面的に乗り出している。

一言でいえば「軍政」ということだ。まずはメディアを支配下において情報統制を行い、5人以上の政治集会を禁止しデモ隊を排除した上で、夜10時から翌朝5時までの「夜間外出禁止令」(curfew)を布告。まずは秩序回復と治安維持が最大の課題である。

これからやるべきことは、おおよその見当はつく。

前回のクーデターはじつに十数年ぶりのものだったので、1991年クーデターまでさかのぼるよりも、直近の2006年クーデターの「おさらい」から始めるのが早道だろう。

もちろん、8年前とは状況が異なり、軍服を着ているとはいえ異なるプレイヤーである。なによりもいまタイが置かれている状況が異なる以上、今後の見通しは前回と同じということはありえないことは承知の上だ。外部環境は8年前より悪化している。


そのために参考になるのが、『現代タイ動向 2006-2008』(日本タイ協会編、めこん、2008)。400ページをこえるこの本が出版されたのは、15年ぶりのクーデターがいかに「想定外」であったことを示している。


「軍政」が「民政移管」するまでにやるべきことは決まっている。まずは、戒厳司令部が全権掌握して「現行憲法」を停止(サスペンド)し「暫定憲法」を公表、次の段階の「暫定政権」に移行してから「新憲法草案」を発表し国民投票(レファレンダム)にかけるという流れだ。前回2006年のクーデター後はそういう流れだった。

もちろん「民政移管」すれば総選挙が行われることになるので、「新憲法」においては支配層にとって有利な条件となるように選挙法関連を中心に憲法改正されることになる。日本のように「憲法改正」というだけで騒ぎ立てる「硬性憲法」の国とは違い、タイは「軟性憲法」の国である。

今回は、政治混乱が続いているために来年度の予算も成立していないという異常事態におけるクーデターであり、一日も早く予算を成立させることが喫緊の課題である。

参考のために『現代タイ動向 2006-2008』(日本タイ協会編、めこん、2008)の「目次」を掲載しておこう。わたし自身は、まさにこの期間にタイにいたので、現地でさまざまな体験と観察を行うことができたので、なんだか懐かしい感じもするのだが・・。


目 次
まえがき (赤木攻)
政治
タイの政治情勢をめぐる主な動き(2006~2008年)
第1章 9.19クーデタ
 1. これからどうなるタイの政治
 2. タイの政変とその余波、現場からの報告
 3. 現地レポート: 9.19クーデタ
第2章 タイ政治とタックシン現象
 1. タイのクーデタ: 経済発展と民主化の時間差
 2. タックシン現象:ポピュリズム
 3. 「9.19クーデタ」が示したタイ政治社会の問題点
 4. 現地レポート: タックシン勢力の排除
第3章 暫定憲法と新憲法の制定
 1. タイの憲法の特質
 2. 新憲法草案の確定と今後の展望
 3. 仏歴2550年(西暦2007年)タイ王国憲法について
第4章 国民投票、総選挙、親タックシン政権
 1. 現地レポート: 国民投票後のタイ
 2. 総選挙と連立政権成立
 3. 総選挙後のタイの政治社会:「王権」をめぐって
 4. 第一次サマック内閣主要閣僚プロファイル
 5. かかあ天下? ソムチャーイ政権
経済・社会・文化
第5章 豊かになったタイ
 1. 対社会の変容
 2. タイの経済政策と2006年9月クーデタ
 3. バンコクの都市鉄道
 4. タイのエネルギー事情 
第6章 変わったタイと変わらぬタイ
 1. タイの日本観は変わったか
 2. タイで進む少子高齢化
 3. タイにおけるロングステイ日本人
 4. 新しいタイ史の提唱
 5. 「タイの歴史」の諸問題
仏暦2549年タイ王国憲法(暫定版)
仏暦2550年タイ王国憲法
あとがき


前回のクーデターにおいては、さすがに欧米世論からの批判が激しく、当時まだ「民主化」に踏み切るはるか前のミャンマー軍事独裁政権と同一視さえされかねない状況であったので、「民政移管」はスケジュールどおりの実行が行われた。今回はさらにスピードアップする必要に迫られるだろう。

