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2017年8月11日金曜日

書評 『ビジネスパーソンのための世界情勢を読み解く10の視点-ベルリンの壁からメキシコの壁へ-』(森千春、ディスカヴァー・トゥエンティワン、2017)-「冷戦後」の世界情勢を「現場」で読み抜いてきた国際報道記者の視点


『ビジネスパーソンのための世界情勢を読み解く10の視点-ベルリンの壁からメキシコの壁へ-』(森千春、ディスカヴァー・トゥエンティワン、2017)は、 「冷戦崩壊後」の四半世紀を海外報道記者としてつぶさにみてきた著者による解説書。著者からいただいて一気読みしたが、それだけの面白さのある内容だ。

現在は読売新聞論説委員の著者は、海外報道30年で欧州総局長を歴任、ベルリン駐在中に1989年の「ベルリンの壁」崩壊を取材、その経験を踏まえたうえでソウル特派員として南北分断のつづく朝鮮半島を取材するなど、豊富な「現場」経験をもつ国際報道記者

「冷戦崩壊後」の四半世紀の世界情勢は、2016年の英米による「グローバル化への逆流」で大きな転換期を迎えたわけだが、面白いのは「冷戦後」の世界のなかで登場したメルケル首相と、「大転換」を引き起こした当の本人であるトランプ大統領との根本的な違い

著者は、そんな重要な指摘を何気ない一言で触れているが、見過ごすことのできない重要な気づきのひとつだ。このほかにも、本書のいたるところに、著者の30年に及ぶ経験からにじみ出た、重要な指摘が多くちりばめられている

さすがに「ベルリンの壁」の崩壊と朝鮮半島情勢の分析は詳しいが、特派員としてベルリンに駐在していた若き日の失敗体験は、若手ビジネスパーソンには他山の石として教訓になることだろう。

著者が強調しているのは、「先見性」の重要性、そして「理念」にこだわりすぎると足元をすくわれること。これは世界各国の政治リーダーを観察してきた著者ならではの教訓だ。これもまた、ビジネスパーソンにとっては教訓となることだろう。

ぜひ一読してほしい一冊である。





目 次  

はじめに
視点その1 グローバル化の時代だからこそ国家の役割は重みを増す-ネーションの復権が起こす世界各地の大変動
視点その2 政治指導者は先見性が問われる-「ベルリンの壁」崩壊とドイツ統一 「ベルリンの壁」ができた経緯
視点その3 激動期にこそ各国の性格が現れる-イギリスのEU離脱とトランプ当選
視点その4 理念へのこだわりはつまずきにつながる-実務家メルケル首相の難民政策での失敗
視点その5 民族の性格が危機を招く-韓国の苦悩 韓国の経済発展
視点その6 グローバル化した世界でも、核兵器は格別の強みとなる-北朝鮮の核開発
視点その7 宗教を知れば世界が見える-アラブの春から「イスラム国」へ
視点その8 民主主義は後退する局面にある-プーチン大統領のロシア
視点その9 帝国が復活している-南シナ海を巡る中国とアメリカの対立
視点その10 生き残りのためには強みを生かす必要がある-日本の厳しい安全保障環境
あとがき

著者プロフィール

森千春(もり・ちはる)
1958年、石川県金沢市生まれ。東京大学教養学部ドイツ学科卒。1982年、読売新聞社入社。1989~1993年、ベルリン特派員。「ベルリンの壁」崩壊と東西ドイツ統一を取材。1997~2001年、ソウウル特派員。2005~72009年、欧州総局長。現在、論説委員。著書に『「壁」が崩壊して-統一ドイツは何を裁いたか』(丸善ブックス)、『朝鮮半島は統一できるのか-韓国の試練』(中公新書ラクレ)がある。(本書奥付より)



PS あわせて読んで欲しい関連書籍

(『世界情勢を読み解く10の視点』に掲載の書籍案内)


ことし5月19日に出版した拙著 『ビジネスパーソンのための近現代史の読み方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン、2017)は、「近現代史」の240年間を扱っているので、「冷戦後」の25年間の扱いはどうしても小さなものとなってしまった

その意味では、『世界情勢を読み解く10の視点』とあわせ読むことで、世界情勢を立体的に捉えることができるのではないかと思う。ディスカヴァー・トゥエンティワン者から出版された、『ビジネスパーソンのための・・・』というタイトルで始まる「姉妹本」と考えていただいてよいかな、と。

その際、ぜひ副読本として手元に置いて欲しいのが、『増補改訂版 最新世界情勢地図』(ディスカヴァー・トゥエンティワン、2016)。フランス人研究者2人の共同執筆による、豊富な地図で図解した地政学の入門書だ。じつによくできたカラー図版満載のビジュアル本。複眼的な視点をもつにはもってこいの好著である。






<関連サイト>

『ビジネスパーソンのための世界情勢を読み解く10の視点』 出版社サイト



<ブログ内関連記事>

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