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2018年6月3日日曜日

書評 『朝鮮開国と日清戦争-アメリカはなぜ日本を支持し、朝鮮を見限ったか-』(渡辺惣樹、草思社文庫、2016)-19世紀後半まで中国の属国であった朝鮮は自力で近代化できなかった

  
『朝鮮開国と日清戦争-アメリカはなぜ日本を支持し、朝鮮を見限ったか-』(渡辺惣樹、草思社文庫、2016)という本を読んだ。500ページ近くもあるが、米国のアジア外交という視点から描いたこの本は、新鮮な面白さがあった。
   
「日清戦争」(1894年)とは、「朝鮮独立」をめぐる日本(および日本を後押しした米国)と、中国(当時は清朝)との衝突であった。
   
当時の複雑な国際情勢のなか、英国はロシア帝国を牽制する役割を期待していた清朝を見限って日本を重視するようになり、その後の「日英同盟」へと進展していく。そして大陸国家のロシアとフランス、ドイツが「三国干渉」という形で日本を圧迫した。これが日露戦争へとつながっていくことになる。
  
当時の朝鮮は「冊封体制」による中国の「属国」であり、中国中心の覇権システムである「華夷秩序」のなかにあった。朝鮮は自分で自分の運命を決められない従属的な状態に甘んじていたのである。
    
したがって、朝鮮問題に深入りすることは、中国と衝突することを意味する。日本と中国が朝鮮をめぐって全面衝突したのは論理的必然であった。
   
そして日清戦争における日本の勝利は、中国中心の東アジア世界の覇権システムを破壊することにつながった。それが日清戦争がもたらした最大の成果である。
   
「独立朝鮮」を西欧中心の「近代世界システム」のなかに取り込むために「近代化」を支援すること、これがアジアで最初に近代化した日本にとっての課題となったのだが、それでも朝鮮は自力で近代化できなかった。その結末が「韓国併合」(1910年)となったことは、日韓双方にとって歴史の不幸というべきだろう。
      
朝鮮半島情勢が流動化し、朝鮮半島が「再統一」の方向向かおうとしている現在、19世紀後半後、すなわち「朝鮮開国」前後の朝鮮半島がいかなる状態にあったのかを知ることは、今後の展開を考えるに当たって重要だ。
   
なぜなら、いかなる形であれ、もし「統一朝鮮」が実現するとしたら、それは日本による「韓国併合」(1910年)以前の世界、つまり百年ぶり(!)のことになるからだ。分断状態を見慣れてきた日本人の目には、統一朝鮮を想像するのは容易ではない。そのためにも過去の世界を知る必要がある。
    
繰り返しになるが、当時の朝鮮半島は中国の「属国」であった。そして2020年にむかう現在の朝鮮半島もまたそうなる可能性が高い。歴史はそのままでは繰り返すことはないが、地政学的条件が変わらない以上、似たようなパタンが再現される可能性がある。
    
19世紀後半の時点では、日本は過剰に「朝鮮半島問題」に関与したが、21世紀前半の時点では関わらないほうが身のためだろう。朝鮮半島の命運を握っているのは、やはり中国なのである。そして米国だ。今回は前回の日清戦争とは逆に、米国をオモテに立てて、日本はバックアップする側に回ればいい。 
    
最近マスコミでよく言われるのが、日本は朝鮮問題で「蚊帳の外」になっているという言説。だが、で構わないじゃないか!何事であれ、最重要マターは水面下で進められているものだ。日本もまた、かならずしもオモテにでる必要はない。

上記の感想は、あくまでも私個人のものであって、著者はそこまで述べているわけではない。とはいえ、読後感としては、古田博司教授による「対韓三原則」(=助けるな、教えるな、関わるな)想起してしまうのだ。おそらくそういった読後感は、わたしだけではないのではあるまいか。

朝鮮半島の専門家ではない視点が、逆に新鮮かもしれない。関心のある人には、ぜひ読むように薦めたい。






目 次

プロローグ 朝鮮併合にいたる歴史の不思議
第1章 アメリカと朝鮮王朝
第2章 朝鮮使節の訪米と日朝修好条規
第3章 李鴻章の策謀:朝鮮の「楽浪郡」化
第4章 日清戦争前夜
第5章 日清戦争エピローグ ホーレス・アレンの更迭と朝鮮王朝への惜別



著者プロフィール   

渡辺惣樹(わたなべ・そうき) 
 1954年、静岡県下田市出身。日本近現代史研究家。東京大学経済学部卒。北米在住。米英史料を広く渉猟し、日本開国以来の日米関係を米国はじめ国外からの視点で捉え直した著書を数多く上梓。著書に『アメリカの対日政策を読み解く』『日米衝突の根源』『日米衝突の萌芽』(山本七平賞奨励賞受賞作)『朝鮮開国と日清戦争』ほか、訳書に『日米開戦の人種的側面 アメリカの反省1944』『アメリカはいかにして日本を追い詰めたか』『ルーズベルトの開戦責任』ほか。 (本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)






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書評 『なぜ中国は覇権の妄想をやめられないのか-中華秩序の本質を知れば「歴史の法則」がわかる-』(石平、PHP新書、2015)-首尾一貫した論旨を理路整然と明快に説く
・・「「中華秩序」を破壊したのが近代日本であったという事実。これはしっかりとアタマのなかに入れておかねばならない。琉球処分と日清戦争における日本の勝利によって、「中華秩序」は破壊された。だからこそ、中国の指導者は絶対に日本を許せないのである」

(2018年6月4日 情報追加)

  


(2017年5月18日発売の拙著です)




(2012年7月3日発売の拙著です)







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