今回も欧米メディアでは、いわゆる「アラブの春」のなかで実現した「エジプト革命」後の民主化が、クーデターでつぶされたことを対比するような論調がすでに行われている。エジプトの流血クーデターとタイの無血クーデターとは内容はまったく異なるのだが、クーデター(coup)や軍事政権(military junta)といったコトバには、欧米世論は過剰反応する傾向がある。

タイ国軍としては「民政移管」後の総選挙のことを考えれば、悩ましいところだろう。「投票」行動を通じての「民意」は、「多数決原理」という「数の論理」で実現するので、ふたたび同じ問題が蒸し返される可能性が高いからだ。クーデターが問題の根本解決にならないとはそういう意味だ。

そういえば思い出したが、新憲法草案作成にあたっては、さまざまな業界団体や圧力団体がロビー活動を展開することになる。たとえば、タイの仏教団体が「仏教国教化」を実現するべく新憲法に条文として盛り込めという運動をしていたが、幸か不幸か(?)、2006年クーデターの戒厳司令官はムスリムであったためか(どうかはわからないが)、結果としては斥けられた。仏教国タイであるが、仏教は国教ではないのだ。

クーデター後のパターン自体は前回と共通したものがあるだろうが、2014年現在の情勢は2006年とは同じではない。今回のクーデター後の状況がどう推移していくか要注視である。国軍にとっては同盟国の米国を中心とする国際世論を意識しながら時間との戦いとなる。

「現地」は伝言ゲームによって不確かな情報が拡散する状況だろうが、「現地」から離れているとかえって俯瞰的に情勢を把握できるものだ。この記事はそういう意味として捉えていただきたい。ディテールにこだわりすぎると全体像が見えなくなってしまう危険もある。

前回2006年のクーデターとなにが共通し、なにが違うのか、それを考える出発点となれば幸いである。

(2014年5月23日 記す)



(追記) 国王陛下が2014年クーデターを承認(2014年5月25日)

HM the King acknowledges military coup( Date : 25 พฤษภาคม 2557=2014年5月25日)

BANGKOK, 25 May 2014 (NNT) – His Majesty King Bhumibol Adulyadej has acknowledged the power seizure by the military led by General Prayuth Chan-ocha.

クーデタから三日目となったが、前回よりも「国王によるクーデター承認」が遅れた理由は定かではない(2014年5月25日 記す)。





(付録) ■軍による「情報統制」について

クーデタ布告後、タイ国内は軍による「メディア統制」されており、夜10時から翌朝5時までの「夜間外出禁止令」もでている(2014年5月23日現在)。

(国家平和秩序維持評議会(NPOMC)報道官による発表が時折入る)

2006年の「9.19クーデター」から「民政移管」されるまでのあいだ、「インターネットの情報統制」も行われていたことを記しておきたい。



とくにアジアでは、中国、ベトナム、北朝鮮といった「社会主義国」だけでなく、ミャンマーでも、タイ、シンガポールでも同様である。
たとえば、2006年クーデター後のタイ王国。民政移管までの期間、軍事政権下の暫定政権において「インターネットの情報統制」が行われていた。

これを現地で実体験していたので、2008年に本書が出版されたとき、大いに知的好奇心を刺激されて購入したのである。クーデター前にタイ政府に協力したことのある日本人の専門家から、タイのインターネット情報統制の仕組みについて話を聞いていたので、ピンときたというわけだ。仕組みは、アラブ諸国と同じである。ツリー構造ネットワークによって、タイ国外との情報の出入り口は一元化されている。

タイの軍政当局は、ある特定のキーワードをリストアップして、無差別にフィルタリングをかけていた(・・現在も程度の違いはあれ、フィルタリングはかけているようだ)。このため、問題ないのに表示できないサイトがでてきてクレームをつけても、問答無用で退けられたというウワサを聞いている。真偽のほどは確かではない。軍政当局はフィルタリング対象のリストは、当然のことながら公開していなかった。
民政移管までの重要な政治課題であった「憲法改正」を、国民投票(レファレンダム)において僅差でかろうじて乗り切ったのち、軍政下の暫定政権は、かけこみで「治安維持法」を成立させている。
タイでは、YouTube が遮断されていたことも記憶に新しいだろう。一般に「自由の国」と目されているタイも、一皮むけばこのような「情報統制国家」としての本質が現れてくる。

