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2014年3月25日火曜日

書評 『醜いが、目をそらすな、隣国・韓国!』(古田博司、WAC、2014)-フツーの日本人が感じている「実感」を韓国研究40年の著者が明快に裏付ける


この本は面白い。痛快ですらある。

ここ数年、ごくフツーの日本人の多くが直観的に感じているであろう実感の数々を、「日韓歴史教科書共同研究」という不毛な「教科書戦争」を戦った著者が、韓国研究40年というみずからの体験と学問的裏付けをもって明快に説明しているからだ。

帯には、「韓国人はウソをつくのがあたりまえ!退行しダークサイドに落ちる韓国!格差は拡大し左翼が台頭! 中国の威を借りて日本を徹底侮辱する韓国、でも、韓国の下町のおばちゃんは日本が大好き!」、とある。

売らんかなのためのコピーのように思われるかもしれないが、表現はきついがその通りなので反論のしようがないだろう。「ウソをつくが正直」な韓国人「ウソはつかないが不正直」な日本人。こういう対比が本文のなかにでてくるがじつにうまい。日韓は似て非なる民族なのである。いい悪いの話ではない。

初版が2014年3月4日付、わたしが読んだのは3月16日付の第2刷だがよく売れているようだ。こういう本が売れるのは日本人が健全な証拠でもある。全体の5分の4は、すでに雑誌や新聞に発表された文章を再編集したものだが、一貫したロジックのもとに整理されているのでたいへん読みやすくなっている。のこりは本書のための書きおろしである。

「目次」を紹介しておこう。

まえがき-「隣国のかたち」
第1章 あの、朝鮮民族とつき合う方法
第2章 いまや「正統性の奴隷」と化す韓国
第3章 朝鮮民族の復讐のカタルシス
第4章 東アジア贖罪意識から目を覚ませ
第5章 鋭い直観で東アジアを見よ
あとがき

第2章に「正統性」というコトバがでてくるが、これが東アジアの韓国、そして中国共産党政権を理解するための重要なキーワードである。「正統性」と「正当性」は似たようなコトバで日本人はあまり厳密に区分していないだろうが、「正統性」と対(つい)になるのは「異端性」である。

国家としての「正統性」がつねに問われているのが大韓民国であり中国共産党である。大韓民国も中国共産党も、日本と戦って独立を獲得したのではない。それがある種の心理的なうしろめたさを生み、「反日」を叫ばなくてはならない大きな理由となっている。国家存立の「正統性」がつねにそれぞれの国民から問われているからだ。

中韓「反日」連合との「国際メディア情報戦」がすでにヒートアップしているのが現状だが、さすが中国研究を踏まえて朝鮮政治思想史研究を主専攻にした著者だけに、中韓がけっして一枚岩ではないことを歴史研究を踏まえてきちんと言及している。くわしくは本文を読んでいただきたいが、現在は「反日」という要素で連合している中韓とはいえ、それぞれ似て非なる民族であり同床異夢の関係にある。日本が国際情報戦を戦う上での大きなヒントがここにある。

第5章のタイトルが「鋭い直観で東アジアを見よ」となっているが、ここでいう「東アジア」には日本は入ってこない。地理的には近接しているが、日本とそれ以外の中韓はまったく異なる文明圏であるからだ。東アジアで「近代化」できたのは日本だけという点からも、それは理解可能だろう。

あまりにも読みやすいので読み飛ばしてしまう恐れがあるが、重要な指摘や見解が本書のいたるところに散りばめられていることに注意しておきたい。日本で出版されている韓国関連本は、まともなものもそうでないものもふくめて玉石混交だが、歴史的な背景まで踏み込んで説明がされた一般向けの良書は残念ながらすくない。古田博司氏の著作はその数少ない例外である。

韓国人や中国人は「ウソをつくが正直」なのに対し、日本人は「ウソはつかないが不正直」だという対比を著者は行っているが、本書における著者の態度は「ウソはつかずに正直」ということだろうか。どこまで正直かどうかについては本を読んだだけではわからないが、すくなくともウソをついていないことは確かである。乾いた文体も心地よい。

「面白くてためになる」本なので、ぜひ楽しみながら読んでいただきたいと思う次第だ。




著者プロフィール

古田博司(ふるた・ひろし)
筑波大学人文社会科学研究科教授。1953年、神奈川県横浜市生まれ。慶応義塾大学文学部史学科卒業。同大学大学院文学研究科東洋史専攻修士課程修了。韓国滞在が長く、その体験と研究を下地にした韓国論を複数出版している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。




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(2014年8月23日 情報追加)




(2012年7月3日発売の拙著です)





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