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2015年4月15日水曜日

書評 『国境のない生き方-私をつくった本と旅-』(ヤマザキマリ、小学館新書、2015)-「よく本を読み、よく旅をすること」で「知識」は「教養」となる


ヤマザキマリ氏はマンガ家。古代ローマの浴場設計の専門家がお風呂文化の現代日本にタイムスリップするというSF的設定の『テルマエ・ロマエ』で一気にブレイクした。

映画化もされたこの作品がこれがキッカケになって、ヤマザキマリ氏が劇的な人生を送ってきた、かなり「変わった人」であることがだんだんとわかってきた。ここでいう「変わった人」というのは、わたし流の最高のほめコトバである。

『国境のない生き方-私をつくった本と旅-』(ヤマザキマリ、小学館新書、2015)は、人生の折々に読んできた本と、ボーダーレスな移動をつうじて形成された人生についてみずからを語ったものだ。

自分語りによる「自分史」でもある。「メイキング・オブ・ヤマザキマリ」である。本と旅が血肉をつくりあげる。

ヤマザキマリ氏は1967年生まれ、わたしより5歳若いが、共通する経験と時代感覚をもちながらも、日本の現実への「違和感」の質的な違いが感じられて面白い。

というのも、ヤマザキマリ氏はなんと14歳でヨーロッパを一ヶ月間を一人旅し、その旅で知り合った老人がキッカケとなって美術を学ぶために17歳でイタリアのフィレンツェに留学。アーチスト志望の学生にはお決まりの、どん底のビンボー生活を異国で体験している人だからだ。日本の同時代人とは、かなり異質の体験である。

平凡な人生とはほど遠い経験のなかで出会った数々の本、そして地球サイズでの移動のなかで出会った人びと。みずからの経験のもつ意味を言語化しようとした内容であり、それを可能としたのは読書経験だけでなく、濃密な人間関係のなかでの激しい議論をつうじて磨かれたアウトプット能力であることが、この本を読んでいるとよくわかる。

軽いタッチでつづられているので読み飛ばしてしまうかもしれないが、わたしはこの本のメッセージの一つに、「知識」と「教養」の違いというテーマがあるように思う。

「教養」というと、人の知らないことを知っているとか、古今東西の古典の名文句など、「高級」(?)なイメージをもっている人も少なくないだろうが、人生のもっともつらい時期に自分を支えてくれた本やコトバなど、自分の血肉となったものこそ、ほんとうに自分の身についた「教養」といえるのである。

たんなる「知識」ならインターネット上に無限に増殖しつづけているが、それは「教養」ではない。自分の血肉となっていてこそ、「教養」といえるのである。

拙著『人生を変えるアタマの引き出しの増やし方』には、「いい男になるための条件」としての「本を読み旅をすること」について書いておいたが、ヤマザキマリ氏の人生そのものが生きた事例とでもいった内容だ。

ヤマザキマリ氏の「男っぷり」には脱帽だが、その吹っ切れ方は、男というよりも、やっぱり女だなあと思う。人生最悪のときの出産と、この子だけは絶対に守らなければという思いが吹っ切らせた覚悟の強さ。そこらへんは、男にはない、女の強さというべきだろう。

この本はぜひ拙著『人生を変えるアタマの引き出しの増やし方』の「副読本」に指定したい内容だ。もしこちらが先に出版されていたら、この本から引用したくなっていたと思う。

男女を問わず、とくに若い人には推薦してあげてほしい本だ。





目 次

はじめに
第1章 野性の子
第2章 ヴィオラ奏者の娘
第3章 欧州ひとり旅
第4章 留学
第5章 出会い
第6章 SF愛
第7章 出産
第8章 帰国後
第9章 シリアにて
第10章 1960年代
第11章 つながり
第12章 現住所・地球


著者プロフィール

ヤマザキマリ
1967年、東京都生まれ、北海道育ち。84年にイタリアに渡り、フィレンツェの美術学校で油絵と美術史などを学ぶ。97年、漫画家としてデビュー。その後、イタリア人の比較文学研究者との結婚を機に、シリア、ポルトガル、アメリカで暮らし、現在はイタリアに在住。2010年、古代ローマが舞台の漫画『テルマエ・ロマエ』(エンターブレイン)で手塚治虫文化賞短編賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。



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I am part of all that I have met (Lord Tennyson) と 「われ以外みな師なり」(吉川英治)
・・人生にムダなことなど一つもない!

『愛と暴力の戦後とその後』 (赤坂真理、講談社現代新書、2014)を読んで、歴史の「断絶」と「連続」について考えてみる
・・マンガ家のヤマザキマリ氏は1967年生まれ、小説家の赤坂真理氏は1964年生まれ。この二人の「マリ」は、わたしより若干若い人たちだが、共通する経験と時代感覚をもちながらも、日本の現実への「違和感」の質的な違いが感じられて面白い。ヤマザキマリ氏は14歳で、赤坂真理氏は16歳で、それそれイタリアとアメリカに出国した経験をもっていて、その経験のもつ意味を言語化しようとした内容である点が、とりわけ興味深い。

(2015年8月22日 情報追加)




(2012年7月3日発売の拙著です)










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