タイでは現在でもプリント・メディアに発禁措置が取られることが多々ある。主に海外雑誌についてであるので、輸入禁止という措置である。The Economist が何度か輸入禁止になっている。

タイを例に出したが、中国はいうまでもなく、ベトナムや北朝鮮といった「社会主義国」だけでなく、シンガポール、ミャンマー・・など、どの国も似たり寄ったりであろう。違いがあるとすれば、程度の差だけである。


前回の2006年のクーデターと今回2014年クーデターの違いは、この間に facebook や twitter といった SNS が普及したことだ。はたして今回はどうのような「情報統制」が行われることになるのか? これも注視すべきことだろう。「エジプト革命」も、SNSが煽ったことは間違いないので、いかに情報をコントロールするかは軍にとってもきわめてむずかしいタスクとなる。

技術的にインターネットにおけるアクセス統制は可能だが、どこまでやるかは当局次第である。そこに当局の意志決定に大きな影響を与えるのは「世論」というものの存在だ。今回のクーデターの実行自体、世論の動向を見据えてのものであったと考えられる。

(2014年5月23日 記す)

(National News Bureau of Thailand サイト掲載の NPOMC のバナー)


(追記) National Peace and Order Maintaining Council(NPOMC:国家平和秩序維持評議会)によるプロバイダーへの協力要請

Internet providers to refrain from messages which may incite violence (Date : 23 พฤษภาคม 2557=2014年5月23日)
BANGKOK, 23 May 2014 (NNT) - The National Peace and Order Maintaining Council (POMC) has made a request to all internet providers, who have their own network, to report to the Office of The National Broadcasting and Telecommunications Commission (NBTC). Many internet providing entrepreneurs have already cooperated and reported to the office; 76 companies have shown up out of 108 companies.
All internet providing companies are requested to broadcast only accurate information. Moreover all companies must refrain from messages which could incite the public to cause violence in the Kingdom or affect national security. 

(追記) SNSの通常的使用には問題なし。ただし国家平和秩序維持評議会に反する内容などについては制限しフィルタリングをかける
NBTC confirms normal usage of Facebook, Line, and YouTube but with limits (Date : 23 พฤษภาคม 2557=2014年5月23日)
BANGKOK, 22 May 2014 (NNT) -The National Broadcasting and Telecommunications Commission (NBTC) confirms that Facebook, Line, and YouTube can still be used as normal, but contents which go against The National Peace and Order Maintaining Council (POMC) will be individually filtered. 
NBTC Secretary General Thakorn Tantasit revealed that NBTC received a letter from the POMC to oversee the contents of the Internet through 108 internet service providers who have received a service license from the NBTC to follow POMC Announcement No. 17, regarding the publishing of contents on the Internet to the public; the contents must contain the truth and shall not be distorted to cause any misunderstanding or conflict that could affect peace and order within the country. The NBTC will further send a notification to all 108 Internet providers for their acknowledgement.
For Social Media websites such as Facebook, Line, and YouTube, the NBTC reaffirms that they can be used as normal, but with restrictions on any content that goes against a POMC order. Meanwhile, Internet Protocol Television (IPTV) or any system through which television services are delivered using the Internet, will not be accessible.

