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2017年1月14日土曜日

ドラマ 『忠臣蔵の恋-四十八人目の忠臣-』(NHK 土曜時代劇)-実在の女性を主人公にしたこの物語は「討ち入り」から先も続く


「忠臣蔵」というドラマは、12月の年中行事のような存在だが、どうしてもついつい見てしまう。日本人のDNAに深く刻み込まれてしまっているのだろうか。

ドラマ 『忠臣蔵の恋-四十八人目の忠臣-』(NHK 土曜時代劇)は、四十七士の一人と恋をした実在の人物を主人公に、女性視点で忠臣蔵を描き直す画期的な試みだ。

主人公の「きよ」を演じる武井咲の演技がまたすばらしい。あの時代の若い娘になりきっている。時代劇は舞台を過去に設定した現代劇ではあるものの、登場人物は、立ち居振る舞いから言葉遣いに至るまで時代考証をに基づいた制約条件が多いので、演ずるのはなかなか大変なものがあることだろう。

それにしても驚くのは、「きよ」という女性が実在したことだ。原作は、『四十八人目の忠臣』(諸田玲子、集英社文庫、2014)だが、著者の創作した人物ではないのだ。もちろん小説作品であり、さらにそのドラマ化であるから、現代人の視点による無意識なバイアスや意識的な脚色もあろうが、このような女性が実在したということは、驚き以外のないにものでもない。

討ち入りが行われたのは元禄時代。五代将軍・徳川綱吉の治世の末期西暦でいえば1702年。18世紀初頭である。この前後に日本で起こった事件は、討ち入りの年に発令された「物価引き下げ令」がある。ときは「元禄バブル」だっったわけだ。6年後にはイエズス会宣教師のシドッティが密入国して逮捕された事件。このときはすでに綱吉は死んでおり、新井白石が幕政を実質的に動かしていた。

忠臣蔵といえば、討ち入りをもってクライマックスを迎え、その余韻を残したままドラマが終わるというのが定番だが、この『忠臣蔵の恋-四十八人目の忠臣-』においてはそれはあくまでも第一部、のクライマックスであり、「その後」が第二部として重要なのである。


なんと主人公のきよが「大奥」に入ることになるのだ。しかも、これは想像力の産物ではなく、実際の史実というのだから二重に驚きなのだ。

幕末から明治時代に生きた福沢諭吉に「一身にして二生を経る」というフレーズがあるが、「きよ」の場合もまた、討ち入りとその後の将軍の代替わりという時代の転換期と、「討ち入り」前後の自分の人生の転換期が重なっていたのである。これほど、ビフォア&アフターの異なる人生もなかなかないのではないか。

いよいよ、2016年1月28日放送の第16回「側室候補」から、きよは大奥に入ることになる。なぜ大奥に入る決断をしたのか? その理由は、ドラマを見てのお楽しみ。

「四十八人目の忠臣」のあらたなミッションが始まる。(全20回)。






<関連サイト>

『忠臣蔵の恋-四十八人目の忠臣-』(NHK 土曜時代劇) 公式サイト

忠臣蔵の恋~四十八人目の忠臣~ 原作・諸田玲子先生に 雪のお江戸で直撃インタビュー!(NHK公式サイト)


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