(サンマの蒲焼き缶詰で食べる丼もの)
本日(2016年7月30日)は土曜日でかつ「土用の丑の日」。だからといってウナギは食べません。
たしかに脂ののったウナギは旨い。だが、「絶滅危惧種指定」さえ視野に入っているウナギです。はたしてこれ以上食べ続けていいものかどうか?
こう思うのは、けっして私がアマノジャクだからというばかりではありません。
「養殖ウナギ」ですら稚魚のシラスは天然物を捕獲するしかありません。ウナギは遠い太平洋で産卵するのです。現時点では、依然としてシラスは卵からの養殖が不可能です。
たとえ養殖ウナギの産地が日本だろうが、中国だろうが、台湾だろうが、もとはみな天然もののシラス。卵から成魚までの完全な養殖技術は、21世紀の現在においても確立していないのです。
「土用の丑の日」だからウナギを食べるのは、ある意味では日本の「食文化」ではありますが、とくに科学的根拠があるわけではありません。江戸時代のマルチタレント平賀源内がうなぎ屋のために作成した宣伝コピーに由来するものであることは、比較的知られていることでしょう。
どうしても日本人は「土用の丑の日」だからウナギ、となりがちですが、この日の前後に大量に消費されるということは、この日に向けて大量に促成で養殖されているということ。つまり安全性にかんしても大いに疑問符をつけざるを得ません。
養殖技術の研究では日本のトップレベルを走る近畿大学で開発中の 「ウナギ味のナマズ」がまだ量産体制に入っていない以上、「サンマの蒲焼き」で代用するべきでありましょう。缶詰なら1つ100円程度。2つでも200円強。うまくて安いサンマの蒲焼き!
いや、サンマの蒲焼きはウナギの蒲焼きの代用品というべきではありません。それ自体に存在意義のある加工食品ですからね。
PS この投稿で、2112本目の記事となった。「21・12」とは左右対称。こういうシンメトリーはいいものだ。(2016年7月31日 記す)
<関連サイト>
土用の丑の日はいらない、ウナギ密輸の実態を暴く(WEDGE編集部 伊藤悟、ウェッジ、2016年7月28日)
・・この記事は必読!!! 「ウナギの取材を始めると、違法行為や業界のコンプライアンス意識の低さなどが次から次へと明らかになる。ニホンウナギは絶滅危惧種にも指定されており、もはや「今年も土用の丑の日がやってきました」などとお祭り騒ぎをしている状況ではない──。」
「土用の丑の日」が引き起こすウナギ業界の「異常」 台湾のウナギ業界幹部インタビュー(WEDGE編集部 今野大一、ウェッジ、 2016年0月30日)
・・「台湾は2007年にウナギの稚魚であるシラスの輸出を禁止した。しかし、日本の業者が香港を通じて台湾産のシラスを輸入して育て、「国産ウナギ」として販売されていることは業界公然の秘密である。「土用の丑の日」はこうした「違法シラス」によって支えられている面をもつが、こうした状況に台湾の業界団体である台湾区鰻魚発展基金会の郭瓊英元董事長は警鐘を鳴らす。」
(2016年8月3日 情報追加)
<ブログ内関連記事>
おもしろ本の紹介 『アフリカにょろり旅』(青山 潤、講談社文庫、2009)-爆笑珍道中、幻のウナギ「ラビアータ」を捕獲せよ!
ウナギはイール-英単語のなかにウナギ(eel:イール)を探せ!
「地震とナマズ」-ナマズあれこれ
書評 『缶詰に愛をこめて』(小泉武夫、朝日新書、2013)-缶詰いっぱいに詰まった缶詰愛
書評 『食べてはいけない!(地球のカタチ)』(森枝卓士、白水社、2007)-「食文化」の観点からみた「食べてはいけない!」
「恵方巻き」なんて、関西出身なのにウチではやったことがない!-「創られた伝統」についての考察-
(2016年8月1日 情報追加)
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