下線を引いた箇所に注目。SNSの使用は可能だが制限付きデフィルタリングをかけると明言している。ただし、具体的にいかなるコトバがフィルタリングされるかについの言及はない。


(追記) 国家の安全とソーシャルメディアを正しく使用していないウェブサイトを閉鎖

ICT Min pulls plug on over 200 websites for provoking unrest (Date : 27 พฤษภาคม 2557=2014年5月27日)
BANGKOK, 27 May 2014 (NNT) – The Ministry of Information and Communication Technology (ICT) has so far closed more than 200 websites that are deemed to be a threat to national security and continues to closely monitor against misuse of social media.
The ICT Ministry has also drawn up the national internet gateway project, to be supervised by TOT and CAT Telecom, as a long-term measure to eradicate provocative online materials. The new project is believed to facilitate the inspection of suspicious websites and the blocking of viewers’ access to prohibited contents.
In addition, the ICT Ministry has requested cooperation from all internet service providers in reporting any discovery of websites defying the order of the NCPO. Public members who have any knowledge of such violation are also encouraged to contribute to the effort by contacting the ministry via telephone or email.

(追記) 下記の記事が「情報統制」にかんして参考となる

ビッグデータ分析で、中国政府による検閲の中身が明らかに ゲイリー・キング米ハーバード大学教授に聞く (日経ビジネスオンライン 2014年2月4日)
・・中国政府によって削除される前に入手した膨大なネット書きこみ情報を「ビッグデータ」の手法で解析することにより、検閲手法と方針が明らかになった!
「分かったことは、中国政府が監視しているのは、とにかく「団体行動」であるということです。人を扇動したり、抗議行動に駆り立てたり、政府以外の人間が他人をコントロールしようとする発言は即刻検閲されます。・・(中略)・・中国政府は恐らく、特定の話題に関するソーシャルメディアを監視していて、特定の話題が盛り上がる様子を眺め、突然投稿者たちが1つの方向で議論を始めて明らかに「炎上」した時に動くようです。団体行動を実行に移しそうな炎上の仕方が見られると、すべての炎上した投稿を削除してしまうのでしょう。それが、政府寄りだろうが、反政府寄りだろうが、関係ない。団体行動の芽が見えたらとにかく取り締まる」
 
   
(追記) SNS時代のデモのコントロールはきわめて困難

アングル:タイ軍政にソーシャルメディアで抗戦、市民らデモ継続 (ロイター、2014年5月26日)
・・「ソーシャルメディアの力に直面するのは今回が初めてで、それによって情勢が一変することになる可能性がある。・・(中略)・・政治デモというより、通りすがりを装い突如集まる「フラッシュモブ」のように発生する都市部の抗議活動には、手をこまねいている。・・(中略)・・デモ隊は参加者の数を絞り、集会場所も拡散させて、暴力的な攻撃を受けないよう警戒している。こうしたデモに軍も疲弊しているようだ」


(追記) 戒厳令が解除(2015年4月1日)

タイが10カ月ぶりに戒厳令解除、軍事政権は権限維持(ロイター、2015年4月2日)
・・・「[バンコク 1日 ロイター] - タイ軍事政権は1日、10カ月ぶりに戒厳令を解除したと発表した。これに先立ち、プミポン国王がこれを承認した。 軍事政権は戒厳令を解除する代わりに暫定憲法第44条を適用し、プラユット首相は広範な権限を維持するとしている」  観光客減少で経済に与える影響が無視できないものになっていたためだという。しかし、暫定政権終了のメドは現在のところたっていない。(2015年4月2日 記す)


<関連サイト>

National Peace and Order Maintaining Council Announcement 1/2014
・・POMC(平和秩序維持国家委員会)布告第一号(Announcement on 22 May 2014) NNT: National News Bureau of Thailand より

タイ:国軍による全権掌握宣言(政変)に伴う注意喚起 (外務省 海外安全情報 2014年5月23日)

National Peace and Order Maintaining Council (wikipedia英語版)

タイ軍事クーデター (2014年)  (wikipedia日本語版)

2014 Thai coup d'état (wikipedia英語版)

MCOT1 (タイの政府系TV局)

Thailand’s coup The path to the throne A sudden move by the army brings only near-term calm (The Economist, May 24th 2014)
・・タイではたびたび輸入禁止がでている英国の The Economist誌の最新記事。この記事も日本語メディアでは活字になりにくい微妙な問題に正面から切り込んだ内容である。「不敬罪」に該当する内容である。日本語訳は、タイのクーデター:国座に至る道のり(JBpress、2014年5月26日)を参照



