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2015年11月6日金曜日

書評 『暗闘 尖閣国有化』(春原剛、新潮文庫、2015 単行本初版 2013)-「準戦時下」状態への分岐点となった「事件」の真相を分厚い取材で描き切ったノンフィクション作品


すでに日本は次の戦争を前にした「戦争前夜」、いや「準戦時下」状態にあるといっても過言ではない。その分岐点となったのが「尖閣国有化」である。それは、2012年9月11日のことであった。

もともとは、2010年9月におきた中国船による海上保安庁艦船への体当たり事件からヒートアップした日本国民の怒りが「尖閣国有化」への導火線になったとはいえ、「尖閣国有化」後の中国における反日暴動、中国人民解放軍からの度重なる軍事的挑発行為はさらに激しさを増している。

日本としては「隠忍自重」の四文字に徹しなくてはならないのであるが、「国有化」が単なる国内の土地所有権移転ではなく、まさに領土保全という国防そのものに直結したものであることを示している。

本書は、この「尖閣国有化」という「事件」の真相を分厚い取材で活写したノンフィクションである。じつに面白い。じつに読みでがある。事実のもつ迫真性は、並みのエンターテインメント作品を超えるものがある。

行き詰る攻防戦は日中のあいだだけはなかった。「中国と戦争になっても構わない」と発言し東京都として尖閣購入を表明した石原都知事(当時)と、それを阻止せんとして国有化に腹をくくった民主党政権の野田首相(当時)の攻防戦こそが、本書の最大のハイライトであろう。

保守というよりも右派の政治家・石原慎太郎氏と、民主党でありながら自衛官の息子で「親米保守」の政治家である野田佳彦氏。この二人は尖閣問題の重要性は深く認識していながらも、世代の違いもあって対中観も対米観も同じではないことが浮き彫りにされる。

領土問題である「尖閣問題」は日中間だけの問題ではない。日米安保体制をとる日本にとっては、米国の利害も大きくかかわってくる問題なのである。

1932年という「戦前」に生まれ敗戦を経験している石原慎太郎氏の対米観は、1957年という「戦後」に生まれ米ソ冷戦のさなかに育った野田佳彦氏とは異なるのである。前者の敗戦世代のもつ米国へのアンビバレントな感情とは異なり、後者の「冷戦中派」の世代は、日本の安全保障における米国の存在を当然のものと受け止めている。1961年生まれの著者も、1962年生まれのわたしも同じである。

奇しくも、わたしにとって石原氏は大学の大先輩であり、野田氏は高校の先輩にあたるのだが、わたしの5歳年上の野田氏の「現実主義」のほうに軍配が上がったのは、国益の観点からいってはまことにもって幸いなことであった。石原氏のように現実に立脚することなく、ロマン主義的感覚で政治に関与することはきわめて危険である。

「尖閣国有化」はビジネス的にいえば不動産「賃貸」から不動産「購入」への転換である。政治の舞台裏で同時並行で行われていた地権者との交渉は、あたかも企業買収交渉のような隠密アプローチによるものであった。「尖閣国有化」の実現の舞台裏として、この攻防戦もまた読みでがあるのは、なぜ地権者は東京都にではなく日本国に島を売却したのか、その理由が明らかになるからだ。

日本の安全保障に根本的な変化をもたらした「尖閣国有化」。単行本出版から2年後の文庫版には「対談 尖閣国有化は正しかった」(長島昭久・春原剛)が収録されている。

野田首相(当時)の懐刀として対米交渉に奔走したのが、民主党でありながら知米派の政治家・長島氏であったが、わたしもまた「尖閣国有化は正しかったと確信している。あのタイミングを逃したら、さらに大変なことになっていたことは間違いない。

「事件の真相」を知っておくことは、その事件以後を理解するために不可欠である。あらたな「戦前」に生きる現在日本人が知らなければならない事実が書かれているノンフィクションである本書は、一方的な思いこみや、断片的な情報から得た思い込みを廃し、事実関係をきちんとフォローするために必読といえよう。






目 次

第1章 一触即発
 官邸騒乱
 対日ハラスメント
 五条適用
 「準法規的措置」
 ASEM会議
 ドタキャン騒動
第2章 爆弾発言
 石原発言の波紋
 地権者との交渉
 ヘリテージの理由
 初顔合わせ 
 横田ラプコン
 太平洋憲章
第3章 秘密工作
 隠密会議
 賃貸借契約
 毅然対応
 灯台と神社
 出口戦略
 静かなアプローチ
 丹羽発言
 計画発覚
第4章 頂上会談
 水一杯の会談
 石原の対米観
 領土演説
 後門の鷲
 米国の思惑
 北戴河の声
第5章 最終決断
 立ち話サミット
  「首相特使」
 野田・石原結託論
 力道山世代 
 官邸内の攻防
 最後の晩餐
第6章 政争勃発
 置き土産
 レーダー照射
 領空侵犯
 「中国の夢」
 米国の本音
 暴走老人
あとがき
対談 尖閣国有化は正しかった(長島昭久/春原剛)


著者プロイール
春原剛(すのはら・ひろし)
1961(昭和36)年、東京生れ。上智大学卒業後、日本経済新聞社入社。米州編集総局ワシントン支局記者、コロンビア大学ジャーナリズム大学院国際高等報道プログラム・フェロー、米戦略国際問題研究所(CSIS)、米ヘンリー・スティムソン・センター客員研究員などを経て、国際部編集委員。日本経済研究センター・グローバル研究室長も兼務。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)



<ブログ内関連記事>

書評 『日米同盟 v.s. 中国・北朝鮮-アーミテージ・ナイ緊急提言-』(リチャード・アーミテージ / ジョゼフ・ナイ / 春原 剛、文春新書、2010)


■「領土保全」

ノラネコに学ぶ「テリトリー感覚」-自分のシマは自分で守れ!

書評 『奪われる日本の森-外資が水資源を狙っている-』(平野秀樹/安田喜憲、新潮文庫、2012 単行本初版 2010)-目を醒ませ日本人!

「行動とは忍耐である」(三島由紀夫)・・・社会人3年目に響いたコトバ


「尖閣問題」関連

「かくすれば かくなるものと知りながら やむにやまれぬ 大和魂」(吉田松陰)

『何かのために-sengoku38 の告白-』(一色正春、朝日新聞出版、2011) を読む-「尖閣事件」を風化させないために!

書評 『尖閣を獲りに来る中国海軍の実力-自衛隊はいかに立ち向かうか-』(川村純彦 小学館101新書、2012)-軍事戦略の観点から尖閣問題を考える

書評 『海洋へ膨張する中国-強硬化する共産党と人民解放軍-』(飯田将史、角川SSC新書、2013)-事実を淡々と述べる本書で正確な認識をもつことが必要だ

書評 『平成海防論-国難は海からやってくる-』(富坂 聰、新潮社、2009)-「平成の林子平」による警世の書

シンポジウム 「尖閣を忘れるな-自主防衛のほかに道はなし-」 (2010年11月13日)に参加してきた


石原慎太郎と野田佳彦

書評 『石原慎太郎-「暴走老人」の遺言-』(西条 泰、KKベストセラーズ、2013)-賛否両論はあるが、きわめて「一橋的」な政治家の軌跡をたどってみることに意味はある

民主党による政権交代からちょうど二年-三人目の首相となった第95代内閣総理大臣の野田佳彦氏は千葉県立船橋高等学校の出身である




(2012年7月3日発売の拙著です)










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