*写真の左の本は『クーデターの政治学-政治の天才の国 タイ-』(岡崎久彦・藤井昭彦・横田順子、中公新書、1993)「1991年クーデター」後にでた本。右は「2006年クーデター」後にでた本(本文で解説)。将来予測のためには、過去を「おさらい」することがまずは第一歩。



(参考資料) National Peace and Order Maintaining Council Announcement 1/2014
http://thainews.prd.go.th/centerweb/newsen/NewsDetail?NT01_NewsID=WNPOL5705220010016
Date : 22 พฤษภาคม 2557

National Peace and Order Maintaining Council Announcement 1/2014
Subject : To control the national administration

Severe incidents in Bangkok and many other areas nationwide, have caused loss of innocent lives, people have been wounded and there has been a loss of assets. The situation seems to escalate with ever more conflicts and it is affecting national security, lives and assets of the public.

In order to restore the situation,the National Peace and Order Maintaining Council (POMC) which consists of the Royal Thai Army, Royal Thai Armed Forces Headquarters, Royal Thai Navy, Royal Thai Air Force and Royal Thai Police must proceed to control the national administration from 22nd May 2014 from 16.30 onward.

However, Thai people are requested to continue their lives and work as usual, as well as all government offices and officials.

Military officials, police officers, volunteers and other government officials who are armed with weapons are strictly prohibited from moving their troops and weapons unless they receive an order from Head of POMC only.

As for the diplomatic corps, Consulates, International organizations and foreign residents, POMC gives an assurance of your safety and protection. Moreover, POMC affirms that the relationship between Thailand and other countries remains the same as with the former government. POMC adheres to fidelity to protect and maintain the Royal Institution, which is the spiritual center of all Thais.
Announcement on 22 May 2014



(付録) ■「多数決原理」がもたらす「民主主義の機能不全」は先進国でも

ついに表面化した潜在的労働力不足-改めて考える人口問題(2)(小峰隆夫、日経ビジネスオンライン、2014年5月28日)
・・「そして第5の課題は、民主主義が機能不全に陥ることだ。人口オーナスになると、有権者に占める勤労者の比率が低下し、高齢者の比率が高くなるので、高齢者寄りの政策が実行されやすくなる。いわゆる「シルバー民主主義」である。人口オーナスの下では社会保障経費が増大し、大きな財政負担となるのだが、シルバー民主主義は、その財政再建や社会保障制度改革を阻害することになる。 このシルバー民主主義も、まさに現在進行中の大問題である」  
・・先進国を前に「中進国」のまま終わる可能性の高いタイには、すでに「人口オーナス」(・・人口ボーナスの反対概念)による「少子高齢化問題」が始まっている
・・「one man, one vote」(一人一票)に基づく「多数決原理」が民主主義の機能不全を招いている点は、タイやエジプトだけでなく、先進国でも「世代間格差」として顕在化しつつある


(その後の状況)

変革進めるタイ軍政(上) (化学工業日報、2014年8月15日)
変革進めるタイ軍政(下) (化学工業日報、2014年8月15日)
・・現在のところ、予想通りの経済立て直しに専念する軍政。この国は軍政による「規律」しか安定をもたらすことができないのかと考えざるをえない。

(2014年8月16日 記す)


(その後の状況)

タイ軍政トップのプラユット氏、暫定首相に (AFP、2014年8月21日)
・・「軍政下にあるタイの国民立法議会(National Legislative Assembly、定数197)は21日、軍政トップのプラユット・チャンオーチャー(Prayut Chan-O-Cha)陸軍司令官を暫定首相に指名した。首相に立候補したのはプラユット氏1人だった。 5月22日のクーデターで全権を掌握したプラユット氏は、賛成191、棄権3、欠席3で首相に指名された。正式な就任にはタイのプミポン・アドゥンヤデート(Bhumibol Adulyadej)国王の承認が必要だが、この手続きは単に儀礼的なものとみられている」

想定通りのシナリオ、ということだ。とくにコメントはない。

(2014年8月22日 記す)


「タイ王室」にも波及? 進む「タクシン派」切り崩し(樋泉克夫、BLOGOS、新潮社フォーサイト2014年12月12日より転載)

(2014年12月13日 情報追加)


<ブログ内関連記事>

タイの政治状況

『国際シンポジウム 混迷続くタイ政治:その先に何が待っているのか』("Thailand’s Turbulent Politics: Peering Ahead")に参加(2014年3月27日)

書評 『赤 vs 黄-タイのアイデンティティ・クライシス-』(ニック・ノスティック、めこん、2012)-分断されたタイの政治状況の臨場感ある現場取材記録

書評 『バンコク燃ゆ-タックシンと「タイ式」民主主義-』(柴田直治、めこん、2010)-「タイ式」民主主義の機能不全と今後の行方

書評 『クーデターとタイ政治-日本大使の1035日-』(小林秀明、ゆまに書房、2010)-クーデター前後の目まぐるしく動いたタイ現代政治の一側面を描いた日本大使のメモワール

書評 『タイ-中進国の模索-』(末廣 昭、岩波新書、2009)
・・タクシン政権誕生以後の現在のタイをしるうえでの必読書

合掌ポーズの「ワイ」はクセになる-タイのあれこれ(番外編)

「バンコク騒乱」について-アジアビジネスにおける「クライシス・マネジメント」(危機管理)の重要性

「バンコク騒乱」から1周年(2011年5月19日)-書評 『イサーン-目撃したバンコク解放区-』(三留理男、毎日新聞社、2010) 

来日中のタクシン元首相の講演会(2011年8月23日)に参加してきた

「タイのあれこれ」 全26回+番外編 (随時増補中)


国際メディア情報と現地情報のズレ

書評 『国際メディア情報戦』(高木 徹、講談社現代新書、2014)-「現代の総力戦」は「情報発信力」で自らの倫理的優位性を世界に納得させることにある

書評 『エジプト革命-軍とムスリム同胞団、そして若者たち-』(鈴木恵美、中公新書、2013)-「革命」から3年、その意味を内在的に理解するために ・・欧米メディアではタイの「無血クーデター」とエジプトの「流血クーデター」を同一視するコメントもある。最近はラテンアメリカでもトルコでもクーデターがないので仕方ないとはいえる。両者には共通する面もあるが、異なる性格もある。エジプトとタイで共通する点とは、「国軍に寄せる国民の信頼が高いことを、著者は「伝統化しつつある、軍部への「委託」」と表現している。若者たちが中心になって行った反ムルシー大統領デモの後押しを受け、二度目の「実質的なクーデター」で国軍が中心の座に戻った。これにより、迷走をつづけていたエジプト社会が結果としてようやく安定軌道に戻ることになる」、である。ただし、今回の2014年クーデターでタイ社会が「結果としてようやく安定軌道に戻ることになる」かどうかは不透明である


「軍政」が機能するのはタイは官僚制がしっかりしているから

書評 『泰緬鉄道-機密文書が明かすアジア太平洋戦争-』(吉川利治、雄山閣、2011 初版: 1994 同文館)-タイ側の機密公文書から明らかにされた「泰緬鉄道」の全貌

書評 『同盟国タイと駐屯日本軍-「大東亜戦争」期の知られざる国際関係-』(吉川利治、雄山閣、2010)-密接な日タイ関係の原点は「大東亜戦争」期にある
・・植民地経験をもたないタイは、「近代化」に踏み切って以降、日本と同様に官僚制が定着しており、日本以上に文書主義が徹底しているため、日本が敗戦の際に廃棄した公文書がタイ側の公文書館に保存されているので研究が可能となった


とくにビジネスパーソンには必須のマインドセット

書評 『誰も語らなかったアジアの見えないリスク-痛い目に遭う前に読む本-』(越 純一郎=編著、日刊工業新聞、2012)-「アウェイ」でのビジネスはチャンスも大きいがリスクも高い!

(2014年5月27日 情報追加)


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(2012年7月3日発売の拙著